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ルート
恵那山(えなさん)
恵那山
神坂峠コースで登る恵那山、途中のウバナギ崩壊地を写す。
背景に富士見台高原(標高1739m)と神坂山(標高1684m)の鞍部の先に姿を見せる中央アルプスが素晴らしい。
恵那山特有の脆弱な地形に作られた東山道の最大の難所神坂峠に残る古代祭祀遺跡も要Check。

広河原コース

最短ルート 一部に展望が効く箇所があるが、概ね樹林帯の登り
恵那山広河原登山口

神坂峠コース

ウバナギ崩壊地、天狗ナギなどの荒々し山肌が特徴で恵那山で最も展望が良い
神坂峠コース

黒井沢コース

黒井沢の渓流に沿って遡上、概ね樹林帯の中を登る
黒井沢登山口コース

木曽路を馬籠宿から妻籠宿へ

木曽路で江戸時代の面影を残す妻籠宿と馬籠宿間の8kmのハイキング
木曽路を馬籠宿から妻籠宿へ

恵那山登山ルート概要

恵那山(えなさん)は中央アルプス(木曽山脈)の最南端に位置する山で、標高は2,191mと日本百名山の中では比較的低く、櫛形をしたその山容を、濃尾平野から望むことが出来ます。全山が中生代白亜紀の濃飛流紋岩からなり、崩れやすい地質であるため、ウバナギ崩壊地や天狗ナギ崩壊地などが見られます。また、古道・東山道が神坂峠を越えて岐阜県中津川市と長野県阿智村を結んでいましたが、しばしば崩壊したとの記述が「日本記略」や「扶桑記略」などに見られます。

島崎藤村の「夜明け前」、井上靖の「憂愁平野」、杉本苑子の「孤愁の岸」などの小説の中にも登場して名峰として親しまれてきました。

GWの初めに山開きがあり、登山最適期を迎えます。長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる為、登山口が東西に分断されていて、アプローチは長野県からの広河原ルート 、岐阜県側からの黒井沢ルート・神坂峠ルート・前宮ルートになっています。

マイカーまたはタクシーを使用してのアプローチが便利です。広河原ルートに入るには、新宿(諏訪湖)方面からのアクセスでは中央高速の飯田山本ICを使います。広河原登山口に最も近い園原ICは、ハーフICであるため、名古屋方面の出入口(下り 線入口と上り線出口)しかない為です。 岐阜県側からの各登山口へは中津川が拠点となり、マイカーかタクシーでのアプローチになります。

唯一、公共交通機関でのアプローチな可能なのが神坂峠ルートです。名古屋と飯田を高速バスが結んでいます。園原バス停から「富士見台高原ロープウェイヘブンスそのはら」「展望台リフト」「富士見台高原バス」を乗り継ぐと、神坂峠へ公共交通機関のみで行くことが可能です。萬岳荘で宿泊を考えれば、園原の里で旧東山道の遺構に触れ、神坂神社から東山道を登り、神坂峠からのルートを辿る計画を立てても面白いと思います。

広河原ルートは、2001年に開通した新しいルートで、往復6時間ほどの最短のルートですが、アクセスの良さとは裏腹にほとんど樹林帯の単調な登りが続くルートです。

1893年(明治26年)には外国人としては初めてイギリス人宣教師のウォルター・ウェストンが登頂しています。そして、平成13年10月川上地区に「恵那山ウェストン公園」が整備されています。

登山届の提出
岐阜県側からは岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会事務局のホームページから提出出来ます。また、長野県のホームページで携帯やパソコンから出来ます。


山名の由来

古くは「胞衣山・えなさん」(胞山)と呼ばれていました。松平君山の「吉蘇志略」によると、イザナギ・イザナミの神が天照大神を生んだ時に 胞衣(えな)をこの山に埋めたことに由来すると言います。それが恵奈・恵那に転訛したのだといいます。しかし、「えな」からの語源伝承に過ぎず、明治になってからの俗説です。

また、山容に由来する伝承として「濃陽志略」には、濃尾平野や三河湾から望む姿が「形舟が覆へる如し」とあります。船底を上にした形から「覆伏山(おおぶせやま)」「舟伏山」「舟覆山」などの呼び名もあったと言います。

※胞衣-出産後に排出される胎盤(へその緒)のこと。

覚明行者の修行の場所

御嶽山黒沢口を中興開山した覚明行者が、この恵那山を山岳道場として修行に励んだと言います。濃尾平野の人々にとって、伊吹山と共に恵那山は信仰の対象になった山と言えます。その中心地となったのが下記に記載した恵那神社(恵那権現社)です。

東山道の難所・神坂峠と古代祭祀遺跡

1.東山道及び神坂峠の地図

東山道地図↑ クリックで拡大
【東山道地図-太い赤線部分】

神坂峠地図↑ クリックで拡大
【神坂峠地図-恵那山は神坂峠の南西方向にあります】

今から1300年以上も前の7世紀、大和朝廷は大宝律令の制定に伴い、近江国(滋賀県)を起点に、陸奥・出羽国(東北地方)へ通じる総延長1000km の官道・東山道を造りました。大和政権が地方を服従させるために造った道で、京都へ税物を背負って歩く道であり、九州北部の防衛を担う「防人」を派遣するための道でもありました。

こういった官道(駅路)は、東山道の他に東海道・北陸道・山陽道・山陰道・南海道・西海道など全部で7道が整備され、中央集権的な国家体制が確立していきます。そして駅路には16kmごとに駅家が設けられました。

東山道の中でも美濃の国と信濃の国の間にある神坂峠(標高1576m )は最大の難所でした。 峠を挟んで坂本駅家(JR中央本線中津川駅近く)と阿智駅家(中央自動車道阿智パーキングエリア近く)が設置されましたが、その距離は約40kmあり、通常の2.5倍で、標高差は1,000mを超えていました。恵那山特有の脆弱な地質に急峻な坂道であったため、多くの人がこの場所で命を落としたと言われています。

当時の旅人は旅の安全を祈願するために「石造模造品」を奉納しました。神坂峠の頂上や杉の木平から様々な遺物が発見され、古代祭祀遺跡として注目を集めています。

2.阿智村東山道・園原ビジターセンターはゝき木館(ははきぎかん)

阿智村東山道・園原ビジターセンターはゝき木館

【阿智村東山道・園原ビジターセンターはゝき木館】
「全村博物館構想」を掲げて、村内の史跡や園原の里の自然の魅力を伝えているミニ博物館です。かつて存在した阿智駅家から約11km の地点にあります。周辺には食事処・門前屋や広拯院根元中堂、広拯院(月見堂)があります。

写真の園原ビジターセンターはゝき木館の谷の奥に神坂峠があります。

基本情報
  • 名称:園原ビジターセンターはゝき木館
  • 住所:〒395‐0304 長野県下伊那郡阿智村智里3604‐1
  • アクセス:公共交通機関はありません。名古屋方面より:中央自動車道「園原」インターより約5分。 東京・飯田方面より:中央自動車道「飯田山本」インターより約20分。
  • 開館時間:9:30〜16:30
  • 入館料:無料、年3〜4回の企画展示がある場合に有料になることもある
  • 休館日: 火曜(祝日の場合、翌日休館)
  • TEL:0265(44)2011
  • 駐車場:無料駐車場あり
  • 公式ホームページ:http://hahakigi-kan.jimdo.com/

3.園原ビジターセンターはゝき木館の展示物

東山道 杉の木平遺跡から発掘された有孔円板や剣形模造品など

【杉の木平遺跡から発掘された有孔円板や剣形模造品など】
園原ビジターセンターはゝき木館の展示物。杉の木平遺跡から発掘された古墳時代の「有孔円板」や「剣形模造品」など。

杉の木平遺跡は、神坂神社の少し下の平らな場所で、恵那山トンネルの排気口の所にあります。「有孔円板」や「剣形模造品」などは、東山道を通行する時に身の安全を願って奉納したものです。

なぜ”模造品”と言われるかは、旅人にとって実物の「剣」は重たく高価なため奉納することが出来ないので、「剣」に似せた持ち運びしやすい小さな模造品を造り、その代役としたためです。

4.広拯院(月見堂)

広拯院(月見堂)

【広拯院(月見堂)】
815年(弘仁6年)に天台宗の開祖・最澄(伝教大師)が東国へ布教のため東山道を通り、神坂峠を越えています。その折、神坂峠越で難儀したため誰もが利用出来る施設・広拯院を作りました。現在の建物は、江戸時代後期文政元年に改築された2×2間の入母屋造りの建物で、月見堂と呼ばれています。

伝教大師は、美濃の国側にも同様の施設・広済院を作りました。坂本駅家から14.3km神坂峠へ登った所にありましたが、現在は建物はなく、跡地のみが確認出来ます。

広拯院の跡地とされる月見堂のある敷地は宿泊施設を作るにはやや狭く、実際にはこの場所より上流の杉の木平遺跡のある場所に宿泊施設を作ったのではないかという説もあります。

5.信濃比叡 広拯院

天台宗信濃比叡 広拯院

【天台宗信濃比叡 広拯院】
広拯院(こうじょういん)は、平成に入ってから建立されたもので、手前に伝教大使最澄上人のご本尊、奥に根元中道(本堂)があります。

6.暮白の滝の滝見台

暮白の滝の滝見台

【暮白の滝 滝見台】
広拯院(月見堂)から東山道を約1.5km登った所に暮白の滝の滝見台があります。ここから願いを込めて皿を投げると望みが叶うと言われています。皿は園原ビジターセンターはゝき木館と食事処・門前屋で販売されています。

この周辺に「石造模造品」が発掘された杉の木平遺跡があります。 神坂峠から下ってきて傾斜が緩やかになった所に立地しています。遺跡からは、建物、祭祀に関わるもの、道路や墓など人々の生活に関わる遺構が発掘されているため、当初広拯院はこの地に作られたのではないかと言う説も浮かんでいます。

7.暮白の滝

東山道から見える暮白の滝

【東山道から見える暮白の滝】
滝の落ち口にしめ縄が張られた落差15mほどの小ぶりの滝です。夕暮れになると滝がほの白く見えるために名付けられたと言います。

8.神坂神社手前の駐車場

神坂神社手前の駐車場

【神坂神社手前の駐車場】
暮白の滝 滝見台から500メートルほど東山道 を登ると、神坂神社手前に駐車場があります。全部で30台ほど駐車可能です。神坂神社の裏手か古道・東山道の山道を登ると、約5キロ・1時間50分で萬岳荘です。

9.神坂神社

神坂神社

【神坂神社】
園原の里の外れにあり、里と山の境に建てられています。縁起の詳細は不明ですが、東山道の起点にあるため当時神社勢力が経済力と支配力を持っていたと考えられています。

現在の社殿は明治22年の建造で一間社流造り、内部は精巧な彫刻で飾られています。 社殿右横の樹齢2000年以上の大和杉は圧巻です。 境内には万葉集の歌碑や日本武尊が東征の時に腰かけたと言われる「日本武尊腰かけ石」などがあります。

社殿左手裏から東山道が山の中に伸びています。

10.萬岳荘

萬岳荘

【萬岳荘】
萬岳荘(ばんがくそう)は、富士見台高原に建つ恵那山の拠点になる山小屋です。 食事提供はありませんが、自炊設備や寝具が充実しています。

※ トレッキングマップのダウンロード

恵那神社(恵那権現社)

恵那神社は、御祭神として伊弉諾命・伊弉册命、配祀として 天照皇大神などを祀っていますが、明治の神仏分離令以前は、神仏習合の恵那権現社でした。江戸時代には恵那山修験の霊場として栄えた事は間違いありませんが、廃仏毀釈によってその史料のほとんどが散佚してしまったからです。

山頂の恵那権現社の成立は不詳ですが、「胞ろく雑誌略草」に西暦1576年(天正4年)に山頂にある恵那山七社が再建されたとあります。恵那山七社とは恵那権現社、役行者、富士浅間社、熊野権現社、明神社、剣権現社、和光白鹿でした。現在は、山頂に恵那神社奥宮のほか葛城社(かつらぎしゃ)、 富士社、熊野社、神明社、剣社、一宮社として祀られています。

かつて毎年9月17日に祭礼が行われ、精進潔斎をして登拝したことが伝わっていますが、現在では9月29日に恵那神社本宮の例祭が行われ、恵那文楽が奉納されています。恵那文楽は、岐阜県中津川市川上(かおれ)に伝わる人形浄瑠璃で、元禄時代に淡路の人形使いが伝えたとされ、岐阜県無形民俗文化財に指定されています。

恵那神社の拝殿と本殿

恵那神社

参考文献
名山の民俗史
東山道の峠の祭祀・神坂峠遺跡

恵那山頂周辺の気温

 
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
最高気温(℃)
-3.2
-1.8
2.6
9.1
13.3
16.2
19.8
21.5
17.3
11.5
5.6
-0.4
平均気温(℃)
-9.3
-8.4
-4.5
1.5
6.3
10.3
13.9
15.0
11.2
4.7
-1.5
-7.0
最低気温(℃)
-14.2
-14.0
-10.7
-5.4
0.1
5.5
9.7
10.5
6.8
-0.5
-7.0
-12.0

恵那山へ登るための装備と服装

季節により変動する登山用具/装備品
 
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
ツェルト
ストック
スパッツ
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手袋
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サングラス
軽アイゼン
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12本歯アイゼン
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ピッケル
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テント
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恵那山登山口までのアクセス(公共交通機関)

広河原登山口

JR飯田駅から

タクシー:飯田駅⇒広河原登山口ゲート前 55分 約10,000円 
朝日交通株式会社  TEL:0265-22-0373
第一観光タクシー株式会社 TEL:0265-22-5050

神坂峠登山口

JR中津川駅から

タクシー:中津川駅⇒神坂峠 40分 約7,000円 
東鉄タクシー  TEL:0573-65-2184
近鉄東美タクシー TEL:0573-66-1221

詳細は神坂峠コースのページをご覧ください

黒井沢登山口

JR中津川駅から

タクシー:中津川駅⇒神坂峠 35分 約6,500円 
東鉄タクシー  TEL:0573-65-2184
近鉄東美タクシー TEL:0573-66-1221


恵那山周辺の山小屋

恵那山山頂小屋 萬岳荘 野熊ノ池避難小屋


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「40.木曽駒・恵那山・中央アルプス 」に収録されています。
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