南岳とは

南岳の標高は3,033mと高峰であるにも関わらず槍ヶ岳と穂高連峰の稜線上の山とみなされ、あまり注目されていません。そのため、槍ヶ岳と穂高連峰の縦走時の通過点と見られる事もあります。

南岳へは新穂高温泉から南岳新道を登るルートと上高地から槍沢ルート上り、天狗原を通過するルートがあります。

南岳からは穂高連峰の急峻な岩陵が連なっており、その中でも南岳と北穂高岳との間にある大キレットと呼ばれる日本有数の難コースは多くの登山者を拒んでいます。

大キレット通過にはコースタイムが3時間30分ほどかかり、高度感のある鎖場が連続することから、晴天であること、十分な体力が残っていることなどを考慮する必要があります。

もし条件が悪ければ、南岳から5分ほど下った所の南岳小屋に1泊してチャレンジするのが賢明でしょう。

南岳の地図

南岳の山小屋

北アルプス山小屋
南岳小屋
南岳小屋
北アルプス山小屋
北穂高小屋
北穂高小屋
北アルプス山小屋
槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘

南岳のアクセス

北アルプス登山口-アクセスと駐車場
上高地のアクセスと駐車場
上高地のアクセスと駐車場
北アルプス登山口-アクセスと駐車場
新穂高温泉のアクセスと駐車場
新穂高温泉のアクセスと駐車場

南岳の登山コース概要

① 南岳新道(西尾根)ルート

西尾根の稜線から一旦下り、カール状の地形を歩く
西尾根の稜線から一旦下り、カール状の地形を歩く

新穂高温泉から右俣林道を歩き槍平小屋を目指します 。ここまでは緩斜面の登りです。このまま直進すれば槍ヶ岳を目指す飛騨沢ルートです。槍平小屋で水を補給して南岳新道に入ります。

南岳新道へのアプローチは新穂高温泉の深山荘の隣にある無料駐車場に車を止めて新穂高ロープーウェイの脇を通りしばらくは林道歩きです。

穂高平避難小屋を過ぎ一般車通行禁止の林道は白出沢出合まで続いています。ここから登山道となり滝谷避難小屋を過ぎ、谷を渡った右手の岩に滝谷初登頂者の藤木のレリーフがはめ込まれています。飛騨沢の流れを左手に見ながら登れば槍平小屋に到着します。

南岳新道は槍平小屋から始まり、西尾根の急登が4時間ほど続きます。
南沢の右岸か樹林帯の中へ入る登山道が始まり、随所に梯子が掛けられ、鎖も併設されている所があります。しかし、高度感は無く危険を感じる場所ではありません。

さらに高度を上げると標高2,600mの西尾根のコルに出て樹林帯を抜けます。ここには槍平小屋によって救急箱が設置されています。

右手に穂高連峰の岩稜を眺めながらハイマツの間を稜線に向け登り上げます。平坦な稜線にはハイマツの間に木道が設置され、歩きやすくなっています。

西尾根の稜線から一旦左方向にはずれるように登山道はあり、梯子で下りカール状の地形の方に下る様に伸びています。
その後ジグザグに登り返して、岩場に架かる丸木橋を渡たると南岳小屋が見えてきます。

コースタイム

  • 登山:新穂高温泉駐車場→南岳 8時間10分
  • 下山:南岳→新穂高温泉駐車場 7時間20分

南岳新道(西尾根)ルートの難易度

難易度 2/10

体力  3/10 (1泊)

槍ヶ岳から大喰岳~南岳縦走ルート

槍ヶ岳から南岳縦走ルート 一番高く見えるのが南岳
一番高く見えるのが南岳

槍ヶ岳から南岳へ向かう縦走路は、3,000m級の山々が連なる稜線歩きです。展望抜群の快適な登山道です。

全体として広い稜線となっていて、大きなアップダウンは無く展望抜群の快適な登山を楽しむことができます。一か所に短い梯子が架かる程度で登山初心者でも安心して通過できるルートです。

槍ヶ岳山荘を南方に向かいテントサイトの脇を通りジグザグに降りて行くと大喰岳とのコルである飛騨乗越に到着します。

飛騨乗越では槍平へ下る登山道がジグザグに伸びています。ここから登り返すと広い山頂の大喰岳です。

さらに稜線を進むと中岳の直下に2連で架かる梯子が見えてきます。この梯子を登りきった上にあまり使われていない鎖場をやり過ごすと中岳山頂になります。

中岳からゴロゴロした石の道を下り、登り返した所にある小さな岩陵のピ-クを通過し、広い尾根歩きとなって天狗原分岐となります。ここから氷河公園へ向かう登山道が急な岩稜を下っています。振り返ると槍ヶ岳の姿は絶景で格好の撮影スポットといってもよいでしょう。

南岳はもうすぐそこで、なだらかな山頂を越えると南岳小屋が見えて来ます。
南岳小屋の先には日本の登山道の中でも屈指の難所である大キレットが控えています。

コースタイム

  • 槍ヶ岳山荘→南岳 2時間40分

槍ヶ岳から大喰岳~南岳縦走ルートの難易度

難易度 2/10

体力  1/10

南岳は日帰り登山が出来る?

南岳に最短で登れる南岳新道ルートであっても標準コースタイムは8時間10分です。これを日帰りするとなれば健脚者であっても不可能です。

槍沢から天狗原を経由するルートではさらに時間を要します。 

南岳の登山口近くに沸く温泉

焼岳周辺に良質な温泉が沸く

南岳の近くにある焼岳は、現在でも噴火をしている活火山です。その周辺に、湯量豊富で良質な温泉が湧き出る所が多数あります。

代表的な源泉かけ流しの温泉は白骨温泉、新穂高温泉、平湯温泉などです。

深山荘

新穂高温泉 深山荘

深山荘は新穂高温泉の登山者用無料駐車場の近くにあります。 ハイシーズンには登山者用無料駐車場が一杯になることが多いので、深山荘に宿泊すれば、下山まで深山荘の駐車場を使えるので安心です。

高原川沿いに階段状になった複数の広い露天風呂は開放的です。

深山荘から新穂高ロープウェイまでは1.1 km、 徒歩13分です。

槍見の湯 槍見館

新穂高温泉 槍見の湯 槍見館

槍ケ岳を眺む絶景7種の露天風呂が高原川沿いにある秘湯の一軒宿です。
湯量豊富で源泉かけ流しです。

笠ヶ岳のクリヤ谷登山口は旅館のすぐ脇から始まります。

槍見館から新穂高ロープウェイまでは2.9 km 、徒歩 33分です。

上高地温泉ホテル

上高地温泉ホテル

梓川に沿って建つ上高地温泉ホテルは、登山基地として使用しても大変便利です。

文政年間(1830年代)に開湯され、三つの自家源泉を持つ源泉かけ流しの温泉です。温泉の効能により、湯上り後長時間に渡って体がポカポカし、心地よい眠気に誘われます。

白骨温泉

白骨温泉泡の湯

白骨温泉の中でも最も有名な温泉旅館です。

真っ白い硫黄の温泉が木樋から流れ落ちる大きな露天風呂が魅力的です 。

露天風呂は混浴ですが、男女別になっている露天風呂の入り口で、首まで浸かってから露天風呂に侵入すれば、お湯が白いため裸のままでも他人から見えません。

中の湯温泉旅館

中の湯温泉旅館

松本駅の無料送迎が利用できます。(予約制)

夏季
(4月下旬~11月中旬)上高地へのマイカー規制をしています。
4月下旬~11月中旬には、要望に応じて毎朝1便上高地までの送迎あり。(要予約)

冬季
上高地に行かれる方は釜トンネルゲートまで随時送迎があります。
また旅館周辺でもスノーシューで散策できます。
スノーシューの無料レンタルあり、(通常スノーシューレンタル一日分1500円)

南岳登山口の上高地に泊まる

上高地帝国ホテル

上高地帝国ホテル

上高地の中で最も高級なホテルです。 1泊2食付で1室2名で利用した場合の最低の部屋の料金は一人40000円以上です。

自宅(東京都内)と上高地間を帝国ホテルハイヤーにて送迎するプランもあります。中型車(クラウン・シーマ)で 210,000円です。

南岳の天気の特徴

天狗池上部から望む快晴の槍ヶ岳
天狗池上部から望む快晴の槍ヶ岳

南岳は晴天の確率が比較的高い

北アルプスの南部に位置する南岳は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量はあまり多くありません。

そのため雪解けが一気に進む6月からが登山最適になります。

また、北アルプスの中では比較的晴天に恵まれることが多いのも有難いですね。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

南岳の魅力

南岳は槍ヶ岳・穂高岳の絶好の展望地

槍ヶ岳と南岳の稜線から望む槍ヶ岳は場所によってその姿を変化させます。自分好みのビューポイントを探し出してください。また、大キレットを挟んでの穂高岳のゴツゴツとした岩稜は一見の価値があります。

そして 、天狗池に映し出される槍ヶ岳を撮影するのも興味深いですね。

各種情報

南岳登山ツアー

  • 南岳|登山・トレッキングツアー

役場

温泉宿の問い合わせ

登山届提出

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

南岳山頂周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月-12.2-16.1-20.0
2月-11.3-16.0-20.3
3月-6.7-12.3-17.0
4月1.2-5.8-11.7
5月6.6-0.6-6.7
6月10.03.4-1.7
7月13.36.92.5
8月14.98.23.4
9月9.93.9-0.4
10月3.6-2.5-7.3
11月-2.7-8.3-12.8
12月-9.1-13.5-17.1

南岳へ登るための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラステント
1月×
2月×
3月×
4月×
5月
6月×××
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××
12月
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 槍ヶ岳、穂高岳、南岳周辺は分岐が各所にあります。登山地図を忘れると道迷いの原因に!
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても
レインウェアは必須です。また、防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 3000mを超える稜線歩きでは直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 森林限界を超えると直接日光が降り注ぐため紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。水が確保できる槍平小屋からは1000mの急登、 同様に槍沢キャンプ場からは5時間30分のコースタイムです。 天候に合わせて必要な量の水を持っていくことをお勧めします。
ヘッドランプ必須 日が昇らない内からの行動や 日が沈んでからの行動には必須です。夜、電気が切れてしまう山小屋もあります。 トイレに行くのに不自由なこともあります。
行動食必須 コンビニでいくつか買っていくと便利です。コースタイムが長く体力を必要とするので行動食は少し多めに持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるもの。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品、標高差が大きいため筋肉痛にはトクホンのような効く貼り薬。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりもよおした場合など、万が一の時のために必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。
防寒着薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。南岳山頂では、7~8月でも最低気温が3度ほどに下がることがあります。軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアをその上に着ると更に保温性が高まります。
耳栓あったら良い 山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。
カメラあったら良い 山旅の思い出にぜひどうぞ。槍ヶ岳から南岳そして北穂高岳へ抜ける縦走路の絶景の撮影には片手で操作出来る軽いタイプの一眼レフカメラが向いています。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして7~8個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。