武尊山(ほたかやま)とは

日本百名山の武尊山は、群馬県の北部、利根川源流域の奥利根に聳えるコニーデ型休火山で、200万年~100万年前に火山活動があった那須火山帯に属する山です。

主峰の標高2,158m沖武尊を中心として七つの2000m級峰(前武尊、剣ヶ峰山、家ノ串山、中ノ岳、獅子ヶ鼻山、不動岳)が弯曲して連なるように配置しています。全体としては独立峰と言っていい様相です。

山容は穏やかですが、南側の爆裂火口は侵食が進み馬蹄形に放射状の深い谷を作っています。

山名の由来は、日本武尊が東征のおり、鬼退治をしたという伝承から付けられたという説もあります。北アルプスの穂高岳と区別するために上州武尊と呼ばれることもあります。

武尊山のアクセスポイント

四つある登山口すべてに、バスは運行されていません。バス停から登山口までの距離は、花咲が最も近く、それでもスノーバルオグナほたかスキー場の登山口まで徒歩で1時間20分かかります。

次は、みなかみ町藤原宝台樹の武尊橋で下車し、裏見ノ滝(武尊神社)登山口まで徒歩1時間30分です。

そのため、どの登山口を使ってもバスを使う登山は現実的ではなく、マイカーかタクシーの利用が便利です。下記を参照してください。

武尊山
武尊山のアクセスと駐車場
武尊山のアクセスと駐車場

武尊山の地図

武尊山の登山コース概要

武尊山-武尊神社から沖武尊周回コース

沖武尊から剣ヶ峰山
沖武尊から剣ヶ峰山

みなかみ町藤原宝台樹からのルートは二つの登山口があります。その内、裏見ノ滝、林道終点にそれぞれ 駐車場がある登山口は、標高が高いこともあって主に使われます。どちらの登山口からでも日帰り周遊登山が可能です。

手小屋沢避難小屋の先には、かなり険し岩場があるため、時計回りのコースが選ばれることが多いようです。

コース唯一の小屋である手小屋沢避難小屋は3名ほどの収容人数のため、緊急時以外は計画に入れないほうが無難でしょう。

各所から流れる沢水が水場となっています。少なめの水を持って登山を始めても問題になる事は無さそうです。

このコースの最大の見所は、広い稜線を背の低いササ、ハイマツ、シャクナゲなどが覆う剣ヶ峰山と沖武尊間の眺めの良い縦走路です。

沖武尊の山頂には「御嶽山大神」の碑や剣ヶ峰山(つるがみねやま)には「普寛霊神」の石碑が建っています。これは、木曽御嶽山王滝口の登拝路を開いた普寛行者が、武尊山の花咲口から登拝路を開き、御嶽講の上州における道場として隆盛に導いた功績によるものです。

コースタイム

  • 登山:裏見ノ滝(武尊神社)無料駐車場→20分-林道終点駐車場→2時間5分-剣ヶ峰山→55分-武尊山 合計:3時間20分
  • 下山:武尊山→1時間5分-手小屋沢避難小屋→45分-林道終点駐車場→18分-裏見ノ滝(武尊神社)無料駐車場 合計:2時間8分

難易度 4/10

体力  2/10  日帰り

武尊山のコース

登山口となるのは、西はみなかみ町宝台樹スキー場(藤原口)、南は川場温泉(川場口)、東は片品村の武尊牧場などで、高原を形成している山麓の四方から登ることが出来ます。

みなかみ町宝台樹スキー場(藤原口)コース

武尊神社(裏見ノ滝)からのルートは上部に鎖場が連続する場所があります。川場温泉ルートほどではないにしても、三点支持で登れる技量が必要です。

川場温泉(川場口)コース

川場温泉からのルートは、かつて修験道の行場となった禅定窟、不動岩、天狗岩、カニノヨコバイ、胎内くぐりなどがあり、鎖場が連続する難所となっています。昭文社の地図には破線で書かれたバリエーションルート扱いです。

この山は古くから修験者が入峰する山岳信仰の山として栄えました。開山は、御嶽山・王滝口の中興開山、越後の八海山などを開山した江戸の修験者普寛(ふかん)によって成されました。

その後、行者深沢心明が明治21年(1888年)に川場口から登拝路を開き、沖武尊の山頂に日本武尊の銅像を建立し、武尊講社を創設しました。

武尊牧場コース

最も簡単に登れるのは武尊牧場ルートです。距離は長いものの、緩やかな樹林帯が続きます。

立ち寄りハイキングスポット

裏見ノ滝と武尊神社

武尊山の日帰り登山は出来る?

コースタイムが短いのは裏見ノ滝(武尊神社)登山口からです。裏見ノ滝(武尊神社)から武尊山(剣ヶ峰山、沖武尊)周回コースで、5時間30分のコースタイムです。従って、日帰り登山は十分可能です。

武尊山の登山口近くの温泉

尾瀬の南西に位置する湯の小屋温泉 や 宝川温泉などは 湯量豊富でたくさんの露天風呂を楽しむことができます。宝川温泉・汪泉閣は武尊山の登山口近くにあります。また、湯の小屋温泉はロングコースですが至仏山の登山口 でもあります。

宝川温泉・汪泉閣

約100畳の広さの混浴露天風呂・摩訶の湯
約100畳の広さの混浴露天風呂・摩訶の湯

湯量豊富なので 源泉かけ流しの大きな露天風呂が川沿いに2つあります。 映画「 テルマエロマエ」の撮影地になったことでも 知られています。 近年は海外からの旅行客が増えています。

宝川温泉・汪泉閣は、武尊山の西に位置する温泉です。昭和38年に宝川温泉・汪泉閣が発行した「藤原風土記」には次の様な記載があります。

「日本武尊が奥州へ東征した際、武尊山の西側に流れる川を遡上し、途中の滝で21日間の水垢離をした後、武尊山へ登った。しかし、日本武尊は登山後、疲労と病気で窮地に陥ったが、白鷹に導かれて温泉を発見し、湯治により全快した。」と記しています。

それが宝川温泉であり、古くは「白鷹の湯」と呼ばれていたというのです。また、日本武尊がこの川や滝を自分の名前一つ「尊」の字を付けて「武尊川」「裏見ノ滝」と名付けたということになっています。

裏見ノ滝(武尊神社)登山口まで約10km。

アクセス

水上駅より路線バス。1,150円 宝川入口下車。

日帰り入浴

  • 入浴料1500円、休憩処、売店、食堂などもあります。
  • 営業時間 10:00~16:30(最終受付16:00)

湯めぐりテーマパーク 龍洞

湯めぐりテーマパーク 龍洞

湯の小屋温泉の湯めぐりテーマパーク 龍洞は、 18種の露天風呂が貸切で、空いていれば24時間無料で時間無制限で入れます。18個もの露天風呂があるので、どこかは必ず空いています。一人、あるいは家族だけでプライベート空間が作れ大変リラックスできます。

すべて100%源泉かけ流し天然温泉です。

湯めぐりスタンプラリーがあり、18箇所全部制覇すると記念品が貰えます。

アクセス

水上駅より路線バス。1,550円 湯の小屋バス停(終点)下車、徒歩2分。

マイカー規制期間以外は鳩待峠まで車で行けます。マイカー規制期間は奥利根ゆけむり街道経由で尾瀬戸倉に車を停めてシャトルバスで尾瀬に入ります。

日帰り入浴

  • 平日:10:00~18:00 受付(最終退室時間19:30)
    土日祝:10:00~14:00時(最終退室15:00)
    ※混雑状況によって入場制限の可能性もあり
    ※受付から4時間以内の利用
  • 料金:大人 2,200円 子供(小学生以下) 1,100円

武尊山の天気の特徴

秋の武尊山
秋の武尊山

夏の武尊山は晴天の確率がやや低い

春(4月 - 6月) :この季節は雪解けの時期で、特に5月にはまだ雪が残っている可能性があります。6月になると雪解けが進み、アイゼンが無くてもほぼ支障なく登ることができるようになります。

夏(7月~9月)の武尊山は降水量が比較的多く、雨が頻繁に降ることがあります。霧やもやが発生しやすい状況になります。

秋(10月~11月)は夏に比べて快晴になる日が増えます。

みなかみ町の1か月の降水量は5月114.5mm、6月152.0mm、7月215.8mm、8月210.6mm、9月199.9mm、10月140.5mm、11月90.9mmです。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

武尊山登山ツアー

  • 武尊山|登山・トレッキングツアー

お問い合わせ

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登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

武尊山周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月-6.9-10.9-14.1
2月-6.2-10.5-14.9
3月-2.5-7.3-11.8
4月4.9-1.4-5.4
5月11.54.7-1.4
6月14.98.93.7
7月18.312.58.0
8月19.713.48.8
9月14.89.25.0
10月8.72.8-1.8
11月2.8-2.8-7.1
12月-3.3-7.7-11.7

武尊山登山のための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月×
2月×
3月×
4月×
5月
6月×××
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××
12月
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!武尊山は多くの分岐があります。 登山地図を持って行かないと命のリスクもあります。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。
また、防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 武尊山では稜線に上がると直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 標高2,158mの武尊山ですが、 稜線では日光を遮る木々が一切ありません。夏季は紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
水場は中ノ岳近くに笹清水という水場がありますが秋になると水量が細くなるので要注意です。登山行程や季節に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。
ヘッドランプ必須 アクシデントで暗くなってからの行動を強いられた場合には必携です。また、暗い内からハイキングをする場合にも必要です。
行動食必須 登山のコースタイムはさほど長くありません。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると助かります。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
武尊山では、7~8月でも最低気温が8度近くまで下がることがあります。
軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを
その上に着ると更に保温性が高まります。
手袋あったら良い 鎖場があるルートを登山する場合(みなかみ町宝台樹スキー場(藤原口)コース、川場温泉(川場口)コース)では必携です。
耳栓不要 武尊山は日帰りが基本なので耳栓は不要です。
カメラあったら良い 360度の大パノラマや高山植物、紅葉など山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして3~4個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザック不要
シュラフカバー不要

花咲武尊神社の猿追い祭

花咲武尊神社の猿追い祭
花咲武尊神社の猿追い祭

武尊山山麓に「武尊」を冠する神社が30社以上存在しますが、「武尊」の表記となったのはいずれも明治以降のことです。その中で代表的な古社は、片品村花咲の武尊神社です。この神社は武尊山を祭神とするため本殿を持たずに拝殿のみの造りになっています。

毎年旧暦9月の中の申の日(11月上旬)に国指定の重要無形文化財「猿追い祭」が開催されます。  詳しくはこちら

白装束に白頭巾姿の猿に扮した氏子が拝殿内から飛び出し、神社の周りを逃げ回ります。祭り当番達ちがそれを追い回します。武尊山の猿たちが農作物を食い荒らすなど害をもたらすため、猿を追ったところ豊作になったことから、猿は富をもたらす神霊と考えられ、この祭りが350年間続けられています。