日本アルプス登山ルートガイド-核心部のルート案内
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剱岳/剣岳(つるぎだけ)
剱岳、下山用ルートのカニノヨコバイに入る所を登山用ルートから撮影。<br/>奥の尖ったピークは平蔵の頭で、下山時はピークまで登り反対側に下ります。登山時は右(写真では左)から巻きます。
下山用ルートのカニノヨコバイに入る所を登山用ルートから撮影。剱岳の最大の難所はカニのタテバイ。
奥の尖ったピークは平蔵の頭。下山時はピークまで登り、反対側に下ります。登山時は右(写真では左)から巻きます。

別山尾根登山道

カニノタテバイと呼ばれる70度、15m程の壁が核心
剱岳 別山尾根 登山用ルート

別山尾根下山道

カニノヨコバイと呼ばれる5m程のトラバースが核心
剱岳 別山尾根 下山用ルート

早月尾根

準備中

剱岳 早月尾根

登山ツアー

剱岳登山ツアー

剱岳登山ルート概要

北アルプス北部に位置し、地質時代の第3期初期に隆起した山塊です。剱岳(剣岳)・立山・薬師岳と連なる立山連峰は、日本海側からの季節風の影響を強く受け、そのため降雪量が多く、谷筋には雪渓となって多くの雪が残っています。日本三大雪渓の一つで剱沢雪渓は有名です。

9月下旬で初冠雪を見ることは珍しくはありません。この時期からの冬にかけての登山は慎重に計画したいものです。

標高2,999mの剱岳(剣岳)は、日本百名山の一つにも数えられ、「雪と岩の殿堂」との呼び名が冠せられ、アルピニストにとって憧れの山の一つです。その山名表記は、以前からバラバラで、「剱岳」、「剱嶽」、「剣岳」などがありましたが、2003年に国土地理院によって「剱岳」に統一されました。
2004年8月に国土地理院北陸地方測量部によって3等三角点が埋設され、人工衛星を使った全地球方位システム( GPS )により標高を測定した所、2998メートルから2999mに改定されました。

立山連峰(雄山、大汝山、富士の折立、真砂岳、浄土山、別山、大日岳 、奥大日岳)の北の端に位置し、源次郎尾根、早月尾根、小窓尾根、別山尾根、北峰稜線などの岩尾根が派生し、長次郎谷、平蔵谷、池ノ谷、三ノ窓、小窓、東大谷などの深い谷により急峻な山容をなしています。これらの谷はU字谷(懸垂氷食谷)で、氷河の力によって稜線近くまで削り取られたものです。 越中富山地方ではこの様な地形を「窓」と呼んでいます。

池ノ平や仙人池周辺から仰ぎ見る裏剱も素晴らしい景観です。紅葉に彩られた池越しに見る八ツ峰の姿は、まるで刀が立ち並んだように見えます。

立山を古くは「たちやま」と呼んでいました。すなわち「太刀山」のことを意味します。太刀のごとく鋭い峰が連なる剱岳は、立山連峰を代表する山であったことがうかがえます。

剱岳周辺では富山県条例により12月1日〜5月15日は入山規制が実地され、入山する場合には事前の審査を必要とします。
富山県庁生活環境文化部自然保護課 TEL:076-444-3393


各種問い合わせ

立山町役場 電話:076−463−1121


登山届の提出

富山県警察 電子申請が可能です。


登山地図のスマホアプリ

山と高原地図のスマホアプリが昭文社から販売されています。月額版:料金月400円、通常版:地域1エリア500円。


登山コース案内

爺ヶ岳から望む立山連峰。左から立山三山、真砂岳、別山、剱岳

爺ヶ岳から望む剱岳

剱岳へのアプローチの主要なルートは、立山黒部アルペンルートのケーブルカーやトロリーバスを乗り継いで降り立った室堂から別山尾根を登るコースです。多くの登山者が別山尾根をピストンしています。室堂へは富山県側からバスでアプローチをかけることも出来ます。

もう一つの一般道は馬場島(ばんばじま)から早月尾根を登るルートで、標高差2,200mほどあるため健脚者向けと言ってよいでしょう。 途中の早月小屋で一泊するのが一般的です。

また、バリエーションルートとして長次郎谷の雪渓や三ノ窓雪渓を登るコース、小窓ノ頭・池ノ平山などを通過する北方稜線ルートなどがあります。また、ヘルメット、ザイル、ハーネスなどの登攀用具が必要な源次郎尾根、八ツ峰、チネンなど岩登りルートがあります。

最も多くの登山者が登る別山尾根ルートは、前剱を越えるとルートが登山専用と下山専用に分かれます(一部合流するところがあり)。合計で13箇所に鎖が設置され、中でも登山用ルートのカニノタテバイ、下山用ルートのカニノヨコバイの難易度が高い所です。にもかかわらず、多くの登山者が十分注意を払い通過しているからでしょうか、さほどの事故はありません。、一方、一服剱から前剱の先にある前剱の門までの区間で、浮石による転倒・滑落事故、落石のよる怪我などが多発しているようです。


核心部コース案内

剱岳の核心部は、前剱の門手前の岩峰のトラバースから始まります。平蔵の頭(へいぞうのずこ)、カニのタテバイの急峻な岩場を通過して山頂に立ちます。下山は下山専用ルートがあり、その中でもカニのヨコバイの通過が難所です。

前剱の門手前の岩峰のトラバース

前剱の門手前の岩峰のトラバース
ここからが核心部と言えます。前剱の門と呼ばれる鞍部手前にある岩峰の通過です。初めに4メートルの鉄のブリッジを渡ります。 次いで約20メートルほどの岩峰のトラバースです。右手側は鋭く切れ落ちた谷になっています。足を置く場所は見た目よりも広いので下を見ずに通過すれば問題ありません。

平蔵の頭

平蔵の頭
平蔵の頭(へいぞうのずこ)は登路専用として右手側から回り込みます。岩に鉄製の杭が打たれて登り安くなっています。
平蔵の頭から反対側の平蔵のコルへ下る所も鎖場となっています。下山時は平蔵の頭ピークから下降専用ルートに付けられた鎖を頼りに降ります。

平蔵の頭を平蔵のコルからの写真

平蔵の頭を平蔵のコルから写す
登山時は平蔵の頭ピークの左手側から登路専用ルートを3点確保をしっかりと慎重に降ります。下山時は下降路専用ルートを平蔵の頭ピークへ真直ぐ登ります。

カニのタテバイ

カニのタテバイ
約50メートルほどの岩の壁で、垂直近くに見えるが、実際にはそれほどでもありません。ホールドは豊富で、岩もしっかりしているの鎖に頼らなくても登れる箇所も多いです。

カニのヨコバイ全景

カニのヨコバイ全景
下降路専用ルートの最大の難所です。5メートルほどの岩棚のトラバースですが、カニのヨコバイへ入る1歩目が見えません。鎖に全体重を掛けながら足の置き場所を探すのが緊張します。

カニのヨコバイ中間地点

カニのヨコバイ中間地点
カニのヨコバイの中間地点です。最初の一歩さえ確保してしまえば、後は鎖に掴まながら横に移動するだけです。この後、鉄梯子を降り、鎖の設置されたルンゼを下ると仮設トイレのある平蔵のコルに降り立ちます。

剱岳山頂周辺の気温

山頂気温
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
最高気温
-19.2
-10.3
-6.8
1.5
5.2
8.4
12.0
13.3
9.6
3.6
-1.80
-7.9
平均気温
-14.5
-14.9
-11.9
-5.4
0.3
3.7
7.5
8.8
4.5
-1.4
-6.9
-11.9
最低気温
-18.2
-18.4
-16.4
-10.6
-5.1
-0.1
3.8
5.0
0.9
-5.7
-11.2
-15.4

剱岳へ登るための装備と服装

季節により変動する登山用具/装備品
用具・装備
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
ヘルメット
ツェルト
×
×
×
×
×
ストック
スパッツ
×
×
×
×
手袋
サングラス
軽アイゼン
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
12本歯アイゼン
×
×
×
×
×
×
ピッケル
×
×
×
×
×
×
テント
×
×
×
×
×
×

陸地測量部と日本山岳会が初登頂を目指し鎬を削る

明治40年(西暦1907年)7月13日に柴崎芳太郎を隊長とする陸地測量部は、三角点設置のため初登頂に成功します。それから遅れること2年後の明治42年7月24日に日本山岳会の吉田孫四郎が初登頂に成功します。両隊ともに室堂から入り、別山乗越を越え、長次郎谷の雪渓を辿って登頂しました。ちなみに、長次郎谷の名前は、両隊の登山ガイドであった「宇治長次郎」の名から取っています。

陸地測量部隊は前人未踏のはずの山頂に驚くべきものを発見します。銅錫杖頭(どうしゃくじょうとう)と鉄剣です。さらに、頂上下の岩の洞穴には火を焚いた後の炭が残っていました。銅錫杖頭と鉄剣は鑑定の結果、奈良時代後期から平安時代初期のものと判明しました。この時代既に山岳霊場として修行者が登頂した事は、疑いようの無い事実となったのです。2点の出土品は、国の重要文化財に指定され、現在富山県立立山博物館に保管・展示されています。
又、富山県山岳連盟のシンボルとして旗に印刷されています。

両部隊による剱岳登頂の様子は、新田次郎の小説「剱岳・点の記」に詳しく記載されています。また、「剱岳・点の記」は、映画化され 2009年6月に公開されました。
出演: 浅野忠信, 香川照之, 松田龍平, 仲村トオル, 宮崎あおい 監督: 木村大作

劔岳 点の記


立山信仰と剱岳

立山は奈良時代には既に山岳信仰の霊場として開かれていました。山岳修験の行者達は、剱岳へも足を伸ばしたに違いありません。中世後期には日本最古の山小屋が室堂に建てられ、立山信仰は、広がりを見せます。そして、江戸時代に入ると禅定者ばかりか一般の登山者も立山へ登山するようになります。この頃になると剱岳は遥拝するだけで、踏み入ってはならない神聖な山となったよううです。

立山曼荼羅と剱岳

江戸時代から剱岳は地獄の剣の山・死霊の山として人々から畏れられ、無理に登ると罰が当たると信じられていました。それは、岩峅寺・芦峅寺の御師たち(立山衆徒)が「立山曼荼羅」を持ち歩き、各地を回って立山禅定登山者に対して「絵解き」を行い、信仰を広めたからです。

「立山曼荼羅」には浄土と地獄が対照的な画面構成で描かれています。シンボルである日輪(太陽)は浄土山の上空に、月輪(月)は剱岳の上空に描かれています。剣の刃を突き立てたような鋭い岩峰の剱岳は針の山で、亡者が鬼に追われ,血を流しながら山上へよじ登る図が描かれています。
立山衆徒達は絵解きを行い、立山にまつわる地獄話を語り、立山に登れば生前行った罪により地獄に落ちることを許されると説きました。

別山山頂や剱御前が剱岳遥拝の場所となっていたようです。禅定者が剱岳に向かって祈れば、生前犯した罪を免れると説いたのでしょうか。

不動明王としての剱岳

剱岳はもともと山そのものが不動明王として遥拝されていました。剱岳の麓には「大岩の不動さん」として知られる日石寺があります。本堂には岩壁を彫った巨大な不動明王像があります。日石寺の創建は神亀2年(西暦720年)行基が開いたと伝えられています。古くから立山信仰の寺として21社60坊を抱える巨となっていました。本尊である大岩日石寺磨崖仏は不動明王像、二童子像(矜羯羅童子像・制咤迦童子像)、阿弥陀如来像、僧形像の5体で構成され、国の重要文化財に指定されています。

大岩日石寺磨崖仏-(日石寺の許可を得て掲載 )

大岩日石寺磨崖仏

参照:名山の文化史
※遥拝(ようはい)-遠くへだたった所から拝むこと。
※御師(おし/おんし)-特定の社寺に所属して,その社寺へ参詣者を導き,参拝・ 宿泊などを取り計らう者。
※衆徒(しゅと)-平安時代以後に大寺院に居住して学問・修行、寺内の運営実務にあたった僧侶身分のこと。
※禅定(ぜんじょう)-仏教で心身ともに動揺することがなくなった一定の状態を指す。
※刹(さつ)-寺、寺院のこと。「古刹・仏刹・名刹」などがある。
※磨崖仏(まがいぶつ)-露出した岩層面に彫刻(浮彫,線刻)された石仏。



毛勝花崗岩が作り出す尖峰・岩壁

剱岳・立山周辺の地質は、約1億8,000万年前に出来た毛勝花崗岩で構成されています。花崗岩はマグマが地下深くで冷えて固まり、黒色や白色の鉱物を大きく成長させた岩石です。花崗岩の特徴は、山腹を白色に染めることであり、その代表的な山が南アルプスの甲斐駒ケ岳や鳳凰三山、北アルプスの燕岳です。

毛勝花崗岩が地下深部にあった7千〜6千万年前、周辺に再び熱いマグマが上がってきて、毛勝花崗岩を溶かし固まると現象が起きたと考えられています。それにより、以前にも増して緻密となった結晶は硬くて亀裂の多い岩石(剱岳花崗岩)になっていきました。その後、剱岳は隆起し、柔らかい岩石は風雨や氷河によって削り取られ、硬い岩石のみが残り、現在の様に剣の刀を並べた様な尖峰を生み出したと考えられています。

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剱岳別山尾根のルート概要図

クリックで拡大 (剣山荘の壁に掲載から転載)

剱岳登山口までのアクセス(公共交通機関)

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富山から室堂
外部リンク
電鉄富山〜立山駅  富山地方鉄道 
立山駅〜美女平 立山ケーブルカー 
美女平〜弥陀ヶ原〜室堂 立山高原バス
馬場島 交響交通機関が無い為、上市からタクシー 50分
旭タクシー TEL:076-472-0456
上市交通 TEL:076-472-0151

剱岳周辺の山小屋

剱御前小舎、剣沢小屋、早月小屋


次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。

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