富士山とは

一度は登ってみたい富士山。2013年には富士山世界文化遺産に登録され、ますます人気を集めています。標高3,776mは日本最高峰(剣ヶ峰)で、日本百名山 にも名を連ねた日本を代表する名峰です。

麓から見るその形から単調な登りが続くと思われがちですが、思いのほか変化に富み、富士宮口ルートの岩場、御殿場口ルートの大砂走り、須走口ルートの砂走りなど楽しめる箇所が満載です。

又、富士山頂を一周する「お鉢巡り」は約70分の空中漫歩です。まさに登頂した人だけに与えられた特典です。

どのコースから登る?

一般の登山者が通常使う登山口は四つあり、登山者の多い順に吉田口、富士宮口、須走口、御殿場口です。

そして、五合目の標高が高い順に富士宮口(標高2,380m)、吉田口(標高2,300m)、須走口(標高1,950m)、御殿場口(標高1,440m)です。

登山者の数が多いのは混雑が激しいと言え、登山口の標高が高いほど楽に登れることを意味します。この二つの要件を考慮して登山計画を立てることはとても重要です。

目次

富士山の地図

富士山のアクセス

富士山
吉田ルート 富士スバルライン五合目のアクセスと駐車場
吉田ルート 富士スバルライン五合目のアクセスと駐車場
富士山
富士宮ルート 富士宮口五合目のアクセスと駐車場
富士宮ルート 富士宮口五合目のアクセスと駐車場
富士山
須走口ルート 須走口五合目のアクセスと駐車場
須走口ルート 須走口五合目のアクセスと駐車場
富士山
御殿場ルート 御殿場口五合目のアクセスと駐車場
御殿場ルート 御殿場口新五合目のアクセスと駐車場

富士山の登山ルート概要

① 富士スバルライン五合目から吉田ルート

土砂崩れを防止するための落石防護柵
土砂崩れを防止するための落石防護柵

東京(新宿)からのアクセスが良好で、マイカーなら富士山5合目の駐車場(290台・バス40台)とその下の富士スパルライン沿いにある駐車場(約500台)に停めます。 ハイシーズンには富士スパルラインではマイカー規制が行われますので、日程の確認を行ってください。

山小屋の数が多いこと、五合目の駐車場が広いこと、アクセスが良いこと、全国から直通バスが運行されていることなどにより登山者が集中します。

その為、金、土、日曜等の週末やお盆前後のハイシーズンには、八合目以上の山小屋は1枚の布団に3人詰め込まれることが普通です。ただし、コロナ以降は個室の充実や一人一人の間隔を開けるようになってきています。感染が完全に無くなればまた元に戻ってしまうかもしれませんが。また、登山道、駐車場なども大変混雑するため、これらの時期を避けて登山したいものです。

下山時の注意点として、八合目の江戸屋前で、誤って須走口ルートへ下山してしまう登山者が大変多くなっているようです。

吉田口は首都圏からのアクセスがよく、日本各地から直行バスが運行されています。年間の登山者数が30万人を超え、登山者の半数以上がこのルートを使っています。そのため、山小屋の数は4ルート中最も多く20軒を数えます。

緊急事態に対応できるように診療所の開設され、富士登山初心者には安心です。 一方で、七合目より上の山小屋は大変混雑するため、就寝するというより仮眠するための宿泊所と考えるのが妥当です。

五合目には登山・観光用の馬が10頭ほど繋がれ、7合目まで馬で行くことも可能です。
乗馬料金は吉田口五合目⇒六合目(片道):7,000円 、獅子岩⇒五合目(下山):12,000円です。(夜間や強風の場合は30%増し)

六合目で北口本宮冨士浅間神社の1合目から登る「吉田口」コースを合わせます。「吉田口」コースは、江戸時代富士講の登山道として多くの信者達に登られた道です。

七合目から八合目にかけて岩稜帯となり、登山している感覚を味わうことが出来ます。 八合目で3,000mを越え、酸素が薄くなり高山病が発症しやすくなるばかりか、山頂までは砂礫の登山道のため一歩足を進めるのも大変になってきます。

本八合目の富士山ホテルと本八合目トモエ館の間で須走口登山道と合流します。 そのため混雑時期には本八合目と富士山頂間が渋滞しがちです。

山頂直下辺りでは登山道が狭く、「山頂でのご来光」を見たい登山者が集中するため、進まない状態になることもしばしばです。
その為、山小屋を出発する時間を早め、コースタイムより2時間ほどゆとりを持って行動すれば安心です。

山頂直下にある鳥居をくぐるとく久須志神社の建つ山頂に到着します。 富士山の最高峰は剣ヶ峰で、丁度反対側に位置します。

コースタイム

  • 登山:富士スバルライン五合目→富士山(剣ヶ峰) 6時間40分
  • 下山:富士山(剣ヶ峰)→富士スバルライン五合目 4時間00分

難易度 1/10

体力  5/10 日帰り

富士宮ルート

柱には沢山の硬貨が刺さっている
柱には沢山の硬貨が刺さっている

富士宮ルートは吉田ルートに次いで登山者の多い人気コースです。
そのため富士山の山小屋は混雑し、盆休みやシーズン中の金・土曜日など1枚の布団に2~3人詰め込まれるのは珍しくありません。ただし、各山小屋によって取り組みはまちまちですが、コロナ以降は個室の充実や一人一人の間隔を開けるようになってきています。感染が完全に無くなればまた元に戻ってしまうかもしれませんが。

富士宮口新五合目の標高は2,380mあり、山頂までの標高差が1,396mと富士登山ルートの中で最も小さく、日帰りすることも可能です。
しかし、週末やお盆前後の富士宮口新五合目駐車場はすぐに一杯となるため、道路に沿って駐車された車の列が3kmを越える事も珍しくはありません。
路上駐車の最後尾から出発しての日帰りはやや難しいでしょう。

富士宮ルートは富士宮口新五合目を出発すると、いきなり展望が開け富士山を一望できるコースです。
そのため、日差しが強い日は日焼け止め対策が必須となり、十分な量の水を持って出発してください。(富士宮口新五合目に水場はありません。)

富士宮ルートの登山道は他の3つのルートと異なり登山・下山道が同じです。 全区間に渡って少しザレた道ですが、概ね無難に登山・下山出来ます。

特筆すべき点として、七合目から八合目にかけて広がるダイナミックな岩場が大変印象的です。 夏道で、仮に滑落事故を起こすとすれば、富士山に於いてこの区間以外考えられないと思います。

富士宮五合目と水ヶ塚公園間、水ヶ塚公園と御殿場口新五合目間をそれぞれ結ぶシャトルバスと夏期富士登山バス/ハイキングバスが運行されていますので、マイカーを水ヶ塚公園に駐車し、登山を富士宮口とし、下山を御殿場口とする様なコースを組むことも出来ます。

コースタイム

  • 登山:富士宮口五合目⇒富士山(剣ヶ峰) 5時間30分
  • 下山:富士山(剣ヶ峰)⇒富士宮口五合目 3時間40分

難易度 1/10

体力  4/10 日帰り

須走ルート

胸突江戸屋から御来光館
胸突江戸屋から御来光館

須走口五合目の標高は1,950mで吉田口五合目や富士宮口五合目に比べれば400mほど低くく、富士山頂との標高差は1,826mとなり日帰りは困難でしょう。そういったこともあって登山者の数は比較的少なく、山小屋も空いています。富士登山を経験している人の多くが選ぶルートと言っても良いでしょう。

登山口にある宿泊施設の東富士山荘と菊屋には休憩所があり、その前を通って参道の様な石畳の道を進むと、鳥居が見えてきます。
古御岳神社の鳥居をくぐり、登山の安全を祈願して登山道へと足を進めます。

須走口登山道はスタート地点から本六合目近くまでは樹林帯の中にあり、六合目の瀬戸館を少し登ったあたりで森林限界を越え展望が開けてきます。
7月下旬から8月上旬にかけて、高山植物のメイゲツソウ、オンダテがあたり一面に、赤や白に咲き誇り、単調になりがちな富士山登山に変化を与えています。
 
須走口江戸屋前で吉田口五合目ルートの下山道と合流し、本八合目トモエ館の前で吉田口五合目ルートの登山道と合わせます。

ここからは吉田口と須走口からの2本の登山道が一緒になるため混雑することもしばしばあります。 ハイシーズンの時期には山頂で御来光を迎えようする登山者が多く、山小屋から通常のコースタイムより2時間ゆとりを持って出発することをお勧めします。

下山時は登山道とは違う「砂走り」と呼ばれるザクザクの砂の斜面を駆け下ります。砂はクッションとなり足への負担が少なく、登山時に比べ、はるかに短時間で下りる事が出来ます。

コースタイム

  • 登山:須走口五合目⇒富士山(剣ヶ峰) 7時間40分
  • 下山:富士山(剣ヶ峰)⇒須走口五合目 3時間30分

難易度 1/10

体力  6/10 日帰り

御殿場ルート

大砂走り
大砂走り

御殿場口の標高は1,440mと他の3ルートに比べ1,000mほど低く、そのため山頂との標高差は2,336mと極めて大きくなり、日帰りは健脚者以外ほぼ無理でしょう。

登山道と下山道は、七合目の「日の出館」(現在は営業停止)の所で合流して、ここから山頂までの区間は登山道と下山道が同じです。

御殿場口から「日の出館」までの区間は概ね砂道のため、砂に足が埋まり登りにくく時間を要します。「日の出館」から山頂までの区間はそれまでとは比べ物にならないほど登りやすい登山道になります。

登山道としての人気は4ルート中最も低いのですが、 御殿場口新五合目から約15分間歩いたところの大石茶屋からは、富士山の広大な裾野と左手に見える双子山、二ッ塚等の眺望は他の登山口には無い絶景を見せてくれます。

また、7月下旬から8月上旬にかけて、御殿場口周辺はメイゲツソウ、オンダテやフジアザミの高山植物に覆われ、花々が、白、ピンク、赤に咲き乱れる様は大変見事です。

また、登山者が少ない分、山小屋の混雑はあまりなく、一人1枚の布団を確保することは、ほとんどの日に於いて可能です。

御殿場口五合目から富士山頂までは約9時間と他の3ルートに比べはるかに長く、しかも単調な登りが続きますが、下山は僅か3時間と短く、足に負担を感ずること無く、下りる事が出来ます。

七合目の「日の出館」から新五合五勺の「太郎坊」までの約7kmの区間は、「大砂走り」と呼ばれ、直線的に伸びる下山道です。 「大砂走り」にある火山灰地は1,707年の宝永山の噴火の際、吐き出された火山灰が厚く積もって出来たものです。 この火山灰地は歩くたびに深く沈みこみ、足への負担を感じさせず、一歩で2mも下る事が出来るほどです。

そのため登山道は標高差が最も少なく、登りやすい富士宮口ルートを使い、下山道として足に負担が少なく、短時間で下りることが出来る御殿場口下山ルートを使う登山者が多く見られます。

マイカー規制期間中は富士宮五合目と水ヶ塚公園間をシャトルバスが運行されています。また、【夏期富士登山バス/ハイキングバス】が御殿場駅~御殿場口新五合目~水ヶ塚公園間をバスが走ります。マイカーを水ヶ塚公園に駐車すると、上記の様なプリンスルートを組むことが出来ます。

コースタイム

  • 登山:御殿場口新五合目⇒富士山(剣ヶ峰) 8時間00分
  • 下山:富士山(剣ヶ峰)⇒御殿場口新五合目 3時間40分

難易度 1/10

体力  7/10 日帰り

⑤ プリンスルート

宝永第一火口
宝永第一火口

登山時のルート

富士宮五合目⇒宝永第一火口⇒宝永山⇒御殿場口七合目⇒赤岩八合館(泊)⇒富士山頂

下山時ルート

富士山頂⇒御殿場コース(大砂走り)⇒御殿場口新五合目

プリンスルートをお薦めする理由

御殿場ルートは富士の雄大な風景が大変魅力的ですが、登山が大変です。そこで、富士宮口五合目から入山し、宝永山を周り赤岩八合館に宿泊します。

富士宮口の山小屋は混雑して窮屈ですが、御殿場ルートにある赤岩八合館は比較的すいていて、ゆっくり休むことが出来ます。 下山は豪快な大砂走りを楽しみ御殿場口新五合目へ。健脚者なら日帰りも出来るでしょう。

マイカーの場合には水ヶ塚公園駐車場からシャトルバスを使用します。

※詳しくは富士宮口五合目ルートと御殿場口五合目ルートをご覧ください。

  • 距離15.1km
  • 登り1,470m
  • 下り2,405m

コースタイム

  • 登山:富士宮五合目⇒富士山(剣ヶ峰) 6時間30分
  • 下山:富士山(剣ヶ峰)⇒御殿場口五合目 3時間40分

難易度 1/10

体力  5/10 日帰り

⑥ 吉田口登山道で吉田口六合目ルート

御座石の隣には5合目焼印所・宿泊・ご休憩所
御座石隣の5合目焼印所・宿泊・ご休憩所

富士山信仰のメッカとも言える「北口本宮冨士浅間神社」から吉田口登山道は始まります。この富士吉田登山道は、富士山世界文化遺産の構成要素の一つになっています。

噴火活動が活発化した貞観6年(867年)頃から富士山を「浅間大神(あさまのおおかみ)」と呼ぶようになります。 そして、鎮火祈願を目的として「アサマの神」を祀る「富士浅間神社」が出来ることになります。

富士山は、修験の行場から衆人の登拝の山へとなっていきます。江戸時代になると富士講が結成され、関東一円から多くの道者が訪れてきます。その受け入れ先として富士吉田市には御師の宿坊が70余り軒を連ねたといます。 江戸から富士吉田市まで来るのに約3日かかり、登山にも最低2日を要する長旅のため、現在とは違い、かなりの資金が必要だったようです。そのため、富士講を作り、資金を出資し、選ばれた人のみが登拝するという仕組みが出来上がりました。

浅間神社から中の茶屋を経て馬返しまでは、草山三里と呼ばれ、ほぼ真直ぐな緩い道が続きます。現在では舗装道路になっています。

馬返しから先は、富士登拝の数々の遺構が残されています。平安時代の歴史書「本朝世紀」には、久安5年(1149年)に、末代僧侶が富士山頂に大日如来を本尊とする大日寺を建てたとする記述があります。 その後、山頂及び吉田口登山道には仏像・神像など80体以上が残り、富士山信仰隆盛の一端を知ることが出来ます。

5合目辺りに中宮一之鳥居があって、その上が中宮と呼ばれる場所で、「中宮三社」が祀られていたと言います。木山と焼山の境界に当たるため、「天地境」とも呼ばれていました。この地に中宮役場が建てられ役銭場として入山料を徴収していました。 その後、麓で山銭料を一括して納めるようになると、その証明書の「登山切手」が発行され、それを確認する場所になりました。

5合目には冬季営業している佐藤小屋があります。テント場が併設され、1年を通して富士山をアタックする登山者には大変ありがたい存在です。 佐藤小屋と六合目との間に日蓮上人縁の地(姥ヶ懐の覆屋、六角堂)があります。

馬返しから佐藤小屋までは約3時間のコースタイムを要します。ここから山頂を目指してもよし、富士スバルラインの終点近くから始まる御中道へ足を伸ばしても面白いでしょう。

参考文献:富士山叢書 富士を登る 富士吉田市歴史民俗博物館

コースタイム

  • 登山:馬返し⇒佐藤小屋⇒六角堂 3時間10分
  • 下山:六角堂⇒馬返し 2時間30分

難易度 1/10

体力  2/10

村山古道ルート

札打場
札打場

東海道から村山古道の拠点となる村山浅間神社(富士山興法寺)へは、大宮の富士山本宮浅間大社に参拝し、同所の湧玉池で水垢離を行った後で、村山浅間神社へ向かうのが一般的でした。現在、大宮と村山間のルートがどこにあったかはっきりとした事は分かっていません。

東海道から大宮に入る道は、岩本から高原、黒田を経由するルートと吉原から伝法、久沢、天間、小泉を経由する二つのルートがありました。 一方で、吉原から富士山本宮浅間大社を経由せず、直接村山浅間神社へ向かう道もあり、現在でも道路沿いに「村山道」と石に刻まれた道標が7基残っています。 今回紹介するのは、村山浅間神社から大宮口新道と合流する新六合目までの区間です。

富士山が世界遺産として登録された理由として、富士山信仰があります。まさにこの村山は富士山信仰の発祥の地とも言える場所で、平安時代末期に山岳修行をした末代上人の流れをくむ人々が富士山興法寺を建立し、村山修験の拠点となり、富士山における修験道が発展したと言う点において、富士山世界文化遺産としての核心部と言っていい場所です。

しかし、江戸時代になると富士講の発展と共に北側の登山口である吉田口に人々が集まるようになります。更に宝永噴火によって壊滅的な被害を受け、次第に衰退していきます。決定的となったのは明治元年の神仏分離令に伴う廃仏毀釈運動です。それにより富士山興法寺は廃寺となり、村山浅間神社となります。それ以降、村山古道を登る人はほとんどいなくなり、荒廃していきます。境内に村山修験の歴史をとどめる大日堂が残っているのは不幸中の幸いと言えるでしょう。

平成に入り、富士宮市によって村山口登山道の調査が行われ、村山浅間神社(富士山興法寺)を登山口とする村山古道は、地元の富士山村山口登山道保存会によって復活し、歩けるようになっています。とは言え、多くの登山者が行き交う一般道とは違い、整備が不十分な場所もところ所に見受けられます。特に、富士裾野林道から北井久保林道へ至る区間は、大きく崩壊した所を登山道が付け替えられています。それまで付いていた赤札が残っているため、それに導かれてルートを外す危険があります。特に、下山で使う場合には更にルート間違いの危険が高まります。

札打場を超えた辺りから植林の作業道が数多く交差するため、目印となるテープを注意深く確認しながら進む必要があります。この場所も、下山時では極めルート間違いが起こりやすいと感じました。

そして吉原林道を超え、富士山麓山の村の直前で分りにくい場所があります。その後、森林限界を超える五合目まで大変分りやすいルートになっています。

村山古道は、富士宮口六合目で雲海荘の左手に登り上げています。しかし、ここから下山に使う場合には、村山古道下山口を示す指導標がありません。登山道入口が分らない場合には雲海荘のスタッフに聞いてください。親切に教えてくれるはずです。

村山古道全ルートに渡って数多くの赤テープが付けられています。しかし、今までに述べた様に、よく整備された一般道とは違います。赤テープが途切れたと思ったら、直ちに赤テープを見失った場所まで戻ってください。

※ 村山浅間神社と共に富士宮口六合目以上が富士山世界文化遺産に登録されています。

ここより山頂へは富士宮口ルートをご覧ください。

参考文献
富士山村山口登山道跡調査報告書 富士宮市立郷土資料館
村山浅間神社調査報告書 富士宮市教育委員会
富士山・村山古道を歩く 畠堀操八

コースタイム

  • 登山:村山浅間神社⇒富士宮口六合目 7時間50分
  • 下山:富士宮口六合目⇒村山浅間神社 6時間10分

難易度 1/10

体力  8/10 日帰り

お鉢巡り

富士山の噴火口
富士山の噴火口

富士山の山頂には直径600m、深さ200mほどもある噴火口が口を開けています。 その周りには剣ヶ峰(標高3776m )を最高峰とする八つの小ピーク、朝日岳(別名:大日岳 標高3735m )、伊豆ヶ岳(別名:阿弥陀ヶ岳 標高3749m )、成就ヶ岳(別名:勢至ヶ岳 標高3733m )、浅間ヶ岳(別名:駒ヶ岳 標高3722m )、三島岳(別名:文殊ヶ岳 標高3734m )、白山岳(別名:釈迦ヶ岳 標高3756m )、久須志岳(別名:薬師ヶ岳 標高3725m )が取り巻いています。

八つの峰に名前が二つ存在するのは、明治新政府が発布した神仏分離令に伴う廃仏毀釈が原因で、仏教色のある山名をすべて変更したからです。

お鉢巡りは一周約2.3kmを、歩行時間1時間15分ほどかけて巡るコースです。 正式名称は「富士山頂周回線歩道」といます。富士山頂に登ったならぜひ「お鉢巡り」に挑戦してください。

「お鉢めぐり」の名前の由来は、富士山頂の八つの峰を巡ることから、「お八巡り」となり、それが転訛したという説、噴火口の形を「鉢」に見立てたという説などがあります。

お鉢巡りでは大内院と呼ばれる噴火口の迫力をいろんな角度から望められ、富士山頂を一周しないと体験できない360度の展望を楽しむことが出来ます。

しかし、富士山は独立峰のため風が強い時があり、風に飛ばされて噴火口へ滑落したという事故も起こっています。そのため「お鉢巡り」をするには天候を十分考慮する必要があります。

かつて「お鉢巡りは」、山岳修行の一環として行われ、山頂火口の内院にお賽銭(参銭)を奉納することが習いでした。その歴史は富士山世界遺産-山頂の信仰遺跡群と須走口五合目登山道をご覧ください。

吉田口五合目ルートを登リ、鳥居をくぐると、久須志神社前に飛び出します。久須志神社で300円を払って金剛杖に朱印を押してもらいます。登山客でごった返す4件の山小屋の間を通り抜け、時計回りでお鉢めぐりをスタートします。

大日岳、伊豆ヶ岳、成就岳の山腹をトラバース気味に南下し、現在休業中の銀明館前まで来ます。その近くに小さな鳥居があり、その奥に囲いで立ち入りが禁止された銀明水が湧き出しています。金明水と同様に富士山頂に降った雪が溶岩の隙間から湧き出しているものです。初穂料500円を払えば、富士山頂浅間神社奥宮で霊水・銀明水を分けてもらえます。また、家内安全等の諸祈願、お札・お守りの授与、金剛杖・行衣等への御朱印の授与も行っています。開扉の期間は、7月上旬から8月下旬の日の出から日没まで、期間中は無休です。

富士山頂の縁起物お土産として、御浄箸、富士山守、御霊岩守り、しゃもじなど久須志神社や富士山頂浅間神社奥宮で初穂料(300円~1000円)を納めて授与できます。

富士山頂上郵便局ではオリジナルの風景印の押されたハガキを出すことも出来ます。登頂証明書や記念品なども充実しています。

剣ヶ峰のピークは狭く一人がやっと立てるくらいのスペースしかないため、順番待ちの登山者の列が出来る事がよくあります。

コースタイム

  • 富士山頂一周 1時間10分

難易度 1/10

体力  1/10

グランドキャニオンから小富士 

富士山のグランドキャニオン
富士山のグランドキャニオン

グランドキャニオンは、砂漠化した小富士を源頭部とする東側に洪水で削られた危うい渓谷です。富士山の噴火による軽石で埋め尽くされたこの渓谷は砂上の楼閣ともいえるやや危険なルートと言えます。

富士のグランドキャニオンは、富士山が今後、どのように崩壊していくのかという事が分かる生きた実例で、地質学的価値が高いといえます。

ふじあざみラインの馬返しが登山口となっています。かつては、ルート上に多数の道標が設置され、ルートを外す危険は全くありませんでしたが、現在は、ルート上のほとんどが富士演習場の一部となっているため、すべての道標が撤去され、踏み跡がいまいちはっきりしません。とはいえ、谷底を詰めて登れば正面に立ち塞がる崖までは自然に導かれます。

行く手を遮る崖の登攀がやや難所で、さらにルート間違いのポイントにもなっています。ここをクリアすれば、あとは砂礫の斜面をじっくりと登り上げるだけです。

小富士に到達すると大きく展望が開け、正面に横たわる富士山の巨体、東側に目を転じると箱根や伊豆半島、その左手には山中湖や河口湖、道志、御坂の山々が視界に収まります。

小富士から須走口五合目へ向けて15分ほど歩くと車を駐車した「須走馬返し」へ下るルートが分岐します。この登山道は、江戸時代から続く旧道で富士箱根トレイルという呼び名が付いています。約1時間直線的な道を下ると登山口の「須走馬返し」に戻れます。

かつて富士講の参拝者は御師に導かれて東口本宮冨士浅間神社で参拝を済ませ、この道を登りました。

コースタイム

  • 登山:ふじあざみライン「須走馬返し」⇒グランドキャニオン ⇒小富士 ⇒須走口五合目 1時間50分
  • 下山:須走口五合目⇒ふじあざみライン「須走馬返し」 1時間

難易度 3/10

体力  1/10

宝永山

宝永山
宝永山

富士宮口新五合目の標高は2,380mあり、宝永山の標高は2,693mなので標高差が僅か313mと小さく登山というよりハイキングといった行程です。
宝永山に登るには、富士宮五合目から六合目の宝永山荘の前を通るルートと駐車場の先から樹林帯の中に入り、宝永第二火口方面に向かう二つのルートがあります。
ここでは後者のルートを通って行きます。

駐車場から30分ほど登ると宝永第二火口縁で、ここで樹林帯を抜け、一気に展望が開けます。 宝永第二火口縁から見上げる宝永火口は絶景です。
また、右手方向には宝永山が見え、その山腹にはz字形に刻まれた登山道が馬の肩まで伸びています。

宝永第一火口分岐で宝永山荘からの道を合わせ、宝永火口に下ります。 宝永火口にはベンチとテーブルが設置され休憩ポイントになっています。

馬の肩まで砂の斜面を登るため、見た目以上に時間がかかります。 馬の肩から宝永山山頂までは、平坦な登山道を10分ほど進むと到着します。

富士宮口から宝永山を経由し、御殿場口五合目登山道に入り、富士山頂を目指すルートはプリンスルートと呼ばれ、 以前皇太子が登られたことからこの名が付けられたそうです。 馬の肩から40分ほどで御殿場口登山ルートに入る事ができます。

※くれぐれも下山道を登らないこと(砂の道のため大変時間を要します。)

コースタイム

  • 富士宮口新五合目→宝永山 一周3時間

難易度 1/10

体力  1/10 (日帰り)

二ツ塚双子山

双子山と二ツ塚
二ツ塚双子山

御殿場口の特徴は、標高が低い為、富士山の裾野が広範囲に広がっていることで、双子山の周辺と共に広大な裾野には高山植物のメイゲツソウやオンタデが群生し、 いたるところで咲き誇る様は大変見事です。
花期は7月の末からで、本日7月19日は一分咲きです。双子山の標高は1,804mと低いので、富士登山が出来ない季節のハイキングコースとなっています。

御殿場口新五合目駐車場脇から登山道が始まります。 二つの小さなピークが富士山の左手に見えます。二ツ塚は上塚と下塚の二峰からなる丘のような山で、別名「双子山」と呼ばれています。二つの小さなピークは、手前から下塚(下双子山)、奥は上塚(上双子山)です。

大石茶屋の脇を通り過ぎ、砂の斜面をゆっくりと登ります。

双子山山頂へは登山口から80分ほどで着き、山頂からは御殿場市街とその先に丹沢の山々、そして右手には箱根の山々(金時山など)を眺望できます。

双子山から幕岩方面に向かい下っていきます。途中、四辻の分岐で左手方向に進路を変え下ります。

四辻から樹林帯に入るまでの登山道はやや踏み跡が薄くはっきりしませんが、指導標がたくさん設置されているので道に迷うことはありません。
ブナ林の中をさらに下ると幕岩です。幕岩は名前の様に幕の形に見える岩です。

幕岩からさらに下り、丸太の橋を渡り、樹林帯を抜けると御殿場口新五合目駐車場の少し上に出ます。

コースタイム

  • 一周2時間30分

難易度 1/10

体力  1/10

幻の滝

幻の滝
幻の滝

「幻の滝」が現れる条件は、季節限定・時間限定です。ふじあざみラインが開通する4月下旬から6月上旬にかけてチャンスがあります。年により流れ始める時期は前後します。その年の降雪量や気温などに影響を受けます。朝から十分な日差しがあり、五合目の日中の気温が16度を超えるのが一つの条件になります。

流れ始めるのは正午を過ぎてからで、最も水量が多くなる時間帯は午後2時から3時頃です。夕方になり、気温が低下すると再び水の流れは消えてしまいます。

コースタイム

  • 登山:須走口5合目→幻の滝 25分
  • 下山:幻の滝→須走口5合目 25分

難易度 1/10

体力  1/10

富士山世界文化遺産

白糸の滝
白糸の滝 

富士山世界文化遺産登録の理由

世界遺産には文化遺産、自然遺産、複合遺産の三つがあります。平成25年6月22日、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産委員会において富士山は「信仰の対象と芸術の源泉」として文化遺産に登録されました。

村山浅間神社 (富士山興法寺) を拠点に始まった富士山における修験道、江戸で人気を博し一般大衆化した富士講による登山など「信仰の対象」としての富士山。

雄大で美しい姿から「万葉集」「竹取物語」「古今和歌集」「伊勢物語」などの古典作品をはじめ、様々な現代文学者によって詩や歌に詠まれてきた富士山。
また、葛飾北斎や歌川広重などの絵画に描かれるなど様々な創作活動の題材となってきた事などが「芸術の源泉」としての富士山であり、これら二つの視点から世界遺産に登録できる十分な理由とされたのです。

静岡県と山梨県に跨り、国内で17件目の世界遺産として2013年に登録されました。そしてこの貴重な資産は、未来に向けて大切に守って行くことが求められます。

富士山のお薦め観光スポット

朝倉山浅間公園
朝倉山浅間公園

富士芝桜まつり、朝倉山浅間公園 桜まつり、忍野八海、北口本宮冨士浅間神社、ふじさんミュージアム、富士山レーダードーム館、富士山本宮浅間神社、白糸の滝、田貫湖、柿田川湧水などをご紹介。

富士山の日帰り登山は出来る?

富士宮口新五合目登山道

富士宮口新五合目の標高は2,380mあり、山頂までの標高差が1,396mと富士登山ルートの中で最も小さく、健脚者なら早朝出発すれば日帰りも可能ですが、一般の登山者は7合目か8合目あるいは山頂で一泊する2日間 の日程を取るのが賢明です。

富士宮口五合目の駐車場が狭いため、シーズン中はAM5時には登山口に着いておきたいものです。 ただし、マイカー規制があるので水ヶ塚公園駐車場からタクシーまたはシャトルバスで富士宮口5合目に向かいます。

コースタイムは剣ヶ峰往復で9時間10分です。お鉢巡りに1時間30分かかるので、休憩時間を含め最低でも12時間を見ておく必要があります。従って、体力に自信がない方は山小屋泊をお薦めします。

吉田口五合目登山道

吉田口五合目からのコースタイムは剣ヶ峰往復で10時間40分です。この数値だけ見ると日帰りも可能ではないかと思われがちですが、登山道はザレていて登りにくく、標高が3,000mを越えると空気が薄くなり、なかなか足が前に進みません。山頂のお鉢巡りをする場合はさらに1時間30分が必要です。

従って、健脚者のみ日帰り可能です。須走口五合目ルートや御殿場口五合目ルートでは更にコースタイムが掛かるので、日帰りは困難となるでしょう。

富士山頂で御来光を見る

富士山頂で御来光を見るためには、8合目では日の出時間の1時間30分前の午前2時30分頃、7合目では2時間30分前の午前1時30分頃に山小屋を出発する必要があります。従って、山小屋では就寝というより「仮眠」といった方が適当です。少しでも睡眠時間を多く確保するために、夕食後は早めに布団に入りましょう。

吉田口や富士宮口から登る場合には山頂近くで渋滞することが多く、さらに1時間ゆとりを持って出発することをお薦めします。また、 真っ暗の中を登るためヘッドランプは必ず持参してください。

富士山頂の日の出時刻の目安

月日7月1日7月11日7月31日8月10日8月20日8月30日9月9日
時間4時21分4時27分4時41分4時49分4時57分5時5分5時12分

※ 詳細は国立天文台(天文情報センター暦計算室/今日のこよみ)

弾丸登山

登山口を夜に出て徹夜で山頂を目指す、「弾丸登山」については山梨県と静岡県で自粛を呼びかけています。ほとんど眠らずに登山するため、体調を崩す登山者が多くいるためです。

富士山の登山口近くの温泉

秀峰閣湖月

秀峰閣 湖月

正面に河口湖、その先に富士を望む絶景の温泉です。全ての部屋から河口湖を望み、その先に富士山が聳えます。露天風呂付客室もあります。

会席風に仕上げた料理は、旬の素材を取り入れ、年間8回の料理変更を行っています。

河口湖温泉旅館うぶや

河口湖温泉旅館うぶや

温泉から、お部屋から、ラウンジから、
館内どこからでも富士山を眺めて過ごせます。

泉質はカルシウム・ナトリウム・塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。

富士山の天気の特徴

快晴の北岳 大樺沢上部
晴の北岳 大樺沢上部

富士山は晴天の確率が比較的高い

富士山の山域は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量は多くありません。

また、富士山では比較的晴天に恵まれることが多いのも 特徴に挙げられます。

富士山周辺の山麓では曇っていても、八合目辺りに雲海を作り、山頂は晴れている場合もあります。そのため、山頂部での天気の見極めが重要になります。

又、富士山は、独立峰であるため、気象条件によっては極めて強い風が吹くことがあります。五合目以上は森林限界を超える所がほとんどなので、風速20m/秒以上の強風にさらされると歩くことが不可能になります。又、体感温度は風速1mにつき1℃下がるので、悪天候時には低体温症で行動出来なくなる危険性がありますから、無理な登山は控えましょう。

6月から7月の梅雨明けまでは晴天の確率は低いですが、梅雨開けと共に晴天がしばらく続きます。また、秋も比較的晴天に恵まれます。しかし、10月上旬で初冠雪を見る年もあり、雨天だけではなく、強風などにも天候には十分な注意が必要です。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

高山病

標高2,500mを越えると酸素が薄くなり、酸素欠乏状態となり起こる症状のことを指します。 一般的には3,000m辺りから高山病の症状を訴える人が多くなりますが、個人差が大きく、糖尿病や高血圧の 持病のある人は特に要注意です。 症状は頭痛、吐き気、食欲不振なのです。

高山病の予防

  • 高度順応に時間をかける。
    富士山五合目の登山口で準備に時間をかけるだけでもずいぶん違いが出ます。五合目に着いたら2~3時 間過ごし、高度順応をすることをお勧めします。 登山はゆっくりと登り、時間に ゆとりある計画を立てましょう。
  • 十分な水分補給する。
    高山では脱水症状を起こし易く、それが高山病を誘発するため、こまめに水分を補給しましょう。
  • 酒、タバコを控える。
  • 呼吸が肝心。
    登山している間、意識して深い呼吸をする事が重要です。マラソンランナーが使用している鼻拡張テープが有効です。鼻通りが良くなって呼吸が楽になります。山小屋での就寝中もいびき防止対策になります。

高山病になった時の対策

  • 高度を下げない限り改善は見込めませんが、山小屋で販売されている携帯酸素(1,500円)を使用することで幾分改善します。
  • 登山を一旦中止し、深い呼吸をしてしばらく休憩をとりましょう。それでも症状が悪化するようなら下山してください。

水場

富士山には水場は1個所もありません。 もちろん五合目の登山口も同様です。 各登山口を出発するとすぐに展望が開け、直射日光を浴びる事になります。

水分の補給は他の山域以上に必要になりますから、 十分な水の持参をおすすめします。
富士山の山小屋では水500mLのペットボトルが500円で売られています。

山開きと登山最適時期

富士山の山開きは山梨県側が7月1日で、静岡県側は7月10日です。山小屋や各種施設(休憩所、トイレ、売店)などが一斉にオープンします。 概ね9月10日前後で、公衆トイレは使えなくなり、ほとんどの山小屋が小屋閉めです。

登山初心者にとって、天気が安定する梅雨明けから8月末までが登山に適しています。 気温は100m上がるごとに0.6度下がりますから、例えば平地で30度の時は富士山頂では7.6度となります。8月の最低気温で、-4℃を記録したこともあるためフリース等の防寒着とレインウェアは必ず持って行きましょう。

富士山に咲く高山植物

富士山の砂礫に咲くメイゲツソウとフジアザミ

富士山に降った雨はすべて地中に吸収されます。砂礫の土壌のため保水力がなく高山植物はあまり多くありません。その中でも特出するのは7月下旬から8月上旬にかけて咲くメイゲツソウです。御殿場口五合目や宝永山の下の広範囲の群落を形成します。

メイゲツソウの赤く見える花は、花ではなく実です。花は白色です。

また、大きな花をつけるフジアザミも富士山および富士山周辺の砂礫地や崩壊地に見られます。

各種情報

富士山登山ツアー

各種お問い合わせ

登山届提出

  • 山梨県警察
    お問い合わせ:山梨県警察本部地域課 
    住所:〒400-8586 甲府市丸の内1-6-1
    電話番号:055(221)0110(代表)郵送、電子メール、ファックスなので提出可能です。
  • 静岡県警察 しずおか電子申請サービスを利用して、登山計画書を提出することができます。
    お問い合わせ
    静岡県警察本部地域部地域課
    静岡県静岡市葵区追手町9番6号
    電話番号:054-271-0110

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

富士山山頂周辺の気温

最高気温平均気温最低気温最低日
1月-15.4-18.4-21.7-37.3
2月-14.7-17.8-21.5-38.0
3月-10.9--14.2-17.8-27.8
4月-5.7-8.7-12.1-27.8
5月-0.8-3.4-6.5-18.9
6月3.61.1-1.6-13.1
7月7.54.92.4-6.9
8月9.36.23.6-4.3
9月6.13.20.4-10.8
10月-0.1-2.8-5.8-19.5
11月-6.5-9.2-12.2-28.1
12月-12.2-15.1-18.3-33.0

富士山へ登るための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラステント
1月×
2月×
3月×
4月×
5月×
6月×
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××
12月×
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!富士山はいたるところに分岐があります。 登山地図を持って行かないのは命取りと言えます。昭文社の山と高原地図があすすめです。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。上下セパレートタイプの透湿性と防水性・撥水機能を兼ね備えたゴアテックスがベストですが、近年では、様々な素材が開発されています。

レインウェアは雨天時に使用するだけでなく、強風時の気温が低下した状態でも防寒着として威力を発揮します。その為、ポンチョのような簡易なものではなく、上下セパレートタイプの高機能なギアが、安心安全な登山をサポートしてくれます。
帽子必須 吸湿速乾性を備えたつばが広く軽い帽子がお薦めです。UVカット機能があれば更にGoodです。風が強い時は顎紐でしっかりと固定しましょう。
日焼け止め必須 5合目以上がほぼ森林限界を超えているため、ダイレクトに紫外線を浴びることになります。日焼け止めは、登山中に汗で流れてしまうため、こまめに塗り直しましょう。
飲料水必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
例)吉田口5合目から山頂ピストン
体重60キロの人の場合、約3.5リットルの水が必要です。各5合目登山口には水場が無いので、前もって用意しておく必要があります。バックパックの重さを軽量化させるには山小屋で販売されている500mlのペットボトル(500円)をこまめに購入するのも一法です。
ヘッドランプ必須 夜になると電気を落としてしまう山小屋もあります。そんな時トイレに行くのが不自由です。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝むためにも必要です。
行動食必須 登山のコースタイムが長いので多めに持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。登山行程が長く体力を必要とするところが多いので、トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。
防寒着必須 暖かいフリースやセーター、軽いダウンジャケットなど。富士山頂では、7~8月でも最低気温が-4℃ほどに下がることがあります。軽くて保温性が高く、防風性、通気性、適度な伸縮性のある素材のものを選びます。更に気温が下がった場合には、上下セパレートタイプのレインウェアをその上に着ると更に保温性が高まります。
手袋あったら良い 砂礫の登山道では、下山時にスリップや転倒が起こりやすいものです。その際、手を保護してくれる手袋は役に立ちます。防風性能重視の革製の手袋がベストですが、軍手でもOKです。
耳栓あったら良い 富士山は山中の山小屋で一泊するコースがほとんどです。山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。アイマスクもあると便利です。
カメラあったら良い 高山植物が豊富なので山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。登山では軽量のカメラが重宝します。一眼レフミラーレスタイプのカメラがお薦めです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れなど多目的に使用出来ます。スーパーのビニール袋が4~5個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザックあったら良い お鉢巡り時にザックを置いて、サブザックで身軽な状態で富士山頂を周回することが出来ます。水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。
シュラフカバーあったら良い 遭難時や混雑している山小屋(一つの布団に2人)で役に立ちます。毛布2枚を床に敷きゴアテックス製のシュラフカバーに入ります。
サングラス富士山では紫外線が強いので、角膜が紫外線を吸収する際、メラニン色素が作られます。目をしっかり覆うスポーツタイプのサングラスがベストです。

富士山の伝説

木花開耶姫

日本書紀に木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)が登場します。富士山の神様で女神です。金の冠を被り赤い裳をまとい雲に乗って富士山頂に立った想像上の小さな像が江戸時代に作られました。

この神様は「安産と防火」にご利益があり、更には、芸能、家庭円満、酒造り、災難消除、農漁業守護、登山安全など様々なことにご利益があるとして江戸時代の商人に大変人気だったとか。

北口本宮冨士浅間神社をはじめ、日本全国の1300を超える浅間神社の御祭神になっています。

ふじさんミュージアム

東口本宮冨士浅間神社と富士講

富士講の開祖と言われた長谷川角行は、

山岳修験者で人穴洞窟に入り修行を重ね全国に富士講を広めました。特に江戸庶民の間で人気を得、106歳で富士の人穴で入定したと伝えられています。その後、本名伊藤伊兵衛が17歳の時に富士講を知り、修行の後、食行身禄と名を改め、さらに教えを広めていきます。63歳の時、吉田ルートの八合目の烏帽子岩で断食入定をし、即身仏となりました。

この2人に功績により、江戸八百八講と呼ばれるほど数多くの講が出来、富士講は爆発的な人気になっていきます。

御師とは、全国から集まってくる登拝者のために宿舎(宿坊)を提供し、登山のための様々な世話をする人たちのことです。浅間神社に所属し、身分は神職です。宿坊に宣言大菩薩を祀る祭壇を設けて祈祷することも行われていました。

ちなみに、須走口五合目の東富士山荘では、代々御師として多くの講を受け入れています。食堂の壁には各地からの講の札が掛けられています。

富士講の歴史

「食行身禄」の入定

食行身禄・北行鏡月・仙行伸月像
食行身禄・北行鏡月・仙行伸月像

食行身禄像(1671~1733)の前方に「三十一日ノ巻」を持つ北行鏡月(田辺十郎右衛門)とその息子で、茶碗を持つ仙行伸月(田辺利兵衛)の像です。

食行身禄は、富士登山を45回、御中道を3回行い、富士登山の隆盛の立て役者となった人物です。彼は吉田口を修行の地とし、八合目で水売りをしていた北行鏡月が身禄の弟子になります。八合目元祖室(がんそむろ)の隣の鳥居をくぐりそのまま階段を上がると烏帽子岩神社が祀られています。即身仏となった身禄派の祖・「食行身禄」が祀られている神社です。

食行身禄は、烏帽子岩の陰に小さな厨子を作り、一日に雪一椀だけを口にする断食修行に入り、1ヶ月後の7月13日に入定したといいます。1732年(享保17年)に始まった享保の大飢饉で餓死する人が続出します。それを嘆いた身禄は、富士山において自らの命に代え、良き世の到来を願ったのです。その様子を弟子の北行鏡月に書かせたのが「三十一日ノ巻」です。

食行身禄が富士山で入定したというニュースは江戸の町にたちまち広がったといいます。金銭欲を持たず、権力に媚びない食行身禄の姿に江戸庶民は称賛の声を送り、富士講ブームに火が付いたといいます。

ふじさんミュージアム

御師宿坊・小佐野家

御師宿坊・小佐野家
御師宿坊・小佐野家

上吉田に残る御師宿坊・小佐野家住宅と同家の古図を元に復元されたものです。 堀端屋と呼ばれる社家で、「文久辛年(1861年)9月吉辰良辰」の記がある家系図が存在して、昭和50年に国の重要文化財に指定されました。

多くの登拝者(富士道者)が寝泊まりする畳部屋の一番奥に祭壇が設けられ、富士山登拝の前に御師による祈願が行われました。

富士御師とも呼ばれた御師の職分とは、 参詣者に宿泊所や各種案内の世話をするばかりではなく、祈祷・お祓い・占いなど宗教者としての役割も果たしていました。