至仏山とは

尾瀬を代表する至仏山(標高2,228m)は、尾瀬ヶ原の南西に位置し、尾瀬ヶ原を隔てて対を成すように聳える燧ケ岳とともに日本百名山の一つに数えられています。

古い時代の造山運動によって隆起した地形や気象条件などにより森林限界が低いこともあり、高山植物が豊富なことでも名高く、至仏山の特産種であるホソバヒナウスユキソウ、オゼソウ、ジョウシュウアズマギク、シブツアサツキは7月上旬から中旬が見頃となります。

高天原ヶ原を越えて、至仏山と小至仏山との間にはお花畑が広がりシナノキンバイやチングルマが群落を作ります。

2023年至仏山の入山規制

登山道閉鎖期間 

2023年5月7日(日) ~ 2023年6月30日(金)

登山道閉鎖区間

残雪期の植生保護のため至仏山登山道を閉鎖しています。
※ 残雪状況で閉鎖期間が変更となる場合があります。

至仏山の登山道は一方通行

山ノ鼻を登山口として至仏山に登るルートは、原則として登りのみの一方通行となっています。この規則は、登山道に多く見られる蛇紋岩が大変滑りやすいため、下山時にスリップして道を踏み外す登山者が多くいることから、高山植物を踏み荒らさない様にするためのルールです。

【注意】登山計画を立てる際、鳩待峠から至仏山に登り、山ノ鼻へ下山出来ないことに留意する必要があります。

至仏山のアクセス

マイカー規制

鳩待峠へはマイカー規制が行われます。尾瀬の登山口となる鳩待峠へのアクセスの詳細は下記を参照してください。

尾瀬
尾瀬のアクセスと駐車場
尾瀬のアクセスと駐車場

至仏山の山小屋

尾瀬
温泉小屋
温泉小屋-尾瀬
尾瀬
至仏山荘-尾瀬
至仏山荘-尾瀬

至仏山の特徴と魅力

蛇紋岩の山体

至仏山の山体は、崩壊しやすく風化が早い蛇紋岩で出来ていること、そして蛇紋岩は滑り易いため登山者が登山道を踏み外し高山植物を破壊する恐れがあることなどにより、植生保護のため入山規制が行われています。

尾瀬ヶ原から望む至仏山

尾瀬ヶ原から望む至仏山

尾瀬ヶ原から望む至仏山は穏やかなスロープを描いていますが、山頂の西側は非対称山稜を形成しています。

非対称山稜の至仏山山頂部

非対称山稜の至仏山山頂部

山頂から小至仏山・悪沢岳の西側は急峻な斜面となり、非対称山稜を形成しています。日本海と太平洋に水を分ける分水嶺になり、利根川水源の山々と尾瀬の展望所といった所です。

尾瀬ヶ原の水芭蕉と残雪の至仏山

尾瀬ヶ原のミズバショウと残雪の至仏山

尾瀬ヶ原に咲く水芭蕉と残雪の至仏山は絵になる風景です。撮影場所は下ノ大堀。例年、尾瀬ヶ原のミズバショウは、5月中旬頃開花し、6月上旬頃に見ごろを迎えます。水芭蕉が終わりを迎えると、ワタスゲやレンゲツツジが咲き、7月には湿原を埋め尽くす鮮やかなニッコウキスゲが彩りを添えます。

至仏山の地図

至仏山の登山コース概要

鳩待峠から至仏山コース

至仏山山頂部が見える

鳩待峠を登山口とするこのルートを辿ると至仏山から山ノ鼻へ下山出来ないことを念頭において登山計画を立てる必要があります。至仏山と山ノ鼻間は登山のみで下山が禁止されているからです。また、残雪期の5月上旬から6月末日までの至仏山は全山入山禁止です。

従って、至仏山に登れるのは林道が開通する4月22日~5月上旬と7月1日から林道が冬季通行止めになる11月5日前後までです。

※ 年により多少の変動あり。ただし、4月21日以前であっても戸倉から徒歩でアクセスすることは出来ます。

鳩待峠から西側に進み、徐々に高度を上げて行きます。コース全体に渡って急な斜面はなく、オヤマ沢田代を超えると大展望を楽しみながらの登山となります。標高差は700mにも満たないため、体力の無い登山者や子供などにも向いています。そのため、登山中に小学生の集団登山の行列に出会うこともあるかもしれません。

小至仏山手前から蛇紋岩の滑りやすい岩場になります。急斜面ではないので、危険は伴いませんが、スリップしやすいので下山時には特に注意が必要です。

山頂からは尾瀬ヶ原や燧ヶ岳、会津駒ケ岳、平ヶ岳、越後駒ヶ岳、巻機山、谷川岳、苗場山、武尊山、日光白根山、赤城山といった標高2000m前後の山々が周りを取り囲んで360度の展望が得られます。

コースタイム

  • 登山:鳩待峠→1時間40分-小至仏山→25分-至仏山 合計:2時間5分
  • 下山:至仏山→23分-小至仏山→1時間10分-鳩待峠 合計:1時間33分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

山ノ鼻から至仏山コース

高天ケ原
高天ケ原

尾瀬ヶ原の西端にある山ノ鼻は、ビジターセンター、公衆トイレ、キャンプ指定地、3軒の山小屋などの施設が集中し、尾瀬の中心的場所であると同時に至仏山への登山口となっている所です。
山ノ鼻から山頂までのルートは、登山にのみ使用でき、下山には使えないので注意が必要です。また、残雪期の5月上旬から6月30日までは全域入山禁止となっています。

至仏山荘前の広場から出発します。一周約30分の尾瀬植物研究見本園の木道を歩きます。樹林帯に入るといきなり急な登りとなります。 石畳、階段、木道などが整備された急坂を30分ほど登ると、低木帯に入り展望が開けます。

このルート唯一の鎖場では、至仏山特有の滑りやすい蛇紋岩に架けられた鎖を掴むことなく通過します。 登山道は良く整備され、木道が延々と続きます。
高天ヶ原まで登れば山頂はもう少しです。振り返ると尾瀬ヶ原の先に鎮座する燧ケ岳が眺望できます。 至仏山一帯は高山植物の宝庫で、登山道からはみ出さないようにロープが随所に設置されています。

高天ヶ原から広い尾根を登っていけば至仏山頂です。

コースタイム

  • 登山:山ノ鼻→至仏山 2時間10分
  • 下山:至仏山→鳩待峠  1時間33分

難易度 1/10

体力  1/10 日帰り

至仏山の日帰り登山は出来る?

最短で至仏山に登るには鳩待峠を登山口とする ルートです。 往復のコースタイムは 3時間40分ほどなので日帰りは 十分可能です。また、 鳩待峠から山ノ鼻を経由して至仏山を周回するコースタイムは4時間30分ほどなので、 やはり日帰り可能です。

至仏山の登山口近くの温泉

至仏山の南西に位置する湯の小屋温泉 や 宝川温泉などは 湯量豊富でたくさんの露天風呂を楽しむことができます。湯の小屋温泉はロングコースですが至仏山の登山口 でもあります。

湯めぐりテーマパーク 龍洞

湯めぐりテーマパーク 龍洞

湯の小屋温泉の湯めぐりテーマパーク 龍洞は、 18種の露天風呂が貸切で、空いていれば24時間無料で時間無制限で入れます。

18個もの露天風呂があるので、どこかは必ず空いています。一人、あるいは家族だけでプライベート空間が作れ大変リラックスできます。

すべて100%源泉かけ流し天然温泉です。

湯めぐりスタンプラリーがあり、18箇所全部制覇すると記念品が貰えます。

アクセス

水上駅より路線バス。1,550円 湯の小屋バス停(終点)下車、徒歩2分。

マイカー規制期間以外は鳩待峠まで車で行けます。マイカー規制期間は奥利根ゆけむり街道経由で尾瀬戸倉に車を停めてシャトルバスで尾瀬に入ります。

日帰り入浴

  • 平日:10:00~18:00 受付(最終退室時間19:30)
    土日祝:10:00~14:00時(最終退室15:00)
    ※混雑状況によって入場制限の可能性もあり
    ※受付から4時間以内の利用
  • 料金:大人 2,200円 子供(小学生以下) 1,100円

至仏山の天気の特徴

夏の尾瀬
夏の尾瀬

夏の至仏山は晴天の確率がやや低い

春(4月 - 6月) :この季節は雪解けの時期で、特に6月にはまだ雪が残っている可能性があります。 気温は5~15度程度で、天気は変わりやすく、雨や曇りの日が多いです。

夏(7月~9月)の尾瀬は降水量が比較的多く、雨が頻繁に降ることがあります。霧やもやが発生しやすい状況になります。

尾瀬の1か月の降水量は5月101.8mm、6月139.8mm、7月173.8mm、8月190.8mm、9月204.8mm、10月157.3mmです。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

至仏山登山ツアー

お問い合わせ

登山届提出

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

至仏山周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月-7.3-11.3-14.5
2月-6.6-10.9-15.3
3月-2.9-7.7-12.2
4月4.5-1.8-5.8
5月11.14.3-1.8
6月14.58.53.3
7月17.912.17.6
8月19.313.08.4
9月14.48.84.6
10月8.32.4-2.2
11月2.4-3.2-7.5
12月-3.7-8.1-12.1

至仏山登山のための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月×
2月×
3月×
4月×
5月-----
6月-----
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××
12月
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 至仏山は笠ヶ岳分岐があるだけでほぼ道迷いはありません。ただし、湯の小屋から至仏山を縦走する場合には必携です。 登山地図を持って行かないと命のリスクもあります。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。
また、防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 至仏山は40分ほど登ると直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 標高2,228mの至仏山ですが、 至仏山では樹林帯を歩く区間が短く森林限界を超えると紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
至仏山の水場は一か所ありますが、飲料には不適です。山ノ鼻、鳩待峠の各登山口で確保していきましょう。
ヘッドランプ必須 アクシデントで暗くなってからの行動を強いられた場合には必携です。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝むためにも必要です。
行動食必須 登山のコースタイムはさほど長くありません。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると助かります。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
至仏山では、7~8月でも最低気温が7度近くまで下がることがあります。
軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを
その上に着ると更に保温性が高まります。
手袋あったら良い
耳栓あったら良い 山小屋に宿泊する場合、尾瀬の山小屋は基本個室ですが、単独の場合混雑すると相部屋になります。耳栓があると他人のイビキの音に悩まされません。
カメラあったら良い 360度の大パノラマや高山植物、紅葉など山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして3~4個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザック不要
シュラフカバー不要