日本アルプス登山ルートガイド > 南アルプス > 北岳 > 八本歯のコルルート
北岳・八本歯ノコル(左俣コース)登山ルート概要
登山コース案内
八本歯ノコルに向かうには芦安、北沢峠、奈良田方面からのバスの発着地になっている広河原の野呂川広河原インフォメーションセンター(旧アルペンプラザ広河原)前で下車します。舗装された道を少し歩いて、野呂川に架かる吊り橋を渡ります。対岸に渡ると、広河原山荘があり、その脇から登山道が始まります。
樹林帯の中を20分ほど登り、白根御池小屋方面の指導標を右に見送り、大樺沢(おおかんばざわ)へと入ります。
しばらくは大樺沢の左岸(向かって右側)に沿って登りますが、大樺沢の清流に架かる橋を何度か渡り返えします。大樺沢の雪渓の先に八本歯ノコルを確認できる所まで来ると少しずつ展望が開けてきます。
高山植物の咲く大樺沢の左岸(右側)を少し登ると、白根御池小屋からのルートを合わせる大樺沢二俣に到着します。
大樺沢二俣は休憩ポイントになっていてバイオトイレが設置されています。
大樺沢二俣は登山道が三つに分岐するポイントで、このまま大樺沢の左岸(右側)に沿って直進し、八本歯のコルを目指す左俣コース、お花畑の中を右斜め方向に向かい北岳肩の小屋を目指す右俣コース、そして白根御池小屋からの登山道がここ大樺沢二俣で合流しています。
左俣コースは二俣から雪渓に沿って大樺沢の左岸(右側)を詰め、雪渓上部で右岸(左側)へ渡り、八本歯ノコルから派生する尾根に取り付きます。例年7月末まではアイゼンを持参した方が無難です。夏道が雪で覆われ、雪渓上を歩かなければいけないからです。雪渓の傾斜は強く壺足での歩行は大変危険を伴います。特に、下りに使う場合はなおさらです。年によっては7月中旬でも12本歯のアイゼンとピッケルが必要な場合がありますから、雪渓の状態を北岳山荘に確認してから出発することをお勧めします。
トラバース道に咲くキタダケソウは7月上旬にその姿を消してしまいます。キタダケソウに逢うためには大樺沢を詰めるのが近道ですが、南アルプス林道が開通する6月25日にはまだ多くの残雪があり、雪渓通過に1時間以上必要となります。雪渓上に設置された竹に付けられた赤札が登山ルートの目印になっています。特に雪渓上部では斜度が30度を超える所もあり、先行者がいなければかなり辛い登りになります。
雪渓を越えてからこのルートの核心部に入ります。、北岳バットレスと呼ばれる岩壁を眺めつつ、傾斜約40度〜45度の木製の丸太の梯子が連続する所を越えると八本歯ノコルに飛び出し難所が終わります。
難所といっても難易度は高くなく登山初心者でも十分こなせるルートといってよいと思います。
しかし、八本歯ノコルではまれに滑落事故があります。多くは梯子を滑って数メートル下に落ちるもので大怪我は少ないようですが、雨の日は木製の丸太で出来た梯子が滑りますから注意が必要です。
八本歯ノコルに上がると全体が一望でき、北岳山荘の先に大きく横たわる間ノ岳が見えてきます。八本歯ノコルから吊尾根の岩に架かった梯子を登ります。北岳山荘分岐を左に見送り、ガレ場を登ると、登山道の周辺の風衝地一面を高山植物で覆われます。シロバナタカネビランジやキンロバイなどが咲き乱れる砂礫地をジグザグに登れば吊尾根分岐です。
吊尾根分岐からの斜度はあまりきつくなく、鎖場などの難所も無く、眺望と高山植物を楽しみながらの登りとなり、日本第二位の標高を誇る北岳山頂に到着します。
6月25日 南アルプス林道の開通日初日の北岳大樺沢雪渓
例年、大樺沢雪渓は7月下旬まで残ります。最低でも軽アイゼン、出来れば12本歯アイゼンを持っていく必要があります。
6月25日 北岳大樺沢雪渓の様子 二俣下部
灌木帯を抜けると、大樺沢雪渓が見えて来ました。右手上方に北岳、雪渓上部の稜線の鞍部が八本歯のコルです。
例年、大樺沢雪渓は7月下旬まで残ります。最低でも軽アイゼン、出来れば12本歯アイゼンを持っていく必要があります。
北岳大樺沢雪渓の二俣より約200メートル下
大樺沢雪渓の取り付き地点。二俣より約200メートル下まで雪渓があります。雪渓通過に1時間以上を要します。
北岳大樺沢雪渓の大樺沢雪渓中間地点
大樺沢雪渓中間地点。左岸に夏道がありますが、概ね雪に覆われています。約25度の斜面です。
大樺沢雪渓最上部
大樺沢雪渓最上部。斜度が30度ほどになります。12本歯のアイゼンは必携です。
大樺沢雪渓終了地点
大樺沢雪渓終了地点。稜線への取り付きまで、岩屑と雪の混じった足場の悪い急坂です。
大樺沢雪渓終了地点から振り返り鳳凰三山を望む
大樺沢雪渓終了地点から振り返る。鳳凰三山が真正面に見えます。
風衝地の草本植物群落
風衝地の中でも強風による影響が強い場所では、木の仲間 は育ちません。石や砂が飛ばされるような不安定な場所にはトウヤクリンドウ、キンロバイ、オヤマノエンドウ、ハクサンイチゲといった背の低い高山植物が群落を作ります。八本歯ノコルから池山吊尾根分岐にかけてまさにこういった風衝地です。
大岩壁 北岳バットレス
大樺沢から北岳山頂に向け鋭く立ち上がっている岩稜は、北岳バットレスと呼ばれ、7本の岩稜(東北尾根、第1尾根、第2尾根、第3尾根、中央稜、第4尾根、第5尾根)により構成されています。最長の第4尾根が登攀の中心になり、昭和9年10月に湯浅巌らによって初登攀がなされています。八本歯のコルに上がる稜線の途中からクライマーを確認することが出来ます。双眼鏡があれば更に楽しめると思います。
北岳バットレスの第4尾根の最終ピッチ部で2010年10月10日に大規模な崩落が発生しましたが、bガリー大滝取り付き後、第四尾根登攀が可能です。
画像一覧
広河原 バス/乗り合いタクシー発着所。乗合タクシーは9人集まればすぐにでも出発してくれ便利です。広河原〜芦安駐車場間の料金は1,200円で、バスより100円高いだけです。乗合タクシーの運行時間が設定されていますが、考慮しなくてよいでしょう。
二俣から、ここを登れば右俣コース(北岳肩の小屋方面へ向かうルート)に入ります。右俣コースには高茎高山植物(イブキトラノオ、ミソガワソウ、シモツケソウ、ミヤマシシウド)が群生するお花畑が広がっています。
さらに登り、上部で雪渓を左に渡ります。例年7月末まで、登山道は雪渓で覆われます。斜度はあまり無いように見えますが、雪渓を壺足で歩くには困難です。アイゼン無しで登っている登山者が雪渓上を10mほど滑落しているのを目撃しました。
右上がクライミングのゲレンデとなっている北岳バットレスです。北岳バットレスは石灰岩で出来た大壁で、2010年10月10日に大規模な崩落が発生しましたが、bガリー大滝取り付き後、第四尾根登攀が可能です。
八本歯のコルの取り付きの八本歯沢の源頭は湿った石屑が多いのでスリップ注意です。。右手方向からダケカンバの林に入り、梯子が連続した急登りが八本歯のコルまで続きます。ここから八本歯ノコルまで約40分です。
八本歯のコルから派生する尾根に取り付きます。木製の丸太の約5mの梯子。斜度40度ほどです。ダケカンバの林の中で特に高度感は無く、登山初心者でも問題なく登れるはずです。ここから丸太梯子が長短合わせて約20本も登場します。
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北岳八本歯ノコル(左俣コース)ルート地図
北岳八本歯ノコル(左俣コース)ルート詳細情報
ルート | 広河原(標高1,529m)⇒大樺沢⇒二俣(標高2,209m)⇒八本歯ノコル(標高2,870m)⇒北岳(標高3,193m) |
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コース時間 | 登山:広河原⇒北岳 5時間30分 下山:北岳⇒広河原 3時間40分 |
駐車場 | ・夜叉神峠無料駐車場 約90台 ・芦安市営駐無料車場 約600台 ・奈良田無料車場 約200台 |
危険個所 | 雨の日などは八本歯ノコル直下の梯子が滑るので注意してください。積雪の多い年は大樺沢 (おおかんばざわ) の雪渓の通過にアイゼンが必要になる場合があります。 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 3 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:2.30リットル、体重60kgの人:2.99リットル、体重75kgの人:3.69リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:4.291Kcal、体重60kgの人:5.579Kcal、体重75kgの人:6.867Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:0.613kg、体重60kgの人:0.797kg、体重75kgの人:0.981kg |
標高差 | 距離 4.7km 最大標高差 1634m 平均斜度 全体:34.4% 上り:35.1% 下り:2% 獲得標高 上り:1597m 下り:2m |
山小屋 | 広河原山荘 北岳肩の小屋 北岳山荘 白根御池小屋 |
登山口へのアクセス | 広河原・奈良田へのアクセスはこちら |
北岳八本歯ノコル(左俣コース)ルートの「高山植物」
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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