白山(はくさん)とは

白山は、石川県、福井県、岐阜県、富山県の4県にまたがる47,700haの広大な地域に広がる白山国立公園内にあります。

山頂部を火山活動の噴出物で構成される標高2,702m の御前峰(ごぜんがみね)、標高2,684mの大汝峰(おおなんじがみね)、標高2,677mの剣ヶ峰の3主峰と標高2,399m別山を合わせて、南北に50kmに延びる山岳自然公園として昭和37年11月に国内20番目の国立公園に指定されました。

白山山頂に七つの火口湖

山頂部には、七つの火口湖などの火山地形が認められます。火口湖に残る伝説があります。

翠ヶ池の九頭竜伝説

翠ヶ池は白山最大の火口湖です。1042年(長久3年)の噴火によって出来たと言わています。この池には、頭が九つ、合計18の角を持つ巨大な龍が火を吹きながら出現したが、泰澄が祈って鎮めたという九頭竜伝説が残ります。

千蛇ヶ池の伝説

千蛇ヶ池は万年雪があります。そこで白山開山の泰澄大師が、山中にはびこる三千匹の悪蛇の内、千匹を万年雪で閉じ込めたという伝説が残っています。

白山の火山の変遷

約30万~40万年前の加賀室火山

白山は約30万~40万年前に活動を始めた火山で、「加賀室火山」が最も古く、30万~40万年前に誕生しました。火山から噴出されたものは加賀禅定道の尾根沿いに沿って分布しました。

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約10万年前の古白山火山

次の時代に噴火したのが「古白山火山」で、約10万年前に誕生した成層火山です。火山活動の中心は中ノ川支流の地獄谷です。火山発生当時には、3,000メートルを超える標高となっていましたが、浸食が進み当時の状態を確認することはできません。

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2

約3万~4万年前の新白山火山・うぐいす平火山

次に「新白山火山・うぐいす平火山」の活動が起こります。これらは約3万~4万年前に起こり、現在の山頂部周辺で活動を始めました。そして歴史時代まで活動が続きます。うぐいす平火山は2個の小さな火山丘からなっていました。

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3

1,659年の噴火

最も新しい記録として1659年の噴火が挙げられます。

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4

白山の名前が付く高山植物

ハクサンコザクラなど、「白山」にちなんで付けられた高山植物は20種類近くに及んでいます。

白山は京(京都)から最も近い高山であったため、早くから植物の研究が進められてきたのがその理由です。その中でも高山でよく目にするハクサンコザクラ、ハクサンオミナエシ、ハクサンフウロ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲ、ハクサンシャジンなどが代表的な高山植物として挙げられます。

また、白山の主峰・御前峰にちなみ標準和名となったゴゼンタチバナも有名です。

各コースの特徴

① 別当出合登山口周回コース

白山は古くから信仰の山として登られた長い歴史を持ちます。そのため、登山口は石川県、岐阜県、福井県の各県にあり、いくつもの登山コースが整備されています。

最も利用されるのが、別当出合を登山口として、砂防新道を登り、観光新道を下る周回ルートです。 南竜ヶ馬場からエコーライン、トンビ岩コース、展望歩道など複数の登山道が分岐し室堂ビジターセンターへ向かうことが出来ます。

別山・一ノ瀬道コース

別山・一ノ瀬道を使い、別山を経由し室堂ビジターセンターへ登るコースも変化に富んでいます。

③ 平瀬道コース

関東や名古屋からのアクセスが良いのは平瀬道です。素晴らしい展望やブナの原生林を楽しみながら登るルートでお薦めです。

白山の地図

白山登山口の駐車場とアクセス

白山
白山のアクセスと駐車場
白山のアクセスと駐車場

白山の山小屋

白山
白山室堂ビジターセンター
白山室堂ビジターセンター
白山
白水湖・レイクサイドロッジ-白山
白水湖・レイクサイドロッジ

白山の登山コース概要

① 白山-平瀬道(大白川ダム)コース

大倉山からの白山御前峰と剣ヶ峰
大倉山からの白山御前峰と剣ヶ峰

国道156号の白川村平瀬地区から西へ県道R451(白川公園線)を13km 入った終点が、平瀬道登山口です。平瀬道へは、東海北陸道の開通により、東京や名古屋からのマイカーでのアクセスが容易となり登山者が増加しつつあります。

前夜泊の場合には、登山口近くに白水湖畔ロッジがあります。大白川露天風呂が併設され、緑の山々に囲まれエメラルド色の白水湖を眺めながらの入浴は心身共にリフレッシュ出来ます。

平瀬道は大倉尾根を登り、室堂ビジターセンターまで標高差約1200mの急登です。ブナの原生林や豊富な残雪、お花畑など白山の魅力が凝縮されたコースと言えます。登山道はよく整備され、危険箇所はありません。

室堂ビジターセンターに一泊すると御前峰・剣ヶ峰・大汝鋒などを周遊し、お池巡りが楽しめるゆとりある行程を組めます。

平瀬地区から登山口までは公共交通機関が無いのでマイカーかタクシーとなります。

コースタイム

  • 白水湖・大白川ダム平瀬道登山口→2時間-大倉山避難小屋→1時間5分-室堂ビジターセンター→35分-白山/御前峰→15分-翠ヶ池→25分-室堂ビジターセンター 合計4時間20分 
  • 下山:室堂ビジターセンター→2時間35分-白水湖・大白川ダム平瀬道登山口 合計 2時間35分

難易度 2/10

体力  4/10  日帰り

白山の日帰り登山は出来る?

別当出合登山口、平瀬道登山口の標高は共に1,260mです。従てどちらのコースを使ってもコースタイムはほぼ同じで、約7時間(休憩時間含まず)で下山できます。従って白山の日帰り登山は出来ます。

登山口近くの温泉

平瀬温泉 お宿 湯の里

平瀬温泉の温泉旅館です。

源泉100%かけ流しの温泉で、泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉(低張性アルカリ性高温泉)です。

白山へ登山する場合、朝食が軽食(お弁当)になる分、リーズナブルに宿泊できる2食付きプランあり。

旅館から大白川ダム(平瀬道登山口)まで車で22 分(13.4 km)。

日帰り入浴

大人・小人 ⁄ 一律 700 円(消費税、入湯税込み)

白山の天気の特徴

白山室堂
白山室堂

夏の白山は晴天の確率がやや低い

山頂部は、日本海を渡ってきた北西の季節風をまともに受けるため10mを超える積雪量となります。そのため、夏まで残る大きな雪渓があります。

その白い山容は麓から見てもよく目立つため、「しらやま」と呼ばれ、後に「はくさん」の名前が定着します。

4月、5月の晴天率は高いのですが、6月に入ると少し晴天率が下がり、7月は梅雨の影響で雨が多くなり、8月、9月共に7月よりましになりますが、晴天率が低い傾向です。

10月、11月の紅葉に時期は比較的晴れ間が期待できます。

白山周辺の1か月の降水量は4月87mm、5月105mm、6月123mm、7月174mm、8月162mm、9月162mm、10月96mm、11月93mmです。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

白山登山ツアー

  • 白山|登山・トレッキングツアー

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登山届提出

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

白山周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月-9.8-12.9-16.0
2月-9.5-12.8-16.2
3月-6.0-9.9-13.6
4月2.3-3.2-8.0
5月7.82.2-2.5
6月10.36.11.9
7月13.99.86.6
8月15.811.48.0
9月11.37.03.7
10月5.61.0-2.6
11月-0.3-4.8-8.5
12月-6.3-10.1-13.3

白山登山のための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月×
2月×
3月×
4月×
5月
6月×××
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月×××
12月
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!白山山頂周辺で4コースが合流します。分岐が多く登山地図は必携です。 登山地図を持って行かないと命のリスクもあります。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。
また、防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 白山は標高2,702mですが、大倉山避難小屋を超えると樹林帯を歩く所はあまり多くありません。そのため直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 白山の標高2,702mですが、 標高2,000mを超えると樹木が少なくなります。夏季は紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 白山室堂ビジターセンターに水場があります。天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。登山行程に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。
ヘッドランプ必須 アクシデントで暗くなってからの行動を強いられた場合には必携です。また、暗い内から登山をする場合にも必要です。
行動食必須 白山のピストンでもコースタイムはやや長いので、パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものを少し持っていくことをお薦めです。白山室堂ビジターセンターにキットカット、チョコレート、ポテトチップスなどの行動食が売っています。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると助かります。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
四阿山では、7~8月でも最低気温が6度近くまで下がることがあります。
軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを
その上に着ると更に保温性が高まります。
手袋不要 
耳栓あったら良い 山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。
カメラあったら良い 360度の大パノラマや高山植物、紅葉など山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして4~5個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザックあったら良い 白山室堂ビジターセンターにザックを置いて、サブザックで身軽な状態で山頂へ登ることが出来ます。水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。
シュラフカバー不要

白山比咩神社

室堂平の白山比咩神(しらやまひめじんじゃ)は、白山開山1300年にちなみ、2016年に新築されました。

室堂平の白山比咩神社・白山奥宮祈祷殿の開館は、7月1日から8月31日までです。それ以外の期間に祈祷を希望される方は〒920-2114 石川県白山市三宮町ニ105-1 白山比咩神社社務所 電話 076-272-0680。

神符1000円、神宮大麻1000円、奥宮御守1000円、幸守800円、安産守800円、大漁木札守1000円、交通安全守800円、学業成就守1000円、結び守800円など。

白山開山

室堂平に建つ白山比咩神社(しらやまひめ)の背景に御前峰。御前峰山頂には白山比咩神社奥宮が祀られています。立山、富士山と並び、「日本三霊山」と敬われる白山の開山は、養老元年(717年)に泰澄大師によると伝えられています。

もともと白山信仰の原点は、豊穣を約束してくれる豊かな水をもたらしてくれる農耕の神としての信仰でした。そして、奈良時代の後期、大峰山(奈良県)において修験道が始まり、平安時代になり白山や熊野三山各地でも修験者による山岳修行が盛んに行われるようになりました。

加賀地方における中心的な存在であったのが 白山比咩神社です。 江戸時代までは神様と仏様の両方を祀る本地垂迹・神仏習合の信仰形態でした。すなわち、御前峰の神は白山妙理大権現で本地仏は十一面観音、大汝峰の神は大己貴神で本地仏は阿弥陀如来、別山の神は小白山別山大行事で本地仏は聖観音であるとするものです。

しかし、明治元年に施行された日本における最大の宗教弾圧といえる神仏分離令と明治5年の修験道禁止令によって、白山にあった仏像などは山から降ろされたり、石仏の首を跳ねたり、破壊されたりして現在では仏教に関わるものはほとんど見られなくなっています。 強引に担ぎ下された御前峰の十一面観音をはじめ三社の仏像は、白峰村の林西寺の境内に建つ白山本地堂に安置されています。そして、お寺は神社に名前を変更し現在に至っています。

現在の登山道の多くは、昭和になってから開かれた道で、往時の修験道の登拝路とは大きく異なっています。

白山信仰の禅定道の拠点「馬場」

馬場とは

山岳信仰の霊場として白山にも平安時代初期から修験者が登るようになります。その登山道を「禅定道(ぜんじょうどう)」といい、白山を取り巻く三国から作られ、それぞれ越前禅定道、加賀禅定道、美濃禅定道がありました。

禅定道の起点になった場所を「馬場(ばんば)」といい、乗ってきた馬を留め置く場所として、先の禅定道の起点として越前馬場、加賀馬場、美濃馬場の三馬場(三寺・三社権現)が成立しました。

三馬場の勢力争い

平安時代中期以降、三馬場はすべて泰澄による開基縁起に統一されていましたが、三馬場は独自に宗教活動を行い、それぞれの馬場から山頂に通じる禅定道を白山本道と称し、自らが本家であることを主張しました。

平安時代末期には三寺とも天台宗の比叡山延暦寺の末となりますが、白山山頂の霊地管理権を巡ってさらなる争いが勃発します。

中世になっても三寺の争いは止むことは無く、ますます激化します。しかし、明治元年の神仏分離令により、この争いはピタッと止まります。

越前馬場(平泉寺白山神社

平泉寺白山神社

平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)の 境内にある「御手洗池」は白山を開山した泰澄大師がお告げを受けた場所とされ、寺の名前は池にちなんで名付けられました。

林立する杉の大木と境内を覆い尽くす苔が幽玄な雰囲気を醸し出しています。

加賀馬場(白山比咩神社)

江戸時代までは泰澄伝承に基づく本地垂迹・神仏習合の信仰形態で、白山妙理大権現を祀る本宮として下白山と呼ばれていました。

加賀における白山信仰の中心でした。明治元年の神仏分離令の発布により現在の社名に変わり、全国の白山神社の本社として位置付けられています。

美濃馬場(長滝白山神社)

長滝白山神社は、 平安時代末期の全盛期には堂舎30余字、6谷6院、僧坊360坊を擁したと伝えられています。

明治元年の神仏分離令までは白山中宮長滝寺と呼ばれ、白山信仰の美濃側の一大拠点でした。

明治の大火で堂舎のほとんどを焼失しますが、後に復興され神仏習合の旧観を保ち現在に至っています。

白山高山帯の鳥類と哺乳類

白山では高山帯の占める面積は僅かですが、岩場や砂礫地、ハイマツ帯、雪田植生などのお花畑、雪渓などいろいろな環境があります。高山にその鳥はこれらの環境をすみ分けて生活しています。

イワヒバリ

御前峰、大汝峰、剣ヶ峰及びそれらで囲まれた範囲に集中的に分布し、岩場や砂礫地、背の低い植物の生えている所を中心に行動しています。

繁殖期には約6~8羽の群れを作り生活しています。一つの群には雄雌ほぼ同数おり、同じ群れの中では自由に交尾し、また同じ巣のヒナを育てるのに複数のオスが協力して行うなどを、共同繁殖という珍しい飼育をしています。

秋には山を降り、冬は山腹の急峻な谷の岩場のある環境で過ごします。

ホシガラス

御前峰、大汝峰、剣ヶ峰及びそれらで囲まれた範囲に集中的に分布し、岩場や砂礫地、背の低い植物の生えている所を中心に行動しています。

繁殖期には約6~8羽の群れを作り生活しています。一つの群には雄雌ほぼ同数おり、同じ群れの中では自由に交尾し、また同じ巣のヒナを育てるのに複数のオスが協力して行うなどを、共同繁殖という珍しい飼育をしています。

秋には山を降り、冬は山腹の急峻な谷の岩場のある環境で過ごします。

オコジョ

夏の白山では、標高2000m以上で観察することが出来ます。最近の調査では、更に低いブナの林の中でも見られるようになってきています。出産は4月から5月上旬頃で、2ヶ月半で母親に連れられて出てくるようになります。

主にミミズ類を餌としていますが、時にはノウサギを襲って食べることも確認されています。

人なつっこい性格で、直ぐ近くで観察出来ます。