目次

別山尾根から剱岳登山ルート地図

  • 距離8.2  km
  • 登り1,151 m
  • 下り621 m

別山尾根から剱岳登山ルートの難易度

難易度  6/10

ルート室堂ターミナル(標高2,450m)⇒雷鳥沢キャンプ場(標高2,260m)
⇒剱御前小舎(標高2,760m)⇒剱沢キャンプ場(標高2,530m)
⇒剱沢小屋(標高2,500m)⇒剣山荘(標高2,475m)⇒一服剱(標高2,618m)
⇒前剱(標高2,813m)⇒剱岳(標高2,999m)
核心部カニノタテバイ

別山尾根から剱岳登山ルートの体力

体力  3/10  (山小屋泊)

飲料水必要量5Kgの荷物を背負う場合
体重45kgの人:2.99リットル、体重60kgの人:3.91リットル、体重75kgの人:4.72リットル
消費カロリー5Kgの荷物を背負う場合
体重45kgの人:5.471Kcal、体重60kgの人:7.173Kcal、体重75kgの人:8.755Kcal
燃焼脂肪量5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果
体重45kgの人:0.877kg、体重60kgの人:1.030kg、体重75kgの人:1.254kg

コースタイム

  • 登山:室堂ターミナル→剱岳 6時間30分 
  • 下山:剱岳→室堂ターミナル 5時間20分

山小屋

北アルプス山小屋
剣山荘
剣山荘

登山口のアクセス

北アルプス登山口-アクセスと駐車場
扇沢のアクセスと駐車場
扇沢のアクセスと駐車場

別山尾根から剱岳登山ルート

黒部アルペンルートの最終駅の室堂

黒部アルペンルートの最終駅の室堂
黒部アルペンルートの最終駅、標高2450メートルの室堂は剱岳・立山の登山口です。室堂ターミナルから遊歩道を進みます。正面の立山から連なる稜線を左にたどると別山の奥に剱岳の山頂部がわずかに見えています。

ミクリガ池

ミクリガ池
室堂散策の景勝地ミクリガ池、池の左岸にみくりが池温泉が見えます。ミクリガ池温泉の脇を通過してキャンプ場とトイレがある雷鳥平へ降ります。池の奥には立山三山の一つ別山が聳えています。

エンマ台からりんどう池

エンマ台からりんどう池
ミクリガ池温泉からエンマ台を通過します。左下にりんどう池を見ながら石畳の歩きやすい遊歩道を雷鳥平へ下ります。正面奥の丸いピーク「真砂岳」の左手に建つ剱御前小舎に登り上げる雷鳥坂を辿ります。

りんどう池の先にらいちょう温泉雷鳥荘

りんどう池の先にらいちょう温泉雷鳥荘
エンマ台の少し進んだ所からりんどう池越しに見るらいちょう温泉雷鳥荘。雷鳥荘から下った所に雷鳥沢キャンプ場があります。室堂平随一の収容力があり、半数が個室として利用されます。24時間入浴可能な温泉は立ち寄り湯となります。

雷鳥沢キャンプ場

雷鳥沢キャンプ場
雷鳥沢キャンプ場から雷鳥坂を見上げる。問い合わせ先: 立山自然保護センター076-463-5401、雷鳥沢野営管理所090-1632-9141。トイレ水道完備、近くにロッジ立山連峰・雷鳥沢ヒュッテの日帰り温泉があります。別山乗越への登山道が確認できます。登山道の右手側に別山。

浄土沢の称名川源流に架かる小さな橋

浄土沢の称名川源流に架かる小さな橋
雷鳥沢キャンプ場から小さな雪渓を渡り、浄土沢を流れる称名川源流に架かる小さな橋を渡って登山道に入ります。橋を渡るとすぐに左側に折れ、新室堂乗越へ向かう登山道を左に見送り、雷鳥沢へ入って行きます。

雷鳥坂

雷鳥坂
雷鳥坂を登り始めます。別山乗越まで標高差500m、約2時間の行程を登り返します。周辺にはオンタデなどの高径草原が広がります。雷鳥沢と一般には言われている登山道ですが、実際には沢の右手側にあるハイマツの尾根を登ります。

雷鳥坂はライチョウに出会える確率が高い

雷鳥坂はライチョウに出会える確率が高い
雷鳥坂は全体に浮石が多く転倒注意です。雷鳥坂は名前の通りライチョウに出会える確率が高い道です。しばらく雷鳥沢のなだらかな真直ぐな道を進み、右手に折れてハイマツ帯の尾根に取り付きます。

ハクサンボウフウ

ハクサンボウフウ
尾根に取り付きハクサンボウフウの咲く遠望は立山三山を望む。登山道は、岩や小石混じりですが、よく整備されています。

ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、オンタデ、シナノキンバイなどが咲く

ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、オンタデ、シナノキンバイなどが咲く
周辺は低い樹木の為、展望は常時あります。ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、オンタデ、シナノキンバイなどが咲く高径草原の中を登って行きます。少し登った所からハイマツ帯へ入ります。

遠望に真砂岳

遠望に真砂岳
遠望は、立山から連なる真砂岳。この辺りまで登り振り返ると室堂平に点在する山小屋、地獄谷などが箱庭の様に見え、大きなピラミッドの形をした奥大日岳が同じ高さに手に取るように見えてきます。

別山乗越までの中間地点

別山乗越までの中間地点
ハイマツ帯の中に入ります。この辺りが別山乗越までの中間地点になります。ハイマツ帯の上部で左上方に向かいます。そして、小さなジグザグを繰り返して登れば別山乗越です。

別山乗越

別山乗越
ハイマツ帯を抜けつづら折りの登山道を登ると別山乗越に建つ剱御前小舎が見えてきます。左手の小屋は公衆トイレです。

剱御前小舎

剱御前小舎
別山乗越に建つ剱御前小舎。営業期間は4月のゴールデンウィーク前から10月下旬まで。電話:090-7087-5128 。ここから右手側に進めば別山から雄山へ連なる稜線です。別山は、古来から剱岳の遥拝所となっている場所でした。

別山乗越の公衆トイレ

別山乗越の公衆トイレ
別山乗越の公衆トイレ。剱御前の東斜面をトラバースするルートには雪渓が遅くまで残るので、雪渓の状況を剱御前小舎で確認してから出発すると良いです。

別山乗越からの剱岳

別山乗越からの剱岳
登山口の室堂から3時間の行程でした。別山乗越を超えると剱岳が現れます。別山乗越から3本のルートがありますが、剱御前を経由するルートは崩落のため通行止めでした。今回、登山時は、別山乗越の剱御前小舎から剱沢キャンプ場経由で剣山荘に下ります。下山時に剱御前の東斜面をトラバースするルートを戻ります。

別山乗越から剱沢を下る

別山乗越から剱沢を下る
別山乗越から氷河によって削られた剱沢をゆっくりと下っていきます。剱岳が次第に大きくなってきます。左手の小ピーク剱御前は剱岳の遥拝所となっていた場所です。ここから、剱岳に祈れば地獄に落ちるのを免れるとされました。

剣山荘が見える

剣山荘が見える
小さな岩場を通過すると、次第に傾斜が緩くなり、剱岳の左手下に剣山荘が見えてきます。周辺にはアオノツガザクラ、チングルマなどが咲くお花畑が広がります。この先に剱沢キャンプ場があります。長次郎尾根や八ツ峰が直角に落下しているように見えます。

剱沢キャンプ場

剱沢キャンプ場
赤や黄色のテントが張られた剱沢キャンプ場。左手に剣山荘が確認できます。また、北アルプスを代表する岩山剱岳へ右斜め上方に向かって伸びるの登山道も確認できます。

青い屋根の建物は登山研究所夏山前進基地

青い屋根の建物は登山研究所夏山前進基地
剱沢キャンプ場。奥の建物がキャンプ受付の野営管理場。この辺りは高山植物が豊富で、ネズミオウ、ハクサンイチゲ、ミヤマリンドウ、アオノツガザクラなどが咲き誇ります。青い屋根の建物は、登山研究所夏山前進基地です。

剱沢キャンプ場の幕営管理所

剱沢キャンプ場の幕営管理所
夏のシーズン中は、剱沢キャンプ場の幕営管理所に金沢大学医学部の診療所、売店、富山県警察上市警察署 剱沢警備派出所(山岳警備隊)の派出所が併設されます。公衆トイレ(バイオトイレ)と飲料可能な水場があるので便利です。

剱沢小屋が見える

剱沢小屋が見える
キャンプ管理所から少し下った左下に、赤い屋根の剱沢小屋が見えてきました。右手側の青い屋根の建物は登山研究所夏山前進基地です。

剱沢小屋

剱沢小屋
剱沢小屋の赤い屋根が見えます。ここは雪崩の発生する場所なので、2階以上の建物は建てられないそうです。さらに、左手奥に剣山荘が見えます。

剣山荘に向け雪渓をトラバース

剣山荘に向け雪渓をトラバース
剱沢小屋の脇を通過して、剱沢へ少し下った所から剣山荘に向け、雪渓をトラバースします。この辺りは、登山道がやや不明瞭で暗い時間帯や悪天候時には真砂沢方面へ入り込まない様に注意が必要です。

小さな雪渓のトラバース

小さな雪渓のトラバース
小さな雪渓のトラバースが3ヶ所で出来ます。谷側の傾斜は緩くアイゼンは必要ありません。8月6日時点の様子です。

剱沢小屋の背景に別山

剱沢小屋の背景に別山
雪渓のトラバース終了地点から振り返る。剱沢小屋が見えています。ハイシーズンの宿泊は予約していなければ泊まれないこともありますので事前確認は必須です。奥の山は別山です。

剱沢小屋

剱沢小屋
前写真の位置から剱沢小屋を望遠で撮影。Tel / Fax 076 482-1319 携帯電話 080 1968 1620。営業期間:5月仲旬から6月上旬、7月1日から10月上旬まで。浄化槽完備の水洗トイレです。シャワーもあります。

チングルマやアオノツガザクラなどが咲くお花畑

チングルマやアオノツガザクラなどが咲くお花畑
小さな雪渓を二つ越えて剣山荘に向かいます。周辺はチングルマやアオノツガザクラなどが咲くお花畑が広がります。

剣山荘

剣山荘
ハイマツ帯の中に剱御前の東側山腹をトラバースする様に付けられた登山道が左側から合流すると剣山荘はもう目の前です。山小屋から一服剱に向け右斜め上方に伸びる登山道が確認出来ます。

剣山荘と池塘

剣山荘と池塘
池塘越に見る剣山荘。剣山荘から伸びる登山道の先に一服剱、更に、その奥に前剱が見えます。

剣山荘の前庭

剣山荘の前庭
剣山荘の前庭にはテーブルやベンチが置かれ、登山者の休憩場所になっています。営業期間はゴールデンウィークと夏山の6月下旬から10月上旬まで。浄化槽を備えた水洗トイレ、シャワールームが完備しています。

剣山荘裏から登山道が始まる

剣山荘裏から登山道が始まる
剣山荘裏から登山道が始まります。TEL:076-482-1564。山小屋入口に山岳情報は書かれた黒板があり、登山初心者にはヘルメットの貸し出しも行われています。経験豊富な山小屋スタッフに分らないことは相談しましょう。

剣山荘から一服剱へ

剣山荘から一服剱へ
剣山荘から一服剱に向け登ります。登山道はややガレ気味で、小さくつづら折りを繰り返し簡単な鎖場を通過すると一服剱です。

コバイケイソウ

コバイケイソウ
コバイケイソウの花が満開の中に、ところ所に咲くハクサンフウロのピンク色の花がアクセントを添えます。コバイケイソウの花は3~4年に一度しか咲きません。この年はどこの山に行ってもコバイケイソウが辺り一面を覆っていました。

一番鎖場

一番鎖場
一番鎖場です。スタンスは豊富で、斜度は緩いので簡単に通過できます。別山尾根ルートのすべての鎖場には番号が振られています。

右上ピークが一服剱

右上ピークが一服剱
右上ピークが一服剱。一服剱の下の岩場に鎖場があります。左上方に登り岩に指示された矢印に従って右方向に進みます。

一服剱

一服剱
左上奥に前剱の丸いピークに登山者が立っているが見えています。山頂下の岩場が2番鎖場です。まず、トラバース気味に斜上して、その後真っ直ぐ上に登ります。

2番鎖場

2番鎖場
一服剱下の岩場の2番鎖場。右上に斜上し、その後真直ぐに登ります。ここも極めて簡単に通過できます。鎖に掴まる必要はほとんどありません。

2番鎖場上部

2番鎖場上部
鎖場のトラバースを終え、2番鎖場上部に取りかかります。ここもスタンスは豊富で、傾斜も緩いので、難しくありません。ここを登れば一服剱に飛び出します。

一服剱からの前剱

一服剱からの前剱
一服剱の頂に立つと目の前に大きな岩峰・前剱が行く手を阻むかのように大きく姿を現します。一服剱から下った武蔵のコルから切り立つ岩峰の高さは約260mです。

武蔵谷

武蔵谷
一服剱から雪渓が残る武蔵谷を望む。前剱から派生するゴジラの背のような東尾根の先に、源次郎尾根が見え、遠景に後立山連峰が見えています。

一服剱から後立山連峰-鹿島槍ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、五竜岳

一服剱から後立山連峰-鹿島槍ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、五竜岳
一服剱から武蔵谷の奥に望む後立山連峰。双耳峰となっている鹿島槍ヶ岳、鹿島槍ヶ岳の左右に爺ヶ岳、五竜岳が確認できます。

武蔵のコル

武蔵のコル
一服剱から鞍部の武蔵のコルを見下ろす。さほどきつい下りではありません。右手側の雪渓が武蔵谷です。

武蔵のコルからの登り返し

武蔵のコルからの登り返し
武蔵のコルからの登り返し。ここから前剱の門までの区間、傾斜はさほどきつくないのですが浮石・落石などが多く、下山時につまずいてスリップ・転落等の事故が多発しているそうです。

ハイマツ帯の緩斜面

ハイマツ帯の緩斜面
武蔵のコルからの登り返しは決してきつくありません。ハイマツ帯の中をゆっくりと高度を上げて行きます。ここから前劔までの区間で不安を感じるようなら、登頂は諦め下山した方が良いと言われています。

浮石の多い登山道

浮石の多い登山道
浮石の多い登山道でが、この辺りはまだ傾斜が緩いので問題ありません。登るにつれ不安定な岩がゴロゴロするガレ場になります。下山時は疲れているので転倒がよく起こる場所です。

ガレ場

ガレ場
足元が不安定なガレ場をジグザグに登り、中央の大岩を目指します。所々にペンキマークがありますが、幾筋も踏み跡があるため早朝のまだ暗い時や悪天候時には、ルートファインディングに注意が必要です。

前剱大岩

前剱大岩
狭いに溝状の登山道になって来ました。右上の岩は「前剱大岩」と名が付いています。そのすぐ脇を通過する様になっています。

3番目鎖場

3番目鎖場
3番目鎖場。大岩の脇を通過する所が鎖場となっています。今にも崩れ落ちそうな大岩です。

ルンゼ状の中の3番目鎖場を登る

ルンゼ状の中の3番目鎖場を登る
狭いルンゼ状の3番目鎖場を登る。高度感は全くないので鎖を使うことは無く、簡単に通過できます。3番目鎖場を通過するとルートは左上方へ方向を変えます。

前剱大岩の脇を通過

前剱大岩の脇を通過
前剱大岩の脇を通過し、進路を左手側に向けた所も3番鎖場が続きます。上部の岩稜の所が稜線で、そこから右上方へ登ります。

3番目鎖場の中間点

3番目鎖場の中間点
3番目鎖場は50メートルほどに及ぶ長い鎖場です。その中間点を登っている様子ですが、斜度は緩いので鎖を掴まる必要はありません。

3番目鎖場の上部

3番目鎖場の上部
3番目鎖場の上部を登る登山者。上部の登山者が立っている場所が稜線です。稜線まで上がると立山方面がよく見えるようになってきます。稜線に上がると前剱へ向けて右上方へ登って行きます。

右奥のピークが前剱

右奥のピークが前剱
手前の岩稜をトラバースする所が第4鎖場です。右奥のピークが前剱です。ここから前剱までは比較的緩斜面です。

4番目鎖場

4番目鎖場
4番目鎖場。谷側の傾斜は緩く、登山道の幅も十分あり、特に鎖に掴まる必要はなく簡単に通過できます。右上が前剱です。

前剱

前剱
大小様々な岩がゴロゴロした所を登れば前剱です。多少の浮石はあるものの、傾斜は緩いのですんなりと通過出来ます。剱沢のベース基地を出発してから約1時間30分で前剱のピークに立ちます。

前剱頂上から剱岳

前剱頂上から剱岳
前剱頂上から望む剱岳。稜線を進み核心部に入ります。ここから登山ルート(頂稜の剱沢側)と下山ルート(頂稜の東大谷側)が分かれます。前剱山頂から振り返ると立山、後立山連峰や高妻山・黒姫山などの眺めが抜群です。

前剱の門手前の岩峰

前剱の門手前の岩峰
前剱の門手前の岩峰。4mの鉄のブリッジを渡り、右上方にトラバース(5番鎖場)し、岩稜の反対側で前剱の門と呼ばれる鞍部へ降り立ちます。

不動岳の一角の岩峰

ここから一気に難易度が増します。左下の4mの鉄のブリッジの左右は崖になっていて、滑落したら一巻の終わりです。手すりが無い為、ゆっくりと慎重に渡ります。特に強風時や雪が付いている時には要注意です。

鉄のブリッジ

鉄のブリッジ
前剱の門手前の岩稜に架かる4mの鉄のブリッジを登山者が渡っています。登山者と比較するとブリッジの幅が狭いのがよく分ります。岩稜のトラバースの5番目鎖場の右手は切れ落ちた断崖絶壁です。

5番目鎖場

5番目鎖場
橋を渡って20メートルほど岩棚をトラバースします。高度感があるので下を見ない様にして通過します。写真で見るほど5番目鎖場の足の踏み場は狭くありません。しかし滑落したら、まず命は助からないでしょう。

6番目鎖場

6番目鎖場
前剱の門手前の岩稜の5番目鎖場のトラバースを終了し、その反対側の6番目鎖場を平蔵谷側へ下ります。そして前剱の門の鞍部に降り立ちます。ここ6番目鎖場の下降は難しくありません。

前剱の門の鞍部

前剱の門の鞍部
前剱の門と呼ばれる鞍部。ここで登山道・下山道が合流し、比較的なだらかな稜線上のルートが平蔵の頭まで続きます。平蔵谷上部に当たるこの辺りは7月下旬まで登山道を雪渓が覆うことがあります。右手が剱岳です。

前剱の門から剱岳

前剱の門から剱岳
前剱の門の鞍部から剱岳を写す。雪渓が遅くまで残る(写真は、8月6日の様子。雪渓は登山道のかなり下まで消えている。)ので、登山道を外れて雪渓に入らないように注意してください。

平蔵の頭に向かう

平蔵の頭に向かう
ハイマツ帯の中の広い稜線を平蔵の頭に向かいます。左側のやや丸いピークが獅子頭、その右の尖った岩がカニのハサミです。振り返ると、遠く黒部渓流の山々(黒部五郎岳・水晶岳・鷲羽岳・薬師岳)までも見えています。

平蔵の頭と12番目鎖場

平蔵の頭と12番目鎖場
稜線を進み東大谷側に回り込むと平蔵の頭があります。オレンジ色のザックを背負った登山者がいる所は12番目鎖場で、下山用ルートとして使われます。登山時は平蔵の頭を右側から巻きます。

平蔵の頭を右から回り込む

平蔵の頭を右から回り込む
平蔵の頭。赤いウェアーの登山者が平蔵の頭を下っています。登山時は平蔵の頭基部を右方向に向かい、7番目鎖場に取り付きます。

7番目鎖場登り

7番目鎖場登り
7番目鎖場。平蔵の頭基部を右から巻く所に設置されています。ここを巻き終えると反対側に下ります。

7番目鎖場下り

7番目鎖場下り
7番目鎖場の続き。平蔵の頭を右から巻き終え、20メートルほどの鎖場を下ります。切り立った壁を降りなければなりません。登るよりも下る方が恐怖心が募ります。平蔵谷の雪渓が稜線近くまで残っています。

7番目鎖場の終了地点

7番目鎖場の終了地点
先行する登山者達がいる所が7番目鎖場の終了地点。平蔵の頭と呼ばれる岩稜の剱岳側の壁を慎重に降りて行きます。

平蔵の頭は登山専用ルートと下山専用ルートに分れる

平蔵の頭は登山専用ルートと下山専用ルートに分れる
平蔵の頭ピーク近くから下山専用ルートを登る登山者を撮影。ここの壁は、登山専用ルートと下山専用ルートに分れています。詳細は下山道の紹介ページをご覧ください。

平蔵の頭から見るカニノタテバイ

平蔵の頭から見るカニノタテバイ
平蔵の頭から剱岳核心部を写す。右手側にカニノタテバイ、左手側に下山道として使うカニノヨコバイがあります。手前の小高い尖稜は右側(平蔵谷側)をトラバースします。

平蔵のコルに向かう途中の岩峰

平蔵のコルに向かう途中の岩峰
平蔵のコルに向かう途中の岩峰の平蔵谷側をトラバースします。コース上の岩棚の幅は十分あり問題無く通過出来ますが、もし滑落すると命は無いでしょう。

平蔵のコル手前の岩峰のトラバース

平蔵のコル手前の岩峰のトラバース
平蔵のコルに向かう尖岩のトラバースを望遠で撮影。トラバースの中間地点で垂直方向に5メートルほど鎖場があります。平蔵のコル8番目鎖場です。

平蔵のコル手前岩峰のトラバース

平蔵のコル手前の岩峰のトラバース
平蔵のコルに向かう岩場のトラバースを近くから撮影。鎖はありませんが、写真で見るより高度感はありません。問題なく通過できます。所々岩棚の幅が狭いところがありますので注意する必要があります。

8番目鎖場と12番目鎖場

8番目鎖場と12番目鎖場
赤⇒が示すと所に8番目鎖場があります。トラバース終了地点から垂直方向に約5メートルほどの鎖場です。左側の垂直に垂れている鎖は下山時に使う12番目鎖場です。

8番目鎖場

8番目鎖場
8番目鎖場。トラバースを終了し、鎖を頼りに約5メートルほど登ります。スタンスは豊富で、難しい岩場ではありません。8番目鎖場を登り上げると、再び右手方向に岩棚をトラバースします。

平蔵のコル

平蔵のコル
8番目鎖場を登り切り、短い区間のトラバースを終え、平蔵のコルに降り立ちます。ガレ場を右方向に向かうと核心中の核心である9番目鎖場・カニノタテバイになります。

9番目鎖場「カニノタテバイ」全景

9番目鎖場「カニノタテバイ」全景
30mの直立の岩の壁9番目鎖場「カニノタテバイ」全景。「カニノタテバイ」は、登山者が手足を広げて登る姿がカニに似ている所からきているそうです。

カニノタテバイの望遠写真

カニノタテバイの望遠写真
カニノタテバイを望遠で写す。斜度は70度ほどあります。ハイシーズンにはカニノタテバイ取り付きに登山者の列が出来ます。このルートは登山オンリーで使う為、一度取り付いたら引き返せません。

カニノタテバイ取り付き

カニノタテバイの取り付き
カニノタテバイの取り付き。下から見るとさほどの傾斜は無いように見えますが、実際は70度の壁が30mほど続きます。ハイシーズンの午前中は順番待ちをする登山者で溢れる事があるそうです。

カニノタテバイ中間地点

カニノタテバイ中間地点
取り付き地点から2、3メートルの垂直の壁を登り、右斜め上方に向かいます。カニノタテバイ中間地点を登る登山者達。中間部はスタンスも豊富で、鎖を使わず三点確保で登ります。

カニのタテバイ最後

カニのタテバイ最後
カニノタテバイを登り切り、右にトラバースした所から振り返って撮影。カニのタテバイ最後は、一枚岩を垂直に登り、岩棚の上を水平に歩きます。上部の壁は70度ほどの傾斜があることが確認できます。平蔵の頭が尖って見えます。

20メートルの簡単な岩場

20メートルの簡単な岩場
カニノタテバイを終了し、(ここはまだ、カニのタテバイの中間地点と書かれているガイドブックもありますが、実際には核心部は終了です。)更に20メートルの比較的簡単な岩場を登りきれば稜線に出ます。

核心部終了

核心部終了
岩場を登り切り、核心部終了です。剱岳山頂部が見えてきました。左手上方のルンゼ状の岩場を登ります。

狭い岩溝(ルンゼ)の登り

狭い岩溝(ルンゼ)の登り
狭い岩溝(ルンゼ)を登り、右上方に向かいます。ここから簡単な岩場を登れば山頂です。

ルンゼの中間地点

ルンゼの中間地点
ここを登り右方向に向かいます。ルンゼを登り上げる所で下山用ルートと合流します。

登山専用ルートと下山専用ルートの合流地点

登山専用ルートと下山専用ルートの合流地点
登山専用ルートと下山専用ルートがここで合流します。左手側のルンゼ状の岩場に向かいます。ごつごつとした岩場ですが問題なく通過できます。

岩の間をすり抜ける

岩の間をすり抜ける
岩と岩の狭い間をすり抜けるように登ります。やや傾斜はきついが高度感はありません。

早月尾根分岐

早月尾根分岐
岩場をすり抜けるように登ると比較的広い山頂部が見えてきます。大小様々な岩が転がる傾斜の落ちたガレ場を登ります。上部を登る登山者がいる辺りで左方向から早月尾根からのルートが合わさります。

剱岳山頂に登山者が見える

剱岳山頂に登山者が見える
更に傾斜が落ちて、山頂近くのガレ場を登ると登山者が立っているのが見えます。

早月尾根

早月尾根
山頂の少し下から早月尾根を見下ろす。小さく早月小屋が見えています。早月尾根は馬場島から標高差2240mの北アルプスの中にあっても屈指の長大な尾根で、冠松次郎によって初登頂され命名されました。

剱岳山頂

剱岳山頂
剱岳山頂からの眺望は立山三山の奥に北アルプスのランドマーク槍ヶ岳と穂高岳。東には双子のピークを持つ鹿島槍ヶ岳。それに続く稜線の先に白馬岳が連なります。西に広がるのは富山平野です。その先に能登半島が望めます。

剱岳山頂からの長次郎谷とV峰、八峰

剱岳山頂からの長次郎谷とV峰、八峰
剱岳山頂から長次郎谷とV峰、八峰を撮影。長次郎谷から明治40年(西暦1907年)7月13日に柴崎芳太郎を隊長とする陸地測量部が初登頂に成功し、2年後に日本山岳会の吉田孫四郎が登頂した谷です。

長次郎谷に張られたテント

長次郎谷に張られたテント
剱岳山頂から長次郎谷に張られたテントを撮影。左手側の八ッ峰と源次郎尾根に挟まれた残雪の多いバリエーションルートです。池の谷乗越から三ノ窓方面へのルートがあります。旧大山村の山岳ガイドであった宇治長次郎からとった名前が付いています。

剱岳山頂から別山と立山

剱岳山頂から別山と立山
剱岳山頂から残雪のある剱沢の源頭部を作る別山を望む。遠望は立山。やや曇に隠れていますが、快晴ならば別山の奥に槍ヶ岳、その右奥に黒部源流の山々(薬師岳、水晶岳、黒部五郎岳)更にその奥に笠ヶ岳まで見えます。カニノタテバイを通過する下山専用ルートもご覧ください。

カニのタテバイの動画

登山コース要約

剱岳のルートは、前剱と剱岳山頂間に於いて登山用ルートと下山用ルートに分かれています。

※一部合流して区間あり 登下山合わせて13箇所に鎖場があり、土・日や夏休みなどのハイシーズンには鎖場が渋滞する為、余裕も持ったコースタイムで臨む必要があります。 登山用ルートの核心部は、「カニのタテバイ」と呼ばれる斜度70度、長さ30m程の岩壁です。 鎖場での事故よりも、一服剱から前剱間の浮石や落石による、下山時の滑落事故・スリップ転倒事故が多発している様です。

拠点となる剣山荘、剣沢小屋合わせても定員が300名足らずと少なく、登山道の渋滞を緩和するために詰め込みはしないとのことなので、早めに予約をすることをお勧めします。※両小屋共に定員に達したら、宿泊は受け付けてくれません。

黒部アルペンルートの終点駅「室堂」から出発です。室堂に降り立ち、立山三山の稜線を左にたどると剱岳がわずかに見えます。室堂散策路を進み、エンマ台を過ぎ、左下にりんどう池を見ながら雷鳥沢キャンプ場に下ります。りんどう池は、水深1メートルほどで、湖底の岩が所々に露出しているのが見えます。7月から8月にかけて周辺の斜面にはタテヤマリンドウ・ミヤマリンドウの花が咲くことからその名が付いた様です。

雷鳥沢キャンプ場から見上げると、稜線上に建つ剱御前小舎が小さく確認できます。雷鳥沢キャンプ場から剱御前小舎までの区間を「雷鳥坂」と呼び、ハイマツなどの低木や高山植物で覆われた展望良好なルートです。一方、浮石が多く下山時の転倒に要注意です。

剱御前小舎が建つ別山乗越で剣山荘へのルートが3つに分岐します。剱御前を経由するルートは、2013年現在通行禁止です。剱沢を下り、剱沢キャンプ場を経由するルートは、傾斜が均一で残雪もなく下り安いと言えます。剱御前の東斜面をトラバースするルートは、雪渓があるためアイゼンを必要とする期間があります。

別山乗越から剱沢キャンプ場を経由するルートを下ります。剱沢キャンプ場の管理所には夏期シーズン中、診療所、警察の派出所が開設されます。 剱沢小屋の脇を抜け、剣山荘に向け、雪渓をトラバースします。雪渓のトラバースでは、8月6日時点でアイゼンの必要はありません。

剣山荘からコバイケイソウの花が満開の登山道を一服剱に向け登ります。1番目鎖場、2番目鎖場ともに簡単に通過でき、一服剱に立ちます。鎖場には番号が振られた金属製のプレートが岩にはめ込まれています。

一服剱から前剱を望むと垂直の壁に見えますが、実際に登ると傾斜は緩く、登山初心者でも問題なく通過できる所です。 一服剱から武蔵のコルへ下り、浮石の多いジグザグに切られた登山道を登り返します。 「大岩」と名が付いた岩の脇を通過する所が3番目鎖場です。高度感は無く、ここも簡単に通過できます。さらに、4番目鎖場を難なく通過すれば前剱頂上に立ちます。

前剱から登山用ルートと下山用ルートが分岐し、登山用ルートは稜線を直進します。前剱の門に取り付く直前に4mの鉄のブリッジがありますが、手すりが無く強風時には要注意です。前剱の門のトラバースが5番目鎖場で、高度感はありますが足の踏み場は広く、さほど困難とは言えません。

5番目鎖場のトラバースを終了し、簡単な6番目鎖場を下り、前剱の門の鞍部に立ちます。 ここで登山道・下山道が合流し一本となり、平蔵の頭まで稜線上の穏やかな登りが続きます。しかし、この区間は雪渓が遅くまで残る(8月6日時点の雪渓は、登山道のかなり下まで消えていた)ので、登山道を外れて雪渓に入らないように注意してください。

平蔵の頭で再び、登山用ルートと下山用ルートが分岐します。登山時は7番目鎖場が平蔵の頭を右から巻く所に設置されています。

平蔵のコルに向かう岩場のトラバースが8番目鎖場です。平蔵のコルに降り立ち、右方向に進んだ所が、剱岳の核心部であるカニノタテバイの取り付きです。 カニノタテバイを下から見上げると傾斜は緩く感じますが、実際は約70度の壁が17mほど続く難所です。しっかりしたホールド出来る岩が豊富で、鎖に掴まらなくても登れる箇所は多いです。ハイシーズンの午前中なら渋滞が発生する場所なので、先行する登山者の様子を見てシミュレーションしながら順番を待ちます。八ケ岳の赤岳や北アルプスの奥穂高岳・槍ヶ岳などの鎖場で練習すれば怖くありません。

カニノタテバイを登り切れば核心部が終了し、簡単な岩場を登れば剱岳山頂です。 剱岳山頂からは、別山の先に立山三山、遠望には、白馬岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳と連なる後立山連峰の眺望があります。

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剱岳
剱岳-別山尾根下山道
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