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薬師岳(やくしだけ) 折立〜薬師岳〜五色ヶ原縦走

折立〜薬師岳〜五色ヶ原の縦走ルート概要

薬師岳の概要

薬師岳は立山連峰の南部に位置する巨大な山体が特徴的な山で、長大な尾根を持ち北アルプス最大のスケールをほこり悠然として堂々としています。標高は2926mと僅かに3000mには及ばないものの、一見なだらかなその姿は女性的で「北アルプスの女王」あるいは「北アルプスの貴婦人」と形容されています。 しかし、非対称山稜を示す薬師岳の東側から北側は、男性的なダイナミックな姿に変わり、特に雲の平のスイス庭園から眺める薬師岳は彫りが深く大変印象的に映ります。

特に注目すべきは国の特別天然記念物に指定されている薬師岳の圏谷群です。三つのカール(金作谷カール、中央カール、南稜カール)が薬師岳の東斜面に南北に並び、黒部川上ノ廊下に落ち込んでいます。 洪積世氷河の浸食作用によってスプーン状に削られたものです。

登山コース案内

薬師岳登山だけの場合、折立(標高1350m )からのピストンが一般的です。岩場や鎖場などはなく、北アルプス入門コースと言えます。しかし、標高差が1600m近くあり、初心者にとって日帰りは難しく、太郎平小屋薬師岳山荘に宿泊する1泊2日の行程となります。北薬師まで足を伸ばせば、金作谷カールの雄大な姿を目にすることが出来ます。

今回は、折立から入り立山まで縦走する3泊4日の行程を紹介します。1日目は太郎平小屋泊、2日目は薬師岳を越えてスゴ乗越小屋泊、3日目は越中沢岳を超えて五色ヶ原山荘泊、4日目はザラ峠に降り、獅子岳、龍王岳を越えて立山へ抜けます。

1日目に薬師岳山荘に宿泊すればスゴ乗越小屋をパスして五色ヶ原まで抜ける2泊3日の行程も十分に可能です。

各区間のコースタイムを記載します。登山計画に役立ててください。
折立⇒太郎平小屋:3時間15分、太郎平小屋⇒薬師岳:2時間40分、薬師岳⇒スゴ乗越小屋:2時間20分、スゴ乗越小屋⇒五色ヶ原山荘:5時間、五色ヶ原山荘⇒立山室堂:3時間50分。合計17時間5分。※休憩時間は含めません。

立山室堂(標高2420m)から入り、南下して折立(標高1350m )へ下山する逆のコースを辿る場合、下りが多くなるのでコースタイムは10%ほど短縮されると思います。

難所を揚げるならば、薬師岳と北薬師岳間の狭い尾根に岩場の通過がありますが、強風が吹かない限り危険ではありません。又、ザラ峠から獅子岳への登りに梯子と鎖場がありますが、高度感はさほどなく、登山初心者でも十分可能です。しかし、このルートにはエスケープルートがありません。十分な体力と天候の見極めが重要です。

※折立へのアクセスは、富山地方鉄道株式会社がバスを運行しています。7月中旬から9月下旬までの季節運行で、9月に入ると土日祝日のみの運行ですから間違わないでください。

※ 五色ヶ原から立山室堂へのルートも参照してください。

登山届
富山県警察 電子申請が可能です。

スゴ乗越小屋で遊ぶオコジョの動画



山岳信仰の山であった薬師岳

信仰の山、薬師岳 。 奈良時代から平安時代には、修験者が山岳修行を行う霊場として立山周辺の山々(大日岳剱岳別山、雄山、浄土山)から南下して薬師岳を超えて有峰に入り鍬埼山を経て下山するという極めて厳しい入峰路があったと言います。剱岳や大日岳では修験者が奉納した、奈良時代後期から平安時代初期のものと思われる銅錫杖頭が発見され、入峰路の存在の裏付けとなっています。これらの遺品は国の重要文化財になって、立山博物館に所蔵されています。

現在、薬師岳山頂には薬師如来と山の神を祀った小祠が、周囲を石積みで守られるように鎮座しています。この小祠は麓の富山県大山観光協会によって再建されたものですが、古くから有峰集落の人々によって信仰登山が行われていました。

江戸時代中期頃から平家の落人部落としても知られる有峰集落では、毎年旧暦6月15日(現在の7月下旬)の「岳の薬師祭」に於いて、15歳〜50歳の男達全員で薬師岳へ信仰登山を行っていました。もっとも、厳重な女人禁制の決まりがあり、女性の登拝は許されていませんでした。その際、鉄板を長さ12cm〜30cmくらいの大小様々な剣の形に切った「鉄剣」を山上の御堂に奉納して祈ったと言います。 「鉄剣」は次第にうず高くなり、「剣塚」を作ったと言います。 その後、登山者達がその鉄剣を持ち帰り、現在では鉄塚を目にすることはできません。深田久弥も日本百名山の書籍の中で「形の良い鉄剣を選んで持ち帰り文鎮として使っている。」と記載しています。

残念ながら高まる電力需要に応えるため有峰集落は、大正9年に廃村となります。昭和34年、電源開発のため和田川を堰き止めた有峰ダムが完成し、人造湖の有峰湖の湖底に沈んでしまったからです。

薬師岳山頂の薬師堂に祀られた大日如来

薬師岳山頂の薬師如来

北アルプスの薬師岳の開山祭は、6月上旬の土曜日に行われます。富山市亀谷(大山)の播隆上人像公園で開かれ、 富山市大山上野の大川寺の住職が仏事を執り行い、北野市大山総合行政センター所長、富山南署長、富山市観光協会など山岳関係者など50名ほどが集まり、夏山登山の安全を祈願します。

開山祭に合わせて記念登山が行われ、ガラスの箱に納められた金色に輝く薬師如来像が、冬の間、大川寺で保管されていたものを、住職と富山県の観光課の職員、山岳関係者などによって薬師岳山頂の薬師堂に納められます。そして、閉山式の際、再び大川寺に戻されます。

薬師如来像は、たびたび盗難にあったため、山頂の薬師堂は鍵が架けられ、冬の間は大川寺で保管することになったという経緯があります。

薬師岳山頂近くから望む有峰湖

薬師岳山頂の近くから望む有峰湖

有峰ダムによって堰られた有峰湖。かつて、薬師岳信仰登山を行った人々が住んでいた有峰集落があった場所です。

薬師岳の圏谷(カール)群

薬師岳(標高2962m )の東面には、南から南稜カール、中央カール、金作谷カール、北カールと大規模な圏谷が四つ並んでいます。これは、立山の山崎カールを発見した山崎直方によって圏谷群と同定されたものです。その後、昭和20年(1945年)2月22日に国の天然記念物、昭和27年(1952年)3月29日に特別天然記念物に指定されました。ただし、北カールについては形が不明瞭なため、研究者によっては氷河地形として認めていない者も少なくありません。

南カールは、カール底の高度は2600m。カール内には植生に覆われた岩石氷河が存在しています。しかし、登山道から見る事は出来ません。

岩石氷河とは、氷に富む永久凍土がクリープして出来る舌状もしくはロープ状の岩屑地形のことです。世界各地の山岳地帯に分布していて、化石化したものは日本アルプスでも多数見つかっています。

裏銀座ルート烏帽子岳辺りから望む薬師岳の圏谷群

烏帽子岳近くから望む薬師岳圏谷群

烏帽子岳北側の南沢岳から望む薬師岳圏谷群。北カールは、谷状になっていてカールとしての要件を十分に満たしていないように見えます。

薬師岳山頂の東側に形成された中央カール

薬師岳中央カール

中央カールは、薬師岳の山頂から東側眼下に望めます。カール底の高度は2700m、薬師岳の圏谷群の中で最大です。カール底には岩石氷河が存在しています。

カールの背後に赤牛岳から水晶岳、鷲羽岳と続く稜線があり、更にその背後に槍ヶ岳や穂高岳などが見えています。

薬師岳の圏谷群最北端にある金作谷カール

薬師岳金作谷カール

金作谷カールは、カール底の高度は2650mで、カール内にM字状岩屑地形が認められます。研究者により、最終氷河期後期のモレーン、或いは完新世のモレーンとする説。一方で、岩石氷河とする説に分れます。M字状岩屑地形の背後に氷河が発達するのに十分な空間が無いことから岩石氷河とする説が有力です。

写真は、薬師岳辺りから撮ったもので、左手から右手方向に連なる稜線のピークが北薬師岳です。


薬師岳山頂周辺の気温

 
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
最高気温(℃)
-10.4
-9.6
-5.4
3.3
8.5
11.5
14.7
16.5
11.5
5.6
-0.4
-6.9
平均気温(℃)
-13.8
-13.2
-9.9
-4.0
2.3
8.0
9.3
10.5
6.2
-0.7
-6.4
-12.0
最低気温(℃)
-19.4
-19.7
-16.0
-10.0
-4.2
1.1
5.3
6.0
2.0
-1.6
-8.8
-13.6

薬師岳へ登るための装備と服装

季節により変動する登山用具/装備品
 
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
ツェルト

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ストック
スパッツ
×
×
×
×
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手袋
×
×
サングラス
軽アイゼン
×
×
×
×
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×
×
×
12本歯アイゼン
×
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×
×
×
×
ピッケル
×
×
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×
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×
テント
×
×
×
×
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愛知大学山岳部の遭難事故

1968年の冬、愛知大学山岳部の部員13人が遭難死する事故が起きています。猛吹雪で下る尾根を間違い、東南稜を下ってしまった事が原因です。90名以上の捜索隊が結成され陸上及び空から捜索が行われましたが、豪雪のため救助には至りませんでした。3月23日になってようやく五遺体を発見、全ての遺体が発見されたのは10月14日になってからです。冬季に限らず、山頂部は砂礫に覆われて、遮るものは何も無く、濃霧時には道迷いが発生しやすいので注意が必要です。

折立登山口近くに家族や関係者などによって愛知大学山岳部員を供養する慰霊塔(十三重之塔)が建てられました。この事故を教訓に富山県では、昭和40年山岳警備隊を結成し、翌年には富山県登山届出条例の制定をすることとなります。

薬師岳山頂近くに建てられたケルン

山頂近くの稜線に立てられた愛知大学山岳部員を偲ぶケルン

このケルンは昭和39年10月、愛知大学並びに遭難学生遺族の協力により、二度と遭難が繰り返されぬよう祈りと願いを込めて建てられたものです。

愛知大学山岳部員を供養する慰霊塔(十三重之塔)

愛知大学山岳部員を供養する慰霊塔(十三重之塔)

折立登山口から数分登った左手に建立されています。

画像一覧

太郎兵衛平に建つ太郎平小屋。この場所は、黒部五郎岳から双六岳、槍ヶ岳へ抜ける縦走路の起点であり、薬師岳を越えて立山室堂に抜ける起点でもあり、更には雲の平から水晶岳、鷲羽岳へ向かう起点でもあるので、夏のハイシーズンには多くの登山客で賑わいます。折立から太郎平小屋までのルートは、黒部五郎岳のページを参照してください。

太郎平小屋から望む薬師岳。山頂は正面の一番高いピークの左手奥にあります。又、ここから東側を望むと黒部源流の山々(黒部五郎岳、三俣蓮華岳、祖父岳、水晶岳など)が一望出来ます。

太郎平小屋から木道を辿り、約10分でキャンプ場のある薬師峠に下り立ちます。

石畳の道を下ると、薬師峠のキャンプ指定地です。約80張設営可能で、8月下旬まで管理人が常駐し売店も完備しています。

薬師峠キャンプ場の水場。上流の湧き水をホースで引っ張っています。十分な量の水量です。

薬師峠キャンプ場の公衆トイレ。大切な立山の自然を守り、快適に利用するために100円程度のチップが必要です。このトイレは、バイオ菌による土壌浄化循環方式を採用し、処理水を浄化して再利用する、自己完結型の自然環境に配慮したトイレです。

湧き水が流れる樹林帯の沢筋の滑りやすいゴロゴロの急坂を登ります。

振り返ると木道が伸びる先に太郎平小屋の赤い屋根が見えています。更に左手に稜線を辿ると北ノ俣岳が見えています。

急坂を登り終え、右手に折れます。この辺りは遅くまで雪が残り、小雪渓となる場所です。

ベンチとケルンが建つ小広場の周辺は池塘やハクサンイチゲやミヤマキンポウゲなどが咲く薬師平です。昭和38年1月の愛知大生13人全員遭難を悼んで建てられたケルンの中には木の観音像が祀られています。

薬師平から登山道は左に折れて、小さな窪地の周辺にお花畑が広がる穏やかな登りになります。薬師岳山頂手前の東南稜分岐のあるピークが見えて来ました。

大きく薬師岳南面が姿を現します。白ザレのピークの先に本峰があり、右手側の稜線は東南稜です。

ここからは尾根上の眺めの良いガレ場の道をぐいぐいと登って行きます。

背の低いハイマツ帯の中を登り、傾斜が緩むと薬師岳山頂が姿を現します。山頂は、手前ピークから数えて3番目です。

やがて、赤色の屋根が愛らしい薬師岳山荘に到着です。薬師岳山荘は、2010年に建て替えられ綺麗で近代的な設備になっています。ここから山頂まで50分ほどなので、初日にここまで登っておけば、翌朝の御来光を山頂で迎えることが出来ます。

途中から振り返る。稜線に建つ薬師岳山荘が見えます。森林限界を超え、風を遮るものが無いので、強風時には頼りになる存在です。左手遠景に北ノ俣岳、黒部五郎岳が見えています。

薬師岳山荘を過ぎると、ハイマツ帯も無くなり砂礫の広い斜面をジグザグに登り、避難小屋の建つ一角を目指します。濃霧時には道間違いをする危険がある場所です。

石組みで作られ避難小屋ですが、倒壊が進み風除けくらいにしかなりません。薬師岳山頂は、二つ目のピークです。

避難小屋のある位置から南東方向を望と南東稜が見えます。昭和38年冬、愛知大学の学生達が誤って下ってしまった尾根です。標高差で300m ほど下った所で遺体で発見されています。遠景に水晶岳、雲ノ平の祖母岳、更にその奥に槍ヶ岳から穂高岳がくっきりと見えています。

右手上方のピークの西側斜面を巻きながらなだらかなに登って行きます。山頂に立つ薬師堂が見えています。

薬師岳山頂。山頂に広がる露岩は、角閃岩を含んだ石英斑岩で形成されています。山頂からは北アルプスを一望する360度の大展望が広がります。富山平野から有峰湖、黒部川を挟んで赤牛岳、黒岳(水晶岳)、後立山連峰や笠ヶ岳、富士山も見えます。

山頂には風雨を遮るように角閃岩を含んだ石英斑岩が積み上げられ、薬師堂が建てられています。薬師堂の中には薬師如来が三体、薬師講の信者が奉納した石地蔵が11体祀られています。

薬師岳から金作谷カールを取り巻く様に北薬師岳へ稜線が伸びています。金作谷カール底にMの字が浮かび上がっています。研究者により意見が異なるところですが、モレーンではなく岩石氷河とするのが有力な説です。

稜線は比較的広く、滑落の心配はありません。正面の小さいコブを二つこなし、右手側に折れます。右手奥のピークが北薬師岳です。

右手に折れた先に狭い岩場の通過と岩場の登りがあります。稜線の右手奥にある頂きが北薬師岳です。

狭い尾根の岩場の通過です。左側への滑落に注意が必要ですが、強風時でない限り、慎重に通過すれば問題ありません。

痩せ尾根を慎重に通過し、岩場の登りにさしかかります。細いロープが設置されていますが、スタンスは豊富で、高度感もほとんどありません。少し登った所で左手側に巻きます。

岩場を登り切ると、なだらかな斜面になります。

広い稜線を進んだ先に北薬師岳が近づいて来ました。

大きな石が転がる北薬師岳の山頂直下をジグザグを切りながら登ります。

北薬師岳山頂の一角に飛び出します。振り返ると、大きな薬師岳と広大な金作谷カールが望まれます。

北薬師岳から北カールの西壁に沿って北進し、2832m ピークを越えます。北カールは氷河地形としては不十分なため、圏谷として認めない研究者もいます。遠景に立山から剱岳、その左手に大日岳などがよく見えます。

右下に北カールを見ながら、2832メートルピークの西側斜面を進みます。

2832メートルピーク近くになると大きな露岩がゴロゴロと転がり、それを飛び跳ねるようにして進みます。

2832メートルピークを過ぎ、赤茶色の石砂利の道をなだらかに下ってきます。

ハイマツ帯の中を下ると、U字型の溝の中を真直ぐに登山道が伸びているのが見えます。稜線はその先に、S字状に伸び、その一角のピークが標高2582メートルの間山です。

U字状の溝の中に作られた登山道を進みます。ちょうどその先に裏銀座縦走路の山の一つである烏帽子岳が、その尖った山容でそれと直ぐ分ります。

U字状の溝を抜け、赤ザレた広い斜面になると黒部川によって深く刻まれたその先に赤牛岳がピンクがかった山頂を天に向けているのが印象的です。右手に稜線を辿るとギザギザの山頂を持つ水晶岳(黒岳)が存在感を持って聳えています。

赤茶けた砂礫の道を下り、広い稜線を覆うハイマツ帯の中に一本の登山道が間山に向かって下っています。間山は丸いピークを持つ稜線の一角です。

赤砂利の広い稜線を進みます。その先で一旦ハイマツ帯の中に入り、右手側が大きく崩壊したすれすれを通過します。

右手側が大きく崩壊した稜線のスレスレを通過します。斜面の傾斜は緩いので滑落の危険はありません。

間山山頂近くは二重山稜になって、雪解け水や雨水が小さな池を作っています。間山近くに湧き水があり、スゴ乗越小屋ではここからホースで飲料水として水を引いています。

間山を過ぎ、更になだらかな広い稜線の下りが続きます。ハイマツの中に伸びる登山道を抜けた所から急な下りになります。

ハイマツ帯を下った広い稜線の先に赤い屋根のスゴ乗越小屋が小さく見えて来ました。正面のピークが右手からスゴノ頭、その左手に越中沢岳、その稜線の先に立山と剱岳が見えています。

灌木帯の中を下り、シラビソの針葉樹林帯の中を抜ければ、スゴ乗越小屋はもうすぐです。

スゴ乗越小屋は定員に40名の小さな山小屋です。ハイシーズンの土曜日でも一杯になることは稀です。小屋前の庭にオコジョが住み付いていて、足元に遊びに行きます。

スゴ乗越小屋から1分程歩いた所にあるテント場。約40張ほど設営可能です。水やトイレはスゴ乗越小屋のものを使います。ここから一旦下り、右手のスゴノ頭に登り返します。

スゴ乗越小屋のテント場から灌木帯の中を下ります。手前の小さなコブを超え、降り立った所がスゴ乗越です。

スゴ乗越(標高2180m)。ここからスゴノ頭(標高2431m)まで標高差で251メートルを急登します。

スゴ乗越から登り上げる最初は灌木帯の緩斜面です。

ジグザグを切りながらハイマツと灌木の中を急登します。半分ほど登り振り返ると薬師岳がよく見えます。

スゴノ頭上部になるとハイマツ帯の中に大きな岩がゴロゴロした所を三点支持で登ります。

スゴノ頭から望む越中沢岳。厳密にはスゴノ頭のピークへは登山道が無く、その少し北西側で90度北側に折れるように登山道が付けられています。

スゴノ頭から望む薬師岳。写真には写っていませんが、右下に赤い屋根のスゴ乗越小屋が見えます。金作谷カールを抱いた主峰とその右手に荒々しい岩璧を持つ北薬師岳が男性的でダイナミックな姿として捉えることが出来ます。

スゴノ頭(標高2431m)から灌木帯の中をジグザグに、鞍部の標高2325m地点まで標高差で105mほどを下ります。

越中沢岳とスゴノ頭の鞍部近くまで下ると赤ザレた滑りやすい斜面になります。

標高2325mの鞍部から標高2591mの越中沢岳に標高差で266mを登り返して行きます。

越中沢岳の中腹では、大きな岩がごろごろする絶壁スレスレを通過します。

小さなピークを越え、稜線の右手側を巻く様にしながら登ります。

谷側に滑落しないように注意しながら岩場をトラバースします。スタンスは豊富なので慎重に通過すれば問題ありません。

赤ザレた砂地を登ります。写真で見るより傾斜がきついので、このルートを南下する場合にはスリップしないように注意が必要です。

ハイマツ帯の中を抜け、赤ザレた斜面を斜め方向に登ると傾斜が一気に緩みます。

傾斜が緩んだ先が越中沢岳の山頂です。山頂から右手方向に基挽山へ伸びる稜線の奥に立山が聳えています。

越中沢岳山頂。一旦下った先の平坦な場所が五色ヶ原です。その先に立山が聳えます。

標高2591mの越中沢岳から大きな石とザレ混じりの広い緩斜面を下ります。正面のピークが標高2616mの鳶山で、その鞍部の標高2356mの越中沢乗越まで標高差で235mを約20分で下ります。

五色ヶ原を望遠で撮影。右手側に傾斜した広い平原の中に小さく五色ヶ原山荘が見えています。この角度から見る立山は、立山連峰の盟主というに相応しい勇壮な姿で聳えています。立山室堂から見るそれとはだいぶ違います。

ハイマツ帯の中の木道を下り、背の低いシラビソの林を抜けると越中沢乗越です。

標高2356mの越中沢乗越から標高差で260mを登り返して鳶山に向かいます。鳶山山頂は写真の右手奥にあり、ここからは見えません。

少し登った所で鳶山が見えて来ました。手前の丸いピークの東側斜面を巻きながら登ります。

鳶山手前の丸いピークの東斜面をトラバースするところです。鳶山の実際のピークはもう少し先にあります。

ハイマツ帯の細い稜線を進めば鳶山山頂です。

鳶山から望む五色ヶ原と立山連峰。広い平原状の五色ヶ原の中に建つ赤い屋根は五色ヶ原山荘です。五色ヶ原と立山連峰の間に深く落ち込んだ所がザラ峠です。

五色ヶ原の一角に池塘が点在する場所があります。そしてその左手に五色ヶ原キャンプ場が見えています。遠景に聳えるのは針ノ木岳、スバリ岳です。

鳶山から木道を真直ぐ北進し、鷲岳の手前で右手方向に90度折れます。

木道が五色ヶ原山荘に向かってハイマツの中を真直ぐに伸びています。右手の山は、針ノ木岳です。

五色ヶ原山荘。お風呂があるのがありがたいです。例年、鳶山や鷲岳の山腹には多くの残雪があり、そこから水を供給しています。冬の間の降雪量が少ない年には、お風呂が使える期間が短くなることもあります。

五色ヶ原キャンプ場は、五色ヶ原山荘から木道を7分ほど下った所にあります。約100張の設営が可能です。白い建物がトイレです。

五色ヶ原キャンプ場のトイレは古いため、ヘリコプターに特殊なバキュームシステムを搭載して、屎尿を回収している様です。現在多くの山小屋で使用されているシステムは、カートリッジ式です。カートリッジをヘリコプターで輸送するシステムです。

五色ヶ原キャンプ場の水場。周辺の雪渓から流れ出た水が一旦地下に潜り、湧き出して来るのを使います。雪渓の量が少ない年は、水が枯れる事があります。その場合には、五色ヶ原山荘で無料で水を分けてもらえます。

五色ヶ原山荘から木道を進みザラ峠を越えて立山に向かいます。右手ピークの獅子岳の急登をこなせばあとは比較的なだらかと言えるルートになっています。



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 折立〜薬師岳〜五色ヶ原縦走ルート地図

折立〜薬師岳〜五色ヶ原縦走ルート詳細情報

ルート 9月1日
折立(標高1352m)⇒太郎平小屋(標高2330m)⇒薬師峠キャンプ場(標高2294m)⇒薬師平ケルン(標高2479m)⇒薬師岳山荘(標高2701m)⇒薬師岳(標高2926m)⇒北薬師岳(標高2900m)⇒間山(標高2585m)⇒スゴ乗越小屋(標高2286m)⇒スゴ乗越(標高2180m)⇒越中沢岳(標高2591m)⇒越中沢乗越(標高2356m)⇒鳶山(標高2616m)⇒五色ヶ原山荘(標高2490m)⇒ザラ峠(標高2348m)⇒獅子岳(標高2741m)⇒鬼岳(標高2750m)⇒龍王岳(標高2872m)⇒浄土山(標高2831m)⇒室堂山(標高2668m)⇒立山室堂バスターミナル(標高2450m)
コースタイム 折立⇒太郎平小屋:3時間15分、太郎平小屋⇒薬師岳:2時間40分、薬師岳⇒スゴ乗越小屋:2時間20分、スゴ乗越小屋⇒五色ヶ原山荘:5時間、五色ヶ原山荘⇒立山室堂:3時間50分。合計17時間5分。
駐車場 折立駐車場 バス停前の駐車場は収容台数が少ない。200m ほど離れた広場に大駐車場あり
扇沢駐車場の詳細
トイレ 折立登山口、太郎平小屋、薬師峠キャンプ場、薬師岳山荘、スゴ乗越小屋、五色ヶ原山荘、立山室堂
核心部 薬師岳と北薬師岳の狭い稜線
難易度 [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 2.5
標高差 距離 27.3km 最大標高差 1568m 平均斜度 全体:3.9% 上り:20.1% 下り:16.3% 獲得標高 上り:2971m 下り:1895m
山小屋 太郎平小屋 薬師岳山荘 スゴ乗越小屋 五色ヶ原山荘
登山口までのアクセス 扇沢までのアクセスの詳細はこちら

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「36. 剱・立山 北アルプス」に収録されています。
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