日本アルプス登山ルートガイド > 北アルプス > 霞沢岳 > 徳本峠越えルート
霞沢岳 徳本峠越え登山ルート概要
登山コース案内
徳本峠は「とくごうとうげ」と読みます。島々宿から徳本峠を越え、上高地へ抜けるルートは、江戸時代初期より島々宿周辺の人々の生活に欠かせませんでした。木材を伐採した運搬路として、炭焼きの仕事場として、また、薬草採りの人々も歩いた道でした。
明治時代になると日本アルプスを世界に紹介したウォルター・ウエストンや作家の芥川龍之介も通った歴史ある峠道です。
1933年にバスが上高地に乗り入れるまで、この徳本峠を越えるルートは、登山者にとってメインルートとして利用されていました。
二俣から少し進んだ島々谷南沢に「三木秀綱奥方の遺跡」があることから、戦国時代には既に、このルートが開通していたということなのでしょうか? ※ 戦国武将の飛騨・松倉城主、三木秀綱については、中尾高原から焼岳のページに記載しています。
島々宿から徳本峠までは、島々谷及び島々谷南沢を遡上するルートで、緩斜面が連続しています。峠沢に入った所からつづら折りの急斜面になり、徳本峠小屋に飛び出します。
二俣と岩魚留小屋間に登山道が崩壊している箇所があり、やや危険です。特に台風などの大雨の後に入山する場合は、徳本峠小屋へ確認することをお薦めします。
徳本峠から霞沢岳の標高差は500メートルほどしかありませんが、アップダウンが強く、累積標高差は800メートルを超えます。ピストンでのコースタイムは約7時間を見ておく必要があります。この間に難所は無く、 K1ピークの手前で森林限界を超え、展望が開けます。霞沢岳は上高地を挟んで穂高岳と対峙する位置にあるため、穂高連峰の絶好の展望台と言うことが出来ます。
北アルプスの中でも南に位置しているので、残雪が消えるのが比較的早く、6月中旬頃から登山最適期となります。9月下旬から10月上旬にかけてK1ピークの足元から六百山へ伸びる稜線の斜面が赤や黄色に紅葉し、その先に穂高岳が聳える様は見事です。
登山届の提出
長野県のホームページで携帯やパソコンから出来ます。
登山地図のスマホアプリ
山と高原地図のスマホアプリが昭文社から販売されています。月額版:料金月400円、通常版:地域1エリア500円。
霞沢岳山頂周辺の気温
山頂気温 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温(℃) | -8.4 |
-7.6 |
-3.3 |
5.1 |
10.5 |
13.5 |
16.7 |
18.4 |
13.5 |
7.5 |
1.6 |
-5.3 |
平均気温(℃) | -12.8 |
-12.1 |
-9.0 |
-2.0 |
3.8 |
7.8 |
11.4 |
12.5 |
8.1 |
1.4 |
-4.7 |
-9.9 |
最低気温(℃) | -17.4 |
-17.5 |
-14.0 |
-8.1 |
-2.2 |
3.1 |
7.3 |
7.9 |
3.9 |
-2.2 |
-9.3 |
-14.3 |
霞沢岳へ登るための装備と服装
用具・装備 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ツェルト | × |
× |
× |
× |
○ |
○ |
△ |
△ |
△ |
○ |
○ |
× | ストック | △ |
△ |
△ |
△ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
△ |
スパッツ | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
△ |
△ |
△ |
○ |
手袋 | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
△ |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
サングラス | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
◎ |
軽アイゼン | × |
× |
× |
× |
× |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
12本歯アイゼン | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
ピッケル | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
テント | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
画像一覧
島々宿にある安曇支所に車を駐車します。事前確認した所、登山者の駐車を黙認してくれるとのことです。おそらくここからの登山者数が少ないからでしょう。下山は上高地にするので、バスで車の回収に来るのに便利です。
二俣手前の折口信夫の歌碑、短歌「をとめ子の心さびしも清き瀬に 身はながれつつ人恋ひにけむ」。戦国時代の武将、三木秀綱の妻の非業の死について詠った短歌です。三木秀綱は、中尾高原から焼岳のページに記載しています。
二俣から島々谷南沢の右岸に沿って登ります。歩道沿いに奇怪な樹形をしたサワラがあります。これは「あがりこサワラ」とも言われ、何らかの原因で幹が切断され、横から伸びた数本の枝が成長したことによると考えられています。
戦国時代、豊臣秀吉と戦って敗れた飛騨松倉城主三木秀綱の妻は、人目につかないように秀綱とは別ルートで信濃国を目指し、落ち延びようとするが、徳本峠を越え島々谷まで来たところで島々村の杣人によって惨殺されるという話です。
炭焼き窯。この炭焼きがまは昭和21年から28年頃使用されたもので、規模としては大きいものではありませんが、山村の収入源として重要な産業でありました。1回の生産量は40kgで、火を入れてから二昼夜かけて焼き上げます。
岩魚留ノ滝から200メートルほど島々谷南沢の左岸を登ると中ノ沢に架かる丸太橋を渡ります。この橋は、倒木をワイヤで固定した簡単なものです。そのため、雨天時などは丸太の表面がツルツルして滑りやすくなっています。
急坂を登り上げると標高2135メートル地点にある徳本峠小屋へ飛び出します。 ここまで標高724mの登山口の安曇支所から約7時間のコースタイムです。徳本峠小屋は2010年に従来の建物の一部を残し改築されたので大変綺麗です。
徳本峠小屋を後にし、ジャンクションピークに向けコメツガ林の急坂をジグザグに登って行きます。徳本峠から霞沢岳の往復に約7時間要します。標高差は510mですが、アップダウンを繰り返すため累積標高差は933メートルになります。
ジャンクションピークを示す道標は壊れ、木の根元に置かれていました。また、別の木には赤色のペンキで「JP」と書かれていました。ジャンクションピークは、特に展望は無く、かっこいい名前から想像する様な場所ではありませんでした。
稜線に上がると森林限界を超え、右手側には穂高岳の峻険な姿が雲上に現れます。右手が前穂高岳、その左手に吊尾根で結ばれた奥穂高岳が聳えます。奥穂高岳の左手にストンと落ちた「馬の背」の左のピークがジャンダルムです。
K1ピークの東斜面を彩る紅葉。 K1ピークから稜線が六百山へ伸びています。その先に穂高岳が雲上に浮かびます。右手側から前穂高岳、吊尾根を挟んで奥穂高岳、左端のギザギザしたピークの最高点が西穂高岳です。
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霞沢岳 徳本峠越え登山ルート地図
霞沢岳 徳本峠越え登山ルート詳細情報
ルート | 島々宿の安曇支所(標高726m)⇒二俣(標高930m)⇒岩名留小屋(標高2,760m)⇒徳本峠小屋(標高2,135m)⇒ジャンクションピーク(標高2,428m)⇒K1ピーク(標高2,475m)⇒K2ピーク(標高2,618m)⇒霞沢岳(標高2,646m)⇒徳本峠小屋(標高2,135m)⇒明神(標高2,646m) |
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コースタイム | 登山:島々宿の安曇支所⇒徳本峠小屋 6時間50分 徳本峠小屋から霞沢岳往復 7時間10分 徳本峠小屋から明神 1時間20分 |
駐車場 | 島々宿の安曇支所 徳本峠登山口から10分ほど歩いた島々谷川沿いの林道に駐車スペース |
トイレ | 安曇支所、徳本峠小屋、明神館前 |
核心部 | 二俣と岩名留小屋間の崩落した場所 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 2 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:3.83リットル、体重60kgの人:4.98リットル、体重75kgの人:6.13リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:7.128Kcal、体重60kgの人:9.266Kcal、体重75kgの人:11.405Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:1.018kg、体重60kgの人:1.323kg、体重75kgの人:1.629kg |
標高差 | 島々宿の安曇支所⇒徳本峠 累積標高差約1,415m |
山小屋 | 徳本峠小屋 |
登山口までのアクセス | 上高地までのアクセスの詳細はこちら |
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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