両神山(りょうかみさん)とは

両神山で最も多くの登山者が使う日向大谷口ルートの登山道には多くの石仏が祭られ、古くからの信仰の山であることがわかります。

登山経験者にお勧めなのが八丁尾根コースです。激しいアップダウンの連続の岩場に多くの鎖がかけられ、スリル満点です。作業道で下山すれば山頂から登山口まで1時間半ほどの行程ですが、作業道への進入ができないようになっています。

両神山の鎖場

鋸歯状の山容が特徴的な岩山

両神山は標高1,723mで日本百名山にも数えられている鋸歯状の山容が特徴的な岩山で、風化に強いチャート質の堆積岩と粘板岩をおもに含む秩父古生層で、深い谷を形成しています。

山域は埼玉県秩父郡小鹿野町、秩父市に跨り、秩父多摩国立公園に含まれています。 古来から武甲山、三峰山とともに「秩父三山」の一つに数えられてきました。

登山最適期は雪の降る12月~2月と標高が低いため暑すぎる7,8月を除く期間です。 例年4月18日に登山シーズンの安全を祈願し、日向大谷登山口で山開きが行われます。

両神山登山口の駐車場とアクセス

アクセスの詳細は下記を参照してください。

両神山
両神山のアクセスと駐車場
両神山のアクセスと駐車場

両神山の地図

両神山の登山コース概要

両神山-八丁峠から八丁尾根コース

両神山の東岳近く
両神山の東岳近く

登山口の上落合橋へは新宿から中央道を使って勝沼ICで降り、雁坂トンネルを抜ける方が関越を使うより1時間以上早く登山口に着けます。東京・新宿からは上落合橋の北側にある八丁トンネルをくぐった所の登山口の方がアクセスが便利です。

標高1,140mある登山口の上落合橋の駐車スペースには約15台ほどの車が駐車可能です。 両神山登山口にある案内板の後ろの梯子を登って八丁尾根登山道が始まります。 八丁沢の沿って登っていきます。
針葉樹林帯を抜けると八丁峠に着きます。 八丁峠は休憩用のベンチと椅子、難コースであることの注意喚起の看板が設置されています。

上落合橋から八丁尾根を登るコースは全体で約20ヶ所の鎖場に30本を超える鎖が設置されているスリリングなコースです。
標高差は583mと少ないのですが累積標高差は軽く1,000mを越え、しかも傾斜のきついアップダウンが連続するため岩登りの技術ばかりではなく体力も必要とします。

その一方で八丁峠から八丁尾根を行くルートはおおむね稜線上を歩くため随所で展望が効くところがあり登山を満喫できるルートでもあります。

八丁峠から一旦下り、登り返すと岩場の登りがはじまります。 なだらかな稜線歩きを過ぎたところから傾斜がきつくなり、いよいよ鎖場が連続する核心部に突入します。

いくつもの鎖の設置された岩場の上り下りを繰り返し、展望の効く行蔵峠を通過して西岳へと至ります。

西岳からは一旦大きく落ち込み、登り返すと東岳です。 東岳から右に連なる稜線の先に剣ヶ峰と呼ばれる両神山の山頂はあり、西岳からは確認できない所にあります。

龍頭(りょうかみ)神社奥宮の小さな祠の先にあるやせ尾根の通過は高度感があり、このコース最大の難所です。尾ノ内沢から龍頭神社奥宮に登るルートがあり、近年、整備されたようで、新・分県登山ガイド「埼玉県の山」にも掲載されています。昭文社の地図には尾ノ内自然ふれあい館から油滝までのルートが記載されていますが、同区間の橋が複数流されていることもあり不明瞭の様です。一方、油滝から龍頭神社奥宮までのルートは廃道となってはいるが比較的明瞭な様です。

東岳から両神山山頂方面の稜線はなだらかなアップダウンを繰り返します。 両神山山頂近くで一旦下り、登り返したところにある長い鎖場2箇所を登りきると両神山山頂です。

コースタイム

  • 登山:上落合橋⇒両神山 3時間10分
  • 下山:両神山⇒上落合橋 2時間20分

難易度 5/10

体力  3/10  日帰り

② 両神山-日向大谷コース

不動明王像
不動明王像

両神山で最もポピラーなルートである日向大谷口からのルートには 鎖場が数か所にあるものの難易度は低く、登山初心者が初めて鎖場を体験するのにちょうど良いくらいのコースです。
このコースの途中には何体もの石仏が祭られていて、古くからの信仰の山であることが伝わってきます。

標高630mにある日向大谷の駐車場は4箇所にあり合計で約50台ほど駐車可能です。 また、日向大谷と小鹿野町役場との間を1日5往復のバスが走ります。

登山口には民宿の両神山荘があり、そのすぐ近くに両神神社里宮(観蔵院)があります。登山口からゆっくりと登って行くと約200メートルで鳥居があります。鳥居をくぐるとその右手には、両神山を開いたとされる観蔵行者の石像が安置された観像堂があります。

そして少し行った所に丁目石一番が立っています。ここから清滝まで36瞳子の名前が彫られた丁目石が、一丁(110メートル)ごとに立てられています。そして薄川(すすきがわ)沿いの急斜面をトラバースするように進み、薄川まで降ります。その後、薄川を何度も渡り返すため増水時は登山不可能となります。

渓谷の左岸(右側)に沿って進み、長尾沢を渉り、桐の木窪をすぎると道心堀に至ります。そして、ベンチと椅子が設置されている会所で七滝沢コースと薄川沿いのコースに分岐します。この二つのコースは清滝の先で合流します。ここでは薄川沿いのコース(一般的な登山道)を登ります。

八海山の指導標を過ぎ、急坂の途中にある「白藤の滝」分岐を左手に見送り、さらに登ると「弘法の井戸」と書かれた石柱があります。 弘法の井戸の水量はほんのわずかでした。信仰登山の一翼を担った観蔵院は当山派真言宗系で、弘法大使伝説があるのも納得出来ます。

急坂を上りきると現在は避難小屋になっている清滝小屋に着きます。炊事場には水量豊富な水道とテーブル、椅子があり休憩の最適地となっています。 また、清滝小屋には全部で10張りほど設営できテント場があります。

清滝小屋裏から登山道がはじまります。 「鈴が坂」と呼ばれる針葉樹林帯の急坂の途中で七滝沢コースへの分岐を右に見送り、さらに上ると産体尾根(うぶたいおね)の稜線に飛び出します。
産体尾根の稜線の登りには数か所に鎖場やロープが設置されていますが困難な箇所はありません。

鎖場をやり過ごし針葉樹林帯を登りきると両神神社・両神山両神神社に出ます。ここから山頂までは約30分の緩斜面の登り。

両神山(剣ヶ峰)直下の鎖場を登って山頂に到着します。

コースタイム

  • 登山:日向大谷口⇒両神山 3時間30分
  • 下山:両神山⇒日向大谷口 2時間30分

難易度 2/10

体力  3/10 日帰り

両神山-白井差新道コース

ノゾキ岩の先に三笠岳・辺見岳
ノゾキ岩の先に三笠岳・辺見岳

白井差新道(しろいさすしんどう)は、標高差約900mの登山初心者向き両神山最短ルートです。 登山道のある山全体が山中氏の所有で、山中氏によって整備・管理されているため、整備費として1,000円を下山時に支払う事になっています。その時お土産として百名山・両神山のバッチをもらいます。

登山時に、登山地図を渡されコース説明を受けます。説明内容は、このコースを使うためにはピストンが条件であること、そのために作業道分岐では白井差新道を示す指導標が無く下山時に注意が必要なこと、白井差新道分岐では、ロープが張られ白井差新道方面に進入しにくいようになっていることなどのレクチャーを受けます。

白井差新道コースの特徴は、概ね均等に高度を上げて行き急登が無いこと、良く整備され浮石などが少なく、下山時には快適に降りてこられる事など、登山初心者にはありがたいコースです。

登山開始は大笹沢の渓流沿いに上がります。渓流を何度も渡り返しますが、すべて橋が架けれれ問題なく渡れます。途中の昇竜の滝のビューポイントを過ぎ、水晶坂のジグザグ斜面を登れば平坦地のブナ平辺に到着します。ここで一休みをし、右手にノゾキ岩の絶壁を見ながら登ると作業道分岐に着きます。ノゾキ岩は日向大谷からのルートで産泰尾根の上部に出来た岩壁です。

作業道は上落合橋に通じる道で、八丁尾根を登った場合、ここを使うと早く降りられるのが魅力ですが、2013年現在は進入禁止になっています。

その理由を山中氏に伺いました。
登山者の一人が作業道に於いて滑落し、半身不随となったため、家族が埼玉県と同伴した登山者を訴えているとのことです。作業道は当時も進入禁止であったことから保険が降りないようです。裁判の行方が気になる所です。

作業道分岐から稜線を5分ほど進むと白井差新道分岐です。白井差新道分岐に張られたロープをくぐり5分ほど稜線をすすむと両神山山頂です。

コースタイム

  • 登山:白井差新道口入⇒両神山 2時間10分
  • 下山:両神山⇒白井差新道入口 1時間15分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

雲取山の日帰り登山は出来る?

白井差(しらいさす)新道は、標高差900mの両神山最短コースです。山中氏所有の土地内に登山道があり、ピストンすることが登山の条件になっています。登山道は良く整備され、とても歩きやすいためコースタイムは往復で3時間30分ほどです。従って、簡単に両神山の日帰り登山ができます。

最もポピュラーな日向大谷コースであっても往復のコースタイムは6時間ほどなので、やはり日帰りは簡単です。

雲取山の天気

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

雲取山登山ツアー

  • 両神山|登山・トレッキングツアー

お問い合わせ

登山届提出

  • 埼玉県警察 郵送、電子メール、ファックスなので提出可能です。

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

両神山周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月2.0-5.1-10.1
2月2.5-3.7-8.9
3月6.40.1-5.3
4月12.96.00.2
5月17.210.53.8
6月19.914.09.5
7月23.417.613.5
8月25.018.614.4
9月20.514.710.6
10月14.38.53.9
11月8.82.4-2.6
12月3.6-2.8-7.8

両神山登山のための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月×
2月×
3月×
4月×××
5月×××
6月××××
7月××××
8月××××
9月××××
10月×××
11月×××
12月×
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

両神山の信仰と開山の歴史

両神神社と両神山両神神社

鎌倉時代に両神山は開山されたと伝えられているが、文献は残っておらず、不正確である。中世より山岳信仰の霊場として修験者たちの行場となっていたが、両神山を修行の場所とする明確な史実が出るのは近世になってからです。

江戸時代には山上にある両神権現社、両神明神社、龍頭神社の三つの神社が覇権争いを行っていました。 両神山両神神社は旧両神村の浦島に里宮があり、「金剛院」(本山派)という修験寺院で、山上の両神権現社の別当寺でした。また、両神神社は旧両神村の日向大谷に里宮があり、江戸時代には「観蔵院」(当山派)という修験寺院で、山上の両神明神社の別当寺でした。江戸時代の山岳信仰は、この二つの寺院により展開されていたが、江戸時代中期以降は「金剛院」(本山派)が優位となり勢を増して行きます。

しかし、慶応4年神仏分離令により両院ともが廃寺となってしまいました。 両神社の名前の変遷を下記に示します。
浦島の金剛院(両神権現社)→両神山御岳神社→両神山両神神社
日向大谷の観蔵院(両神明神社)→金昌寺・八日見神社→両神神社

当時の代表的な登山道は観蔵院のある日向大谷から登る「表登山道」、金剛院のある浦島から登る「金剛院道」、尾ノ内の龍頭神社から登る三つのコースが登拝路として作られていました。

近世になると登山道には丁目岩、石神、石仏が並び、行者ばかりではなく一般の登拝者たちの便宜が図られていました。

参考:名山の文化史 より

両神山の名前の由来

「新編武蔵風土記稿」によれば「両神」は、二つの神を意味し、両神山はイザナギノミコトとイザナミノミコトを祀っていることに由来するという説。

また、「新編武蔵風土記稿」は次のようにも記しています。「日本武尊命が東征したおり、8日間にわたってこの山を見ながら通行した」という「八日見(ようかみ)」伝説にちなむという説。

また、小鹿野町河原沢尾ノ内地区に龍頭神社(りゅうとうじんじゃ)があります。この神社から西岳あたりに伸びる古くからの登山道(昭文社の地図には油滝から西岳へのルートの記載はされていませんが、近年登山道は整備されました。)があり、八丁尾根の稜線上に龍頭神社奥宮が祀られています。龍頭神社の正しい呼び名は「りょうかみじんじゃ」です。両神山を竜の体に見立てての古くからの信仰があったのではないでしょうか。だとすれば、「両神」は「竜神(りゅうかみ)」から由来しているのではないかとする説。など諸説があります。