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奥穂高岳登山ルート概要
登山コース案内
奥穂高岳
パノラマコース屏風の頭から奥穂高岳を写す。涸沢カールからザイテングラートへ向け左上方に伸びる登山道が確認できます。涸沢カールの壁に張り付くように崖錐(がいすい)が連なっています。
奥穂高岳は富士山、南アルプスの北岳について日本第3位の高峰です。登山口は上高地と新穂高温泉ですが、新穂高温泉から入り白出沢を経由するルートはあまり使われていません。
ここでは上高地から入るルートを紹介していきます。上高地バスターミナルから梓川に沿って左岸(右側)の短い方ルートを選択し、約1時間で明神館へ到着します。※右岸を通るルートを使うと約15分コースタイムが長くなります。
明神館から明神橋を渡って対岸の明神池に立ち寄りたいと思います。明神池までは一般の観光ルートになっている為、嘉門次小屋前のテラスはイワナ料理に舌鼓を打つ多くのハイカーで賑わいます。
嘉門次小屋の先に穂高神社奥宮が鎮座しています。穂高神社奥宮のすぐ奥に明神池があり、毎年十月八日には池にお船を浮かべて山の安全を神に感謝する御船神事が催されます。明神池は神域となっていて、どことなく霊験漂う不思議な雰囲気のある場所です。
明神池を後にして、再び梓川の左岸に沿って緩やかな登山道を進みます。徳澤園の前庭で一休みしたら出発です。
新村橋を左に見送り、横尾山荘前の吊り橋を渡って横尾谷に入ります。
左手に屏風ノ頭の岩壁である屏風岩を見ながら、横尾谷をなだらかに流れる梓川に支流の左岸(右側)を進むと、北穂高岳の山頂部が正面に見えてきます。
本谷橋の掛かる河原は休憩の絶好ポイントで、多くの登山者が疲れを癒しています。
本谷橋から登山道はやや傾斜がきつくなり、そして横尾本谷が右に分かれる所で大きく左方向に進路を変えます。ここで名前は涸沢谷に変わり、登山道の周りはナナカマドが多くなってきます。
右手から北穂高、中央に奥穂高岳、左手に前穂高を擁する涸沢カールに到着します。
涸沢までは比較的なだらかで、難所の無いハイキング感覚と言った登山です。
涸沢は氷河によって削られたU字谷で、日本最大のスケールを誇り、穂高岳登山のベースとなる場所です。涸沢ヒュッテ、涸沢小屋の二軒の山小屋と数百張り可能なテント場があります。ハイシーズンには涸沢に東京大学涸沢診療所、穂高岳山荘に岐阜大学医学部奥穂高夏山診療所が開設され、登山者の安全を守っています。
10月上旬にはナナカマドが真っ赤に色づき、穂高連峰の壁面を彩る様は、筆舌に尽くし難い日本有数の紅葉スポットです。
この時期には登山者ばかりではなく紅葉を撮影するために多くの人々が涸沢に訪れます。
そのため山小屋は一枚の布団に数名寝なければならないほど詰め込まれます。
(涸沢小屋は予約をしていれば比較的寝るスペースが確保されるようです。)
ザイテングラートへの取り付きへは涸沢ヒュッテを出発し、涸沢カールを左手に見ながらのパノラマコースか涸沢小屋前を通るコースを選択することができ、両コースは,直ぐに上部で合流します。
ザイテングラートの語源はドイツ語のseitengrat(支稜線・支尾根)を意味し、ここから岩嶺の本格的登りとなり穂高岳山荘まで続きます。
ザイテングラートの取り付きからハイマツの間の岩登りが始まります。
ハイマツ帯を抜けると正面に岩陵が見えてきます。
ここはザイテングラートの中で唯一梯子と鎖が設置されている場所です。
岩稜を右から巻くと鎖場が現れますが、十分なステップがあり、高度感もなく登山初心者でも難しくないと思います。
次いで短い梯子が掛けられていますが、ここも高度感は無く簡単に通過できます。
ここから穂高岳山荘までは草付きの緩い斜面の簡単な登りです。
奥穂高岳への核心部は穂高岳山荘から高度感のある高さ50mほどの岩壁の登りです。
二連で掛かる梯子までの岩場にはしっかりとしたスタンスがあり問題なく登れます。
梯子を登りきると右から巻く様に鎖が2か所に設置され緊張するところです。
しかし、難所は短いため、さほどの難易度ではないと思います。
ここを登りきると稜線に出て、比較的なだらかな岩陵を登ると奥穂高岳山頂へ到着します。
※前穂高岳から吊尾根を経由するルートは奥穂〜前穂(吊尾根)をご覧ください。
※北穂高岳から涸沢岳を経由するルートは北穂〜奥穂(涸沢岳) をご覧ください。
涸沢カールの壁を取り囲むように連なる崖錐(がいすい)
崖錐(がいすい)とは
岩の隙間に水が入り込み、凍結すると岩石が膨張します。これを繰り返すことで岩が割れ落石となります。落石が積み重なりスカートのように岩屑(がんせつ)の斜面を作り出します。これを崖錐と呼んでいます。
涸沢カールを取り巻くようにいくつもの崖錐が連なっています。
崖錐の斜面は35度になっています。これを「安息角」といい、凍結破壊作用で砕けた落石が崩れ落ちないでいられる最大角度です。
崖錐の上部・中部に高山植物が見られます。これは、植物が根を生やすための土が存在しているからです。一方、下部においては大きな転石に覆われ土を欠くため高山植物の生育条件としてはあまり好ましくありません。
滑落事故の起こりやすいザイティングラート
涸沢から穂高岳山荘へ至る登山道は、ザイティングラートと呼ばれる尾根を登ります。決して難しい岩場ではありませんが、何故か滑落事故が多く発生しています。なぜこの場所でと思われるところがほとんどですす。特に下山時、浮石に乗り足を踏み外して滑落、落石を避けようとして滑落など原因は様々ですが、中高年に多く発生しています。特にハイシーズンには多くの登山者が登るため、落石も多く発生します。穂高岳全般に言える事ですが、落石による事故を防ぐためにもヘルメットの着用は必須です。
屏風の頭から見るザイティングラート
画像一覧
上高地の河童橋。長野県側の沢渡駐車場または岐阜県側の平湯温泉(あかんだな第一・第二・第三駐車場)からシャトルバスで上高地へ、上高地バスセンター近くの梓川に架かる河童橋。背景は左から西穂高岳、奥穂高岳です。
明神橋を渡って直ぐのところに「山のひだや」あります。なかなか素敵なホテル(山小屋)です。ほぼ通年営業しています。詳しくは0263-95-2211へお問い合わせください。冬季小屋は完全予約制となります。
「山のひだや」をさらに進むと明神池があります。明神池は二つあり、大変透明度の高い池です。周囲は鬱蒼と茂った森に囲まれ、その入口に穂高神社奥宮があります。明神周辺は上高地が「神垣内」であることを感じさせる場所です。
明神池の手前にある嘉門次小屋。焼き岩魚が名物です。野外での昼食は風情があって、多くの観光客で賑わっています。猟師であった上條嘉門次が建てた小屋で、イギリスの宣教師ウエストンなどを案内した山岳ガイドでもありました。
明神橋を再度渡って梓川の左岸を進みます。ここからは観光客の姿がめっきり減り、登山者が圧倒的に多くなります。徳本峠(霞沢岳方面)へ向かう道を右手に分け、明神館から徳沢まで概ねなだらかな道が約1時間続きます。
野生のニホンザルが人を恐れることもなく優雅にねそっべています。ニリンソウが群生するところがこの近くにあります。平坦な道を進み、左手上方に前穂高岳北尾根の岩塊が見えると右手方向に徳沢ロッジが見えてきます。
登山者でにぎわう横尾山荘。右の建物から順にお風呂棟、売店、宿泊棟です。営業期間:4月下旬から11月上旬。2段ベッド室が180床あるので詰め込まれる心配はありません。宿泊者限定でお風呂に入ることが出来ます。
涸沢ヒュッテから涸沢岳方面を撮影。特にナナカマドの紅葉が美しく、10月上旬が見ごろになります。2万年前の氷河期に形成された涸沢カールです。モレーン部分には700あまりのテントが張れる幕営場が広がっています。
崖錐斜面の右手上方を見上げると、涸沢岳や涸沢槍が美しい。奥穂高岳から北穂高岳までのルートも参照してください。斜面の角度は35度です。これを「安息角」と言い凍結破壊作用で砕けた落石が崩れ落ちずにいられる最大角度です。
白出のコルに建つ穂高岳山荘。山荘前の庭は石が敷き詰められた居心地の良い空間になっています。岐阜大学医学部奥穂高夏山診療所が7月下旬から8月下旬にかけて開設されます。同施設が冬季避難小屋として使われます。
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奥穂高岳ルート地図
奥穂高岳ルート詳細情報
ルート | 上高地バスターミナル(標高1,505m)⇒横尾(標高1,620m)⇒ 涸沢(標高約2,350m)⇒穂高岳山荘(標高3,000m)⇒奥穂高岳(標高3,190m) |
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コースタイム | 登山:上高地〜奥穂高岳 9時間30分 下山:奥穂高岳〜上高地 7時間10分 |
駐車場 | 上高地へ入る為の駐車場の詳細 |
核心部 | 穂高岳岳山荘から高さ50mほどの岩壁に二連で梯子が架かり、その上に高度感のある鎖場が核心部 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 5 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:4.2リットル、体重60kgの人:5.46リットル、体重75kgの人:6.72リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:7.812Kcal、体重60kgの人:10.416Kcal、体重75kgの人:13.888Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:1.12kg、体重60kgの人:1.488kg、体重75kgの人:1.984kg |
標高差 | 距離 16.9km 最大標高差 1672m 平均斜度 全体:9.9% 上り:13% 下り:3.1% 獲得標高 上り:1670m 下り:26m |
山小屋 | 穂高岳山荘 北穂高小屋 涸沢ヒュッテ 涸沢小屋 横尾山荘 徳沢園 徳沢ロッジ |
登山口までのアクセス | 上高地へのアクセスの詳細 最寄り駅はJR松本駅もしくは高山駅(JR 高山本線) |
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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